☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
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川上弘美『いとしい』

2008-05-28 | 川上弘美
これで未読川上本文庫は、古道具~のみになりました。ああさびしい・・

川上弘美『いとしい』
チダさんミドリ子紅郎オトヒコさん鈴本鈴郎ユリエマリエ。
猿のお屋敷遊び、情事を行うと耳が裏返るミドリ子、膜に覆われ休眠するユリエの恋人オトヒコさん、休眠中のオトヒコさんの影としゃべるユリエ・・・
伸び縮み変化する人々。

春画を描く義父。教え子の愛人が母の恋人。さらに・・と、文庫裏の説明だけ読んだらどんだけどろっとした話なんだというあれです。
皆無です。
それを期待するとある意味裏切られるかなあと思います。


「外に出ないとね、なんだか、むしゃ、とする」
「むしゃ」
「むしゃ。むしゃくしゃの、前半だけみたいな感じ」
「なるほど」
「あなたは、むしゃ、とする、それとも、くしゃ、とする」   【】内本書P39L12-16引用


漢字のテストの話が面白いと思いました。漢字の書き取り。
覚えてないけど、例えば「夜空を見上げる」「自転車に乗る」「散歩する」とか。
その漢字を書かせるための文章だけど、どこかキレイ。人間の基本的な動作や感情を表しているからかな?


今までの川上本と最後のあたり少し違う印象を受けました。言うなら、キチンとした恋愛小説、みたいだった。最後だけ特に。いや恋愛小説なのかもですが・・



紅朗という名の響きが好きでした。

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