goo blog サービス終了のお知らせ 

茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

『お茶の歴史』

2010年12月13日 | Weblog
『The true history of tea』の著者ヴィクター氏が
お茶に出逢ったのは、
もう半世紀ほども前のこと。
平和部隊のボランティアとして働いたネパールで
マサラ・チャイを飲んだことに始まります。
砂糖とスパイスをで煮出したこのミルクティーが、
寒い冬の高地の夜に安らぎを与え、
暑い屋外での労働時にも
食中毒の不安から守ってくれたそうです。

飲み物としてのお茶に興味を抱き、
おいしいお茶を求めて歩き、
喫茶と仏教の関係を研究し、
長い年月を経て、
お茶で世界を鳥瞰した本書を
書き上げたようです。

彼はプロローグで、
茶を覚醒の葉と称し、
 アメリカの独立戦争に火をつけ、
 中国の詩人が最大の偉業を生む原動力となり、
 日本人の魂の真髄に入り込み、
 チベットの大勢の疲れたヤク飼い達を癒し、
 イギリスの偉大な発明家たちの真夜中のひらめきを助け、
 ロシアの数限りない小作農を禁酒に導き、
 何世紀にもわたって安全で刺激的な飲み物を提供し、
 人類の伝染病を減らし、
 混雑と喧噪の都会生活を可能にする上で
 重要な役割を果たしてきた
と説明しています。

全18章のうち、
日本と利休さんに2つの章をさいています。

「茶は、弱者が真の勝利を勝ち取る象徴」という著者は、
「茶だけが呼び起こせる透明な安らぎのひととき」に
生涯、魅入られてしまった人なのでしょう。

『お茶の歴史』
著者 ヴィクター・H・メア
   アーリン・ホー
訳  忠平美幸
発行 河出書房新社 
2010年9月
  

ふく寿海無量

2010年12月12日 | Weblog
我が社中では
お誕生日茶会というのを設けています。
5名いるので
一年に5回、茶事のお勉強というわけです。
今日は私のために一席設けていただきました。
テーマは「海」。
海を去って山に入った私に
潮騒を届けて下さったのです。

お軸は
片岡鶴太郎さんの「ふくのり」。
ふくに乗っている大黒様が私に似てるって・・・
え、え~~~。
笑み満々で、いいですけどー。
鶴ちゃんの画に
「福寿海無量」と書き足して下さってのお作です。

幸せいっぱい♪という感じの「福寿海無量」ですが、
本来は、
「福聚海無量」という法華経の言葉で、
 観世音菩薩の功徳は、
 福を聚(あつ)めた大きな海のように
 量に限りが無い
という意味なのです。

その海には、
歓びだけでなく哀しみもあるそうです。
艱難辛苦によって人間は成長する・・・
それが観音様の功徳なのだそうです。
要は、
心がけ次第で、
人生は「福いっぱいの海」になるということです。

なかなかしんどいお言葉ですが、
今日いただいたこのお軸には
「ふく」も「大黒様」も付いているから
な~みをすいすいな感じで
いいことありそうな感じがしちゃいます。
ちょっと嬉しいです♪

青のグラデーションがきいたお会記には、
海を渡ってきたお道具達、
海辺の國の品々が並んでいました。
海なお花は「海石榴」、
海なお菓子は「柴舟」。
いろいろご苦労もうかがえ、
ありがたき一日でした。

メイドカフェ

2010年12月10日 | Weblog
中国茶の集まりの帰り、
ちょっとお茶していこうと辺りを見れば、
そこは秋葉原。
せっかくだから~と、
10代でも20代でもない4名で、
メイドカフェの扉を開けてしまいました。
若い男の子ばかりの所へ
場違いだったらどーしようと気が引けていましたが、
20名ほどのお客様の8割は
50代前後のお父様方でした。
びっくりでした。

画像は
かわいい何とか星のメイドさんが
「おいしくなあれ」のおまじないをしてくれた
くまちゃんぱふぇです。
おいしかったです。
オーダーしたものがくると、
指でハートをつくって
みんなでおいしくなあれをするのです。
お隣のテーブルで
スーツ姿のお父さんが三人
メイドさんにあわせて
おいしくなあれビームを発しています。

別のテーブルでは
カクテルを美味しくシェイクするための
ニャンニャンダンス(?)です。
お父さん達が
シャカシャカ~♪
ニャンニャン~♪って。

メイドさんを見に行ったつもりが
そこで見たものは
ニッポンのお父さんの姿でした。
ちょっと気が滅入りながらも
その一方で、
緑茶もこの方式で広めようとか
茶筅を持ってシャカシャカ~とかどうかしらとか
ちょっと真面目に考えたりして。

