昨年、始めてヨルダン川の向こうへ、川にかかる国境を越えて入った。聖書の時代、ここはまだイスラエルの地でもあった。だからどんな風景も見逃すまいと、車窓から熱心に様子を見た。
そこで実感したのは、エジプトで見馴れたアラブの土地風景であった。いかに乾燥地帯とはいえ、緑というものが一切剥ぎ取られたような光景が延々と続く。町に入ると決まってまずゴミが散乱し、ヨルダン王族の写真が至る所に貼られている。それぞれに何の特徴の見られない町、街が散見される。子供たちは制服姿の洋服だが、それ以外は白いアラブの装束の人々がそこで生き、人生が繰り広げられていた。
どうして街がゴミで散乱しているのか、どうして建物がどれも建設中のように鉄筋がむき出しのままなのか、以前から気になっていた。そして今回さらにもう一つ、どの街でも職にあぶれた風の男たちが目立った。そしてヨルダンのホテルに入ってみると更に疑問に思ったのが、何と中国人の従業員が多いこととである。
「エエッ、街には仕事にあぶれた人が多そうなのに?」とますます疑問が深まるのだった。
ガイドさんに聞いたりしてわかったこと。
◯ゴミだらけーー不浄なものだから、関知しない(だから清掃は美徳ではない?)
◯鉄筋むき出しの怪ーー家族構成に合わせて、家を増築するため。未完成の方が税金が安い ため、という説もある。
◯中国人の出稼ぎーー支配人など、高い位はよくても、どうも下働きは清掃と同レベルで、プライドが許さない(らしい)。 ケパ