電車で通うようになったのは、何年ぶりの事だろうかと思う。中学一年生だった13才の時から約2年、きわめてローカルな国鉄の単線で、しかも蒸気機関車での通学経験しかない。思い出すのは夏などトンネルに近づくと、あわてて窓締めをしたものだ。だから正しくは汽車通学だった。
半世紀近く経って再び電車通勤。しかも丸の内線や東西線などの首都メトロの乗り継ぎである。対比が著しい。
これは一個人内でのことだが、年代差、とうぜん乗り物差、ロケーション差、混雑差の差がきわめて大きい。しかし、実際のところ、そんなに違いを感じてない。今も昔も、どんなに設定が違おうとも、所詮見知らぬ人同士が密室に乗り合わせ、ひと時をともに過ごす。顔見知り同士であれば話をするし、迷惑な酔客が居る。違うのは国際化で外国人客が普通になった事だ。
ただ非常に違いを感じることが一つだけある。化粧をする乗客がいることだ。妙齢の方がいきなり道具を出し、 まつ毛をカールしたり、おしろい塗ったりの一通りのことを鏡を見ながらする。これは恥ずかしいことだと思う。まったく私的な空間と化している。今日もそんな人がはす向かいに居たので、それならと、ちょうど電気シェーバーを持っていたのでひげそりをしようとしたら、妻は腰を浮かし逃げ出そうとした。ついでに歯磨きをしたいと思ったのだがこれも断念せざるを得なかった。車内中がそうなったら、とついわたしは想像するのだが・・・・。(ケパ)