「冥途カフェ」なら
おばさんでも許される?
お茶を日常的に飲んでいれば
長生きしたのに~
しゃかしゃか~
みたいなの。
500円払ってくれるかなあ。


豚とお茶

2010年12月09日 | Weblog
豚ちゃんとお茶について
こーんな研究がありました。

豚肉中の呈味および生理機能成分に及ぼす
製茶くず給与の効果(第1報) :
単飼による肥育後期からの給与試験
(西九州大学)

 飼料に茶くずを添加(1%)することにより、
 豚肉中の旨味成分(イノシン酸、
 グルタミン酸)が増大した。
 豚肉の脂身中のビタミンE含有量は、
 茶くず給与によって有意に増大した。
 豚肉中のα-トコフェロール含有量が、
 茶くずの給与によって有意に増大した。
 茶くずを給与した豚肉(赤身)は、
 冷蔵(4℃)保存中の過酸化脂質の上昇を
 抑制した。

 つまり、
 茶くずを長期的に給与する場合は、
 茶くず添加率は1%が適当で、
 高機能性豚肉の生産が可能であることが
 明らかとなった。

ということです。
お茶でおいしい豚ちゃんが育つのですね。

豚舎の消臭についての研究はまだないみたいです。
あったら、教えて下さい~。
飯山の豚舎の敷料には、
消臭効果を期待して
コーヒーの皮と炭が使われているとのことでしたが、
お茶は使っていないもよう。
地域の未利用資源の有効化に積極的なご様子なので
次はお茶を敷いていただきたいものですが、
茶葉や粉では
豚ちゃんにくっついちゃって
緑豚になってしまう~。

研究というのは興味深いですね。
フラボノイドとかリナロールは
豚ちゃんに吸収されなかったのかしら。
まだまだ調べないと。
今日は、
目も耳も覆いたいほど
くしゃかったし。




先輩

2010年12月08日 | Weblog
高校茶道の日です。
見学の女子が2名きました。
お菓子のいただき方、
お茶のいただき方を
隣で時期部長さんがご指南しています。

「自分の事より、
 まず、相手のことを考えるから・・・」
などと、
ご説明をなさっていたりして。
漏れ聞こえる言葉は、
一粒一粒がマスカットのよう♪
いろいろな説明がちゃんとインプットされている~♪
甘くてすっぱくて
なんて心地よいひとときだったでしょう。

その後、
では、お点前をという段になって、
仮置きの手が違い、
置き合わせの位置が違い・・・
あら?と黙って見ていた矢先、
お棗をひっくり返してしまい、
畳に緑が広がってしまい・・・。

お点前は完璧な彼女。
思わぬ緊張をしているのです。
ほっぺが林檎になっています。
そこで、
「天下一の点前」の話をしました。

利休さんが竹庵という人に招かれたのだけれど
竹庵さんは緊張して
お茶杓を落としたり茶筅を倒したりしちゃって
他のお客さんたちは
「あーあ」みたいな感じになっちゃったのだけど
利休さんは
「本日の点前は天下一である」
と褒めたという話があって、
それは、
おいしいお茶でもてなそうと、
一心に点ててくれたその心が
まさにお茶に大事な心だったからで、
今、先輩は、
手順なんか何にもしらない見学のお客様を前に
これだけ緊張して
お茶を点てようとしていたわけで
私は、
そんな利休さんのお話を思い出して
とっても感動して
とってもうれしくなっちゃったわん、と。

でも、それよりも、
正客の部長さんの
「畳の味がしておいしかったよ」は
大いに場を和ませてくれました。
天下一の正客です。
みんな、ホントにいい娘たち♪




2010年12月07日 | Weblog
「お番茶さしあげます」
で始まるお点前です。
甘い甘いお茶の香りに包まれて
韓国や台湾でのお茶のことを
思い出していました。

韓国も台湾も、今、茶道がブームです。
どんどん流派が起こっていて、
日本の茶道や煎茶道を研究に来ては
自由にそれをアレンジして
オリジナルのお点前が生まれています。

お茶も違いますし、
生活様式も宗教感覚も違いますから、
様々なアレンジで
お点前が組み立てられていくのは
とても楽しみなことです。

そんな自由な風に一方でわくわくしつつ、
はたと、千家の茶道を思いました。
400年、型を守っていることの意味が
突然、大きく感じられました。
「守」があっての
「それぞれ」。
流れる、くずす、遊ぶ、見立てる、やつす、
「破」と「離」が楽しめるのは
この「守」のお陰なのだなと
その大事さをあらためて感じたのです。
「左足」を固定した、自由。

