ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』
これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

対照的なペテロとパウロ

2018年09月27日 | 聖書
キリスト教の代表者と言えば、イエス・キリストを除けば、ペテロ、ヨハネ、パウロである。聖書の分量や信仰義認という教えの土台で言えば、パウロが一番であり、キリスト教のことを別名パウロ宗教と呼ぶ人もいるぐらいである。しかしペテロは筆頭弟子、ヨハネは黙示録を書いた最後の使徒というように、それぞれ重要な使命を果たしている。(ペテロ)

ところでペテロとパウロは実に対照的な存在である。ペテロは異教の地ベッサイダ生まれの漁師だったが、カペナウムにあった妻の実家に婿入り同然の暮らしだったと思われる。

イエス・キリストはペテロをおそらく最初の弟子とし、「あなたはヨハネの子シモンです。あなたはケファ(言い換えれば、ペテロ)と呼ばれます。」と預言している。ケファ(私は第三版までのケパ)とは岩のことで、信仰の堅さを予表し預言したものだ。このペテロの家のカペナウムを拠点として主イェスは公生涯を進められた。

漁師だったペテロは直情径行と言うか、素直で熱血漢でもあった。インテリジェント性には少し欠けようと、誰よりもイエスを愛し、信じ、忠実であった。ヨハネとともにイエス・キリストの証人として唯一無二の存在である。

他方パウロは、ベニヤミン族の生粋のユダヤ人でありながら、ローマ植民地のタルソに生まれ育った特権階級、ローマ市民であった。ローマ植民都市出身の富裕層で特権階級、バイリンガル、ガマリエル門下という当時最高の律法学の系譜と言うインテリジェンス。比較して喩えるなら、ペテロが庶民代表、パウロは逆にエリートであった。(知識の象徴である本を持つパウロ)


生まれ育ちだけではない。キリストとの出会いも好対照である。ペテロは最初の弟子であった。(マタイ4章17~20節)この時、ヨハネ伝によればペテロはすでに洗礼者ヨハネの弟子であった弟アンデレによって、イエスに引き会わされ、イエスが神の子、神の子羊であることを知っていた(ヨハネ1章36〜42)ので、何のためらいもなく従ったのである。※時折りメッセージで聞くが、弟子としての召命までに、すでにペテロはイエスと会って、使命まで聞かされていたことを忘れてはならない。(ペテロと鶏鳴は聖書の重要な記事である)

ペテロはイエスと生活を共にし、重要な機会にはすべてその場にいた生き証人であり、キリストの昇天以後を託された最重要人物であった。彼の言葉には、その人柄からみて偽りが全く無く、証人としてこれ以上ないと言える人物であった。

だから以下に述べるパウロがどんなに才能があって優れていたとしても、事実としてのイエス・キリストが確固として存在しなければ、全くそれは空しく絵に描いた餅となる。その目的にペテロは完全である。
付け加えるなら、独身を貫いたパウロと違ってペテロは妻帯しながら各地を巡回した。だから私は生き返ったドルカスと共に歩んでいる。

対するにパウロはその真逆である。最初、彼はイエスとその弟子たちを、自分を神と名乗る冒とく者、不思議を行って大衆を扇動する危険な一派だと見なしていた。だから真のユダヤ教を守るために、イエスとその弟子たち異端者たちを根絶しようと人一倍熱心に活動し、実際、ステパノを殺害した時の証人でもあった。
それだけでなく、さらに迫害の手を外国にまでも広げようとしたその時、ダマスコを前にして天からの強烈な光によって打ち倒され、
「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。」(使徒の働き9章)と強制的に神に召されてしまった。敵対者にして迫害者No.1であったパウロを、神権で持って宗旨替えさせたのである。これはペテロと大違いだ。(ダマスカスはの道でのパウロ)

この二人はしばらくして、ユダヤ人社会にはペテロが、異邦人社会にはパウロがと、互いの伝道するエリアを棲み分けるすることになった。
ペテロの属したエルサレム教会は、すぐに主の兄弟ヤコブがペテロを抜いて指導者となり、ペテロは都エルサレム以外のユダヤや少し足を伸ばして巡回するようになる。ユダヤはローマに反逆し、A.D.70に亡ぼされ、世界に散らされると同時にエルサレム教会も消滅した。

こうして最終的に残ったのはパウロの異邦人キリスト教会であり、もしパウロなかりせば、ユダヤ教の新興一派的なイエス派は、割礼を厳守するユダヤ教の中に取り込まれて消滅していたことだろう。しかしそうならなかったのは、最高度の律法学を学んでいたパウロが、ユダヤ教と決別した「信仰義認」の神学を打ち立てたからである。パウロはそのために神が備え、強制的に引き立てた人物であって、全世界対応にして最もユダヤ教を知る最適で完全な人物であった。

ペテロにしろパウロにしろ、神の計画はどんなに完全であるのかを、この二人を通して見るのは、誰も一致するところだろう。





ケパ


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