惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

5月病記念(7終)

2010年05月04日 | 他人の狂気
「便所飯」をキーワードにしつつ、実際のところはほとんどアトランダムに、言ってみれば暇潰しのように(もちろん本人はそんなつもりではない、暇潰しでこんなこと書くのが愉しみになる奴がいるなら見てみたい)綴ってきた考察も、とりあえずこれで打ち止めにしておく。楽しかった連休もあと1日である(泣)。

本当に便所飯の大学生が実在していて、まさかとは思うがこのblogを読んでいたとするなら、勝手にサカナにして済まなかったと謝っておきたい。ここまでわざと書かなかった弁解をここで明確に書いておけば、少なくともわたしはそういう行為が行為として(存在するなら)間違っているとはまったく思わない。脅威を感じたら隠れるのは、まずは当たり前の回避行動である。勝てるかどうかも判らない、そもそもどこにいるのか正体も判らないような脅威に向かっていきなり殴りかかるよりはずっと理性的である。

結局はいくら考えても何も判らなかったのだが、あえて今回は突っ込んで考えなかったことがひとつあって、それは、結局のところ便所飯というのは中学や高校に存在したイジメの構造が延長されたものではないのかという仮説である。わたしくらいの年齢の人間には、どこからどう考え直してもその脅威の感じを自分の中に再現してみることができない、それは結局、自分より若い世代の人達がイジメについて何か言ったり言わなかったりしているところの様が何か根本的によく判らないということと、感覚的にはとても似ているのである。

その違和感を改めて言ってみれば、「友達がいない」というのは本人にとって寂しいことには違いないが、他人から責められるような目で見られることではないではないか、ということに尽きるわけである。

そんな異常心理としかわたしには思えないものが、自分より若い世代の間には普通にあるのだとしたら、その起源のひとつは間違いなくこれだとわたしが思っていることは、1980年代の中学や高校でよく言われていた校則のハナシである。以前読んだある本(その著者と題名は忘れてしまったが、べつに教育問題の本ではなかった)の中で、その世代のライターがルーマニアに旅行して、滞在先の家族と中学高校時代の話をしたら、ルーマニア人の家族が一同驚いて「何だそれは、無茶苦茶じゃないか。そんな話はわが国では、あのチャウシェスクの時代にさえなかった」と言われたという。なるほどチャウシェスクの独裁政権下ではどの教科書にも独裁者夫妻の顔写真が載っているとか、バカ気たことはたくさんあったが、スカート丈の何センチだとか靴下の色が何だとか、そんなことまで規定してくるような校則などはなかったし、ありえない話だったというのである。

このことに比べたら「ゆとり教育」がどうだとか、学力低下が、学級崩壊がどうとかいうのはまったくの些事だとしかわたしには思えない。ルーマニア人から「チャウシェスクよりひどい」と言われるほどなら、そこにあったのは紛れもなく世界でも最低最悪の教育だったのだ。そう言うしかあるまい。

思うに、実際にはルーマニアの学校にもそういう校則はあったのかもしれない。ただそれは日本でも我々の世代くらいまではそうだったのと同じで、確かに校則にはそう書かれているが、そんなもの本気で厳格に強制してくる教師などいなかったということだろうと思う。そういう細かいことばっかり論う奴はどこにでも少数いるが、まともな神経の持ち主にはまったく無意味でバカ気ているというのが自明だから、たとい明文化されたって本気で運用することはしないわけだ。ところがそれが横行していたのが1980年代の日本の中学や高校であったわけである。わたしの世代はすんでのところその難を逃れたが、時々話に聞くたびに「そりゃイジメがひどくなるわけだぜ」と思ったりしたことを覚えている。

だが校則のあれこれの話はバブル崩壊後はとんと耳にもしなくなった。それは現場があんまりだと感じて手を緩めたのか。たぶんそうではないのではないかとわたしは思っている。話はまったく逆で、件の締めつけはむしろ過剰なまでに奏功したのではなかろうか。個人や企業組織の些細な不業績を挙げつらって吊るし上げ、ついに社会的に葬り去ってしまうまでその手を緩めない、それを恰も当たり前のことのように見なしている現在の、わが日本社会の自己破滅的な風潮がいったいどこから来たのか、由来は複数あるとしてもそのうちのひとつは必ずそれであるはずだとわたしは思っている。

感覚的にはそうだ、けれどもこれをきちんと扱うには現状では準備が足りなさ過ぎて明確なことは何も言えないわけだ。だから今回はこうして示唆しておくにとどめる。いずれ機会があれば、というか、何年先になるかは知らないが準備が整ったら、もう少し本気で考察し直してみることにしたい。
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