多くが起こり、
多くが淘汰されてきた中で、
400年続いてきたのはすごいことです。
でも、なにが、
すごいのかしら・・・。

千家を3にしたこと、
守破離という3、
真行草という3、
なんとなく「3」が
すごい気がしました。

韓国にも中国にも
それぞれの文化に根ざしたお茶の歴史があります。
素晴らしい左足のお茶と
自由闊達な右足のお茶とを
存分に味わえるよう
私も両足でしっかりと立ちたいと思います。


夜咄の茶事

2010年12月05日 | Weblog
抜けるような青空の今日でしたが、
お草履を脱いだそこは闇の世界。
雨戸を閉め、
隙間には紙を貼り、
夜をつくって
お昼間から夜咄のお茶事です。

寄付から待合への真っ暗な廊下には
足元行灯が置かれてありました。
覗いて見ると
(いいのいいの、お稽古茶事なの)
蝋燭の代わりに
電池式ランタンがありました。
ぴったりサイズ。

膳燭は
懐中電灯が上向きにくくりつけられ
和紙で囲まれてありました。
大きさの合うランタン探しを
されたであろうご苦労と
一生懸命和紙をまいておられる姿が思われ
嬉しく香煎をいただいていました。

本席には
短檠が置かれ
かわいい炎が揺れていました。
本物です。
手燭が持ち出され
お点前が始まると、
揺れる灯りが
昼間であることを
すっかり忘れさせてくれました。

森に入ったら
一度30秒間目を閉じて
パッと開くと
緑がいよいよ緑に映るというので
ではここでも
と、30秒間目を閉じました。
おお、
確かに炎の透明感が増した感じです。

様々な茶事のお約束ごとを確認して
さあ
このような風情で夜咄の茶事を開こうというとき
やっぱり
寒さ対策が難問となるでしょう。
夜の幽玄さは格別なのでしょうが
相客に心するなら
秋のうちにすればよいのにと
どうしても思ってしまいます。

いえいえ
相客に心するなら
様々な工夫が生まれ、
心地よい席が整っていくのでしょう。
「夜咄にてあがり候」といわれる様に
夜咄の茶事は、
茶事の中でも難しく、
巧者のものとされて所以なのでしょう。

立派に♪

2010年12月03日 | Weblog
春に植えたお茶の苗が
ちゃ~~~~~んと
茶~~~~~んと
地に足をつけて育っていました♪
人生で初めて植えたお茶の苗です。
この畑はお茶の保育園、
次の春、
立派な幼木として
茶畑に移植します。

ここに植えた日から今日まで
見に来る機会がありませんでした。
今日は、
今年度最後の自主勉強会で、
今年実習を行った畑をどんどん回って
茶樹の様子を確認するということをしてきました。
その後、
有志5名、
ガストでスイーツをいただきながら
来年度の抱負に花が咲きました。
ぐちもいっぱいあったけど。

この茶葉の売れない時代に
茶畑どんどん開拓して
それで食べていけるのだろうか。
あと一年の実習期間が終わったとき、
さて、どんな人生の選択をするべか。
見通しは、
今日の空のように
暗雲たちこめておりますが、
幼木のエネルギーに背中を押されるかのように
なんとかするべ
と、散会となりました。

お茶の事が学びたいな
という動機で始めたこのプロジェクトですが、
どうも
お茶を売る苦しみに入り込みたくなっている?
Mです。
Minakoです。

農業が楽しいのと、
土が元気をくれるのと、
山が勇気をたたえてくれるのと、
茶ポーター仲間が素敵なのと、
そんなこんなで
あと一年、がんばるぞー。
それに、
なんてったって、
あの苗ちゃんの
お母さんなんだもん。

中国茶交流会

2010年12月02日 | Weblog


12月5日(日)・6日(月)の2日間
浜松町の東京都立産業貿易センターにて
「地球にやさしい中国茶交流会」が開催されます。

この機会に是非、
中国茶の味わい深さに
出逢っていただきたいです。
素晴らしいメンバーが
ごっそりと集合しています。
選りすぐりのお茶に出逢えます。

本当に、
こんな機会はなかなかありません。
お茶や茶器や本のフリマもあり、
セミナーもあり、
茶席あり、
闘茶ありの二日間です。
参加している15店舗は
いづれも
本当にお茶が好きな皆さんです。

11:00~17:00です。
中国茶未体験の方も、
好きなお茶を見つけたい方も
とにかく
行かねばです。

神在月

2010年12月01日 | Weblog


10月は神無月といいますが、
日本中の神様が出雲大社に集まるので
出雲以外に神様がいなくなる時期で
もともと旧暦の10月の異称でした。
ですから、
現代はだいたい11月が神無月、
今年でいうと12月5日までとなります。

