「立てた、なんてもんじゃないですよ。立った立った、クララが立った、てなもんですよ。えーと、これまでのご隠居がおっしゃったことをメモしてましたんで、読み上げてみますね。
巣鴨、巣鴨、ごぼうの売り切れ・・・、
えー、かいわれ、キュウリに水餃子に焼き餃子に麩の餃子、食う寝るところに呑むところ、
破れかぶれの裏小路・・・、解雇解雇解雇のフーリガン、
フーリガンの愚連隊の、ポンコツコピーのポンコツトナーの、超救命医の超スケベ。
あれ?ちょっと待ってくださいね。もう1回読み上げますね。
巣鴨、巣鴨、ごぼうの売り切れ・・・、
かいわれ、キュウリに水餃子に焼き餃子に麩の餃子、食う寝るところに呑むところ、
破れかぶれの裏小路、解雇解雇解雇のフーリガン、
フーリガンの愚連隊の、ポンコツコピーのポンコツトナーの、超救命医の超スケベ・・・・。
ご隠居さん、これ、なんか寿限無に似てませんか?」
「うむうむ、気が付いたか。これぞ、あたしが考案した『商店街寿限無』だな」
「『商店街寿限無』?」
「そうだ。これからの商店街というのは、温故知新。古きにならいながらも新しきを目指す。そこで、古き良き商店街の成功例、失敗例を集めてみたら、寿限無になった」
「なるほどねえ。さすがご隠居。あ、そうだ。そういやあ、あっしが役員を務めている商店街にはリサイクルショップがあるんですよ。ちょうどいいや、手先の器用な外国人を連れてきて故障したコピー機を修理させます」
「おいおい、ものには順序ってのがあるぞ。そう簡単に始めちゃいかん」
「いやいや、うまくいきますよ。へへ、ご隠居のおかげで、味のある商店街になりそうです」
「味のあるか・・・、なるほど、今どきの商店街はどこかの真似じゃあいけない。そこの商店街ならではってな特徴が必要だな。味のあるか・・・、なかなかいい例えだ。
しかし、言うは易く行うは難しというが、お前さん大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。ご隠居は『しお』でしょう?『しお』の言うことなら間違いありません」
「だからシー・イー・オーだよ」
「いやいや、『しお』ですよ。『しお』のお知恵に、商店街には故障したコピー機を扱うリサイクルショップだ。
味のある商店街を作るんですよ!
味の決め手は『しお』と『こしょう』です」
(終わり)