政府は高速増殖炉原型炉「もんじゅ」が廃炉になるでつが、高速炉の研究開発は続ける方針を正式に決めたでつ。
フランスが進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画での日仏協力も深化。
だけど、仏も原子力事業で数多くの課題を抱え、ASTRID計画は盤石とはいえない状況
仏との協力は「もんじゅ後」の切り札になるかなぁ~。
関係者の話から、開発の実情や将来見通しを探った。
国際協力との相乗効果で高速炉開発を継続!
12月21日の原子力関係閣僚会議で決めた「高速炉開発の方針」で、政府は「国際協力と国内施設の相乗効果による開発の推進」をかかげたでつ。
アストリッドをめぐる日仏協力は、その柱の一つ。
既に仏とは、高速炉の炉心や燃料、冷却材のナトリウムの扱いに関する技術や、燃料から発生する余熱を効率的に除去する安全対策などの協力が進むでつ。
これをさらに拡大、加速し、効率的な開発に生かせないか検討。
高速炉のアストリッドでは、高速の中性子線を燃料中のプルトニウムにあてて核分裂を起こし、エネルギーを取り出すでつ。
軽水炉で核燃料を燃やすと出てくるプルトニウムを効率よく「消費」できるのが利点。
同時に、危険な放射線を長期間出し続ける「核のごみ」を半減期の短い物質に変え、放射線を出す期間を大幅に縮めることもできるでつ。
東京電力福島第1原子力発電所の全電源喪失のような過酷事故が起きた場合の安全性も大幅に高める構造にするでつ。
現在、大半の原子力発電所で使われている軽水炉と異なり、冷却材に水ではなく扱いの難しい液体ナトリウムを使う点はもんじゅと同じ。
だけど、天然ウランの大部分を占める「燃えないウラン」を「燃えるプルトニウム」に変えられ燃料が増える「増殖炉」ではないでつ。
仏はもんじゅと同様の高速増殖炉「スーパーフェニックス」計画に失敗し、路線変更した経緯があるでつ。
仏高速炉計画、20年以降の工程は白紙状態!
仏政府は2010年、アストリッド計画を「将来投資計画(PIA)」のテーマに選んだでつ。
PIAは毎年の通常予算とは別枠で、長期的に使える基金を設けるでつ。
アストリッド計画には19年までの10年間の調査研究費6億5000万ユーロ(約800億円)を割り当てたでつ。
PIAの総額は350億ユーロ。
原発関連はこのうち10億ユーロで、アストリッドはその一部にすぎないでつ。
調査研究に含まれるのは構想を練り、初期段階の概念設計を経て基本設計まで。
それが終わる19年末には、おおよその建設費も見えてくるでつ。
逆に言うと、20年より先の実用化へ向けた工程や予算措置は白紙に近い。
実際に炉を建設するには企業の協力が必要。
少し時間をかけて実現性を検討し、23年をメドに建設の是非を決めるでつ。
ゴーサインが出た場合の候補地としては、世界屈指の廃炉技術開発拠点としても知られるフランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)の南仏マルクール・センターが挙がっているでつ。
もっとも、調査研究もやや後ろにずれているでつ。
基本設計は当初17年末の完了を予定してだったでつが、19年末に変更。
PIAにはもともと人件費が含まれていないでつ。
財政難でCEA全体の人件費が抑制されたため、アストリッド計画の人繰りがつかなくなったのが遅れの原因。
人件費をすべて計算に入れると、ASTRID計画の費用は10年間で10億ユーロに達する見通し。
では、仏の原子力政策のなかでアストリッド計画はどのくらい重要な位置を占めているのか。
11月下旬、パリのCEA本部でフランソワ・ゴーシェ原子力開発局長に聞くと「優先課題とはいえない」と素っ気ない答えが返ってきたでつ。
仏政府は原子力大手アレバの経営再建を軸とした、原子力産業の再編問題に大変でつなぁ~。
日本も無関係ではなく、三菱重工業がアレバへの出資などを表明。
アレバの経営不振のきっかけとなった「欧州加圧水型軽水炉」(EPR)建設の大幅な遅れへの対応も優先課題。
既存原発の寿命延長問題なども重要で、これらに比べてアストリッドの注目度は高くないでつ。
仏政府がこれまでアストリッドの建設の推進役に想定してきたのは仏電力公社(EDF)。
だけど、EDFはアレバ救済計画にもかかわっており、巨額の投資には慎重になるとの見方も多いでつ。
こうしたなかで、日本の官民との協力に対する期待は高まり続けたでつ。
仏大統領と安倍さんは14年に、パリのエリゼ宮(大統領府)でアストリッドの研究協力に関する覚書に署名。
CEAのオフィスではなく、わざわざエリゼ宮で署名式を開いたところに仏政府の意気込みが表れているでつ。
担当者レベルでは当初、ここまで大仰になるとは思っていなかったようでつ。
フランスが日本資金を頼りにしている構図も…
アストリッド計画にはCEAや国内外の10社以上の約600人が参加してて、約半数がCEAの研究者や技術者。
残りの半数のうちもっとも多いのはアレバ関係者で、日本人はそれに次ぐ規模。
日本原子力研究開発機構、東芝、三菱重工業などの関係者が含まれるとみられるでつ。
参加企業は「下請けではなく出資を伴うパートナーだ」と指摘。
計画に携わる社員の給与はそれぞれの企業から出ており「どこまで負担するかは交渉次第だ」。
日本のもんじゅが廃炉になる一方で、アストリッドの研究開発の協力を人材、資金の両面で強化できるなら仏にとって悪い話ではないでつなぁ~。
日本国内では、仏が協力拡大に積極的なのは「資金目当てではないか」と警戒する声もあるでつ。
原発が未来永劫(えいごう)、人類にとって最良のエネルギー源というわけではないでつ。
太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用は着実に増え、コストも下がっているでつ。
いずれ「太陽で起きている反応を地上に再現する」という核融合の実用化の道筋も見えてくるかもしれないでつ。
そのための国際計画も動き始めているでつ。
それでも、今後数十年間は原子力を使わざるを得ないというのが多くの専門家の見方。
どのような技術的なブレークスルーを追い求めるのか。
アストリッドだけでなく世界の次世代原発の研究開発の動きもにらみつつ、幅広い議論を通して長期の青写真を描く時期にきているでつ。
そのうえで、どこに何を作り、どれだけ投資するのが最も得策かを、冷静に検討する必要があるでつ。
フランスが進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画での日仏協力も深化。
だけど、仏も原子力事業で数多くの課題を抱え、ASTRID計画は盤石とはいえない状況
仏との協力は「もんじゅ後」の切り札になるかなぁ~。
関係者の話から、開発の実情や将来見通しを探った。
国際協力との相乗効果で高速炉開発を継続!
12月21日の原子力関係閣僚会議で決めた「高速炉開発の方針」で、政府は「国際協力と国内施設の相乗効果による開発の推進」をかかげたでつ。
アストリッドをめぐる日仏協力は、その柱の一つ。
既に仏とは、高速炉の炉心や燃料、冷却材のナトリウムの扱いに関する技術や、燃料から発生する余熱を効率的に除去する安全対策などの協力が進むでつ。
これをさらに拡大、加速し、効率的な開発に生かせないか検討。
高速炉のアストリッドでは、高速の中性子線を燃料中のプルトニウムにあてて核分裂を起こし、エネルギーを取り出すでつ。
軽水炉で核燃料を燃やすと出てくるプルトニウムを効率よく「消費」できるのが利点。
同時に、危険な放射線を長期間出し続ける「核のごみ」を半減期の短い物質に変え、放射線を出す期間を大幅に縮めることもできるでつ。
東京電力福島第1原子力発電所の全電源喪失のような過酷事故が起きた場合の安全性も大幅に高める構造にするでつ。
現在、大半の原子力発電所で使われている軽水炉と異なり、冷却材に水ではなく扱いの難しい液体ナトリウムを使う点はもんじゅと同じ。
だけど、天然ウランの大部分を占める「燃えないウラン」を「燃えるプルトニウム」に変えられ燃料が増える「増殖炉」ではないでつ。
仏はもんじゅと同様の高速増殖炉「スーパーフェニックス」計画に失敗し、路線変更した経緯があるでつ。
仏高速炉計画、20年以降の工程は白紙状態!
仏政府は2010年、アストリッド計画を「将来投資計画(PIA)」のテーマに選んだでつ。
PIAは毎年の通常予算とは別枠で、長期的に使える基金を設けるでつ。
アストリッド計画には19年までの10年間の調査研究費6億5000万ユーロ(約800億円)を割り当てたでつ。
PIAの総額は350億ユーロ。
原発関連はこのうち10億ユーロで、アストリッドはその一部にすぎないでつ。
調査研究に含まれるのは構想を練り、初期段階の概念設計を経て基本設計まで。
それが終わる19年末には、おおよその建設費も見えてくるでつ。
逆に言うと、20年より先の実用化へ向けた工程や予算措置は白紙に近い。
実際に炉を建設するには企業の協力が必要。
少し時間をかけて実現性を検討し、23年をメドに建設の是非を決めるでつ。
ゴーサインが出た場合の候補地としては、世界屈指の廃炉技術開発拠点としても知られるフランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)の南仏マルクール・センターが挙がっているでつ。
もっとも、調査研究もやや後ろにずれているでつ。
基本設計は当初17年末の完了を予定してだったでつが、19年末に変更。
PIAにはもともと人件費が含まれていないでつ。
財政難でCEA全体の人件費が抑制されたため、アストリッド計画の人繰りがつかなくなったのが遅れの原因。
人件費をすべて計算に入れると、ASTRID計画の費用は10年間で10億ユーロに達する見通し。
では、仏の原子力政策のなかでアストリッド計画はどのくらい重要な位置を占めているのか。
11月下旬、パリのCEA本部でフランソワ・ゴーシェ原子力開発局長に聞くと「優先課題とはいえない」と素っ気ない答えが返ってきたでつ。
仏政府は原子力大手アレバの経営再建を軸とした、原子力産業の再編問題に大変でつなぁ~。
日本も無関係ではなく、三菱重工業がアレバへの出資などを表明。
アレバの経営不振のきっかけとなった「欧州加圧水型軽水炉」(EPR)建設の大幅な遅れへの対応も優先課題。
既存原発の寿命延長問題なども重要で、これらに比べてアストリッドの注目度は高くないでつ