出雲では逆に神在月、
神様大集合です。
APEC時の横浜に
全国の警察が集まったみたいな大騒ぎ?
そんな時期に
一度出雲に行きたいと思いつつ
今年もすぎてしまいそうです。

でも、ラッキーなことに
「出雲ぜんざい」を見つけたので、
熱々の茎茶といただきました。
出雲国神事の祈りに振る舞われた
「神在(じんざい)餅」に起因していること、
じんざいが出雲弁で訛って、
ずんざい→ぜんざいとなったこと
などの説明があります。

「日本ぜんざい学会」なるものもあるようです。
そちらのHPには、
  「ぜんざい」発祥の地は出雲であるということは、
  江戸初期の文献、
  「祇園物語」や「梅村載筆」(林羅山筆:儒学者)、
  「雲陽誌」にも記されています。

  「出雲國に神在もちいと申事あり。
  京にてぜんざいもちいと申ハ。
  これを申あやまるにや。
  10月にハ日本國の諸神ミな出雲國にあつまり玉ふゆへに。
  神在と申なり。その祭に赤豆をにて汁をおほくし。
  すこし餅を入まいらせ節々まつり候を。
  神在もちい申よし。」
  (祇園物語より抜粋)
と紹介されていました。

おぜんざいをいただけば、
どーしたってお茶が欲しくなりますよね。
15世紀の一休さんも
17世紀の林羅山も
おぜんざいと一緒に
どんなお茶を飲んでいたのかなあ。

熱々のお茶

2010年11月30日 | Weblog
「ぼうふらで一煎さしあげます」
というご挨拶で始まるお点前です。
お茶を淹れる急須と
2煎目のまわし急須と
熱々のお湯をつくるぼうふらと
3つのお道具が涼炉の上へ下へと
くるくる移動します。

上手(うわて)のぼうふらは
土モノです。
土モノで沸かしたお湯が一番よいと
考えられています。
カタカタ沸いたお湯を急須にとって
お茶の葉を投じます。
上投法です。
急須は磁器です。

90℃くらいで
淹れていることになるでしょうか。
茶葉を投じると
お茶の香りがぱーと立って
わくわくしてきます。
お茶碗を胸元にとりこむと
熱い茶の気が目を醒ましてくれます。
はあ~
かりんとうが美味しい♪

煎茶道では
磁器の急須を涼炉にかけて
カタカタ沸いたところで降ろして
すぐに茶葉を投入するお点前もあります。
どちらにしても
良いお茶を使います。

茶業では、
お茶の鑑定の時に
熱湯をさして品質をみます。
そのお茶の欠点がよく現れるからです。
ですから、
熱々でお茶をいただくためには
よいお茶でないと
ただ苦いだけのお茶がでます。

煎茶道のお点前は
様々な時代の茶を伝えています。
熱々でお茶を淹れていた時代の茶葉は
どんなだったのかなあと
茶の香りの中で思ってみました。
道具は残りますが、
茶の葉は残っていません。
お茶の味も香りもそのひとときだけのもの。
お茶は
その時その時の一期一会なんですね。

それにしても・・・
どうして今、
お茶業界は
「お茶はぬるい温度で」
を提唱しているのかしら。



片付ける

2010年11月29日 | Weblog
近くの本屋さんへ寄りました。
さすが厚木!
農業の本がたくさん並んでいるではありませんか。
有機の本がたくさんある中で
農薬が大事であるという本もありました。
対で読んでいこうと思います。

帰ろうとしたときに目に留まった本に
「片付けるとは人生に片をつけること」
とありました。
ぎょ~~~!
ハウツー本は好きでないのですが、
引っ越し後まったく片付かない空間に
嫌気がさしていたところで、
この本につい手が伸びました。
あれ、なんて本だったかな・・・。

とにかくポイントは
使うか使わないかで分けて
使わないものはどんどん捨てろと
いうことです。
そんなこと、わかってるもん。
それができないから片付かないのだ。
人生に片がつかない?
ん~、困りました。

使わないのに捨てられないモノは、
思い出の品。
母が大事にしていた木箱とか
祖母の「がま口」とか
母が作ってくれたスカートとか
絶対に使わないこういった類のモノに
どうさよならをすればよいのでしょう。
しまう場所がないなら
片をつけなければダメだ
と思ったとき
嫌だ!これは孫にお話をするときに使うのだ!
といういいわけが出てきました。

孫とお茶をしている光景・・・
初めて思い浮かべました・・・。
なんか、
しっかりしよう!と思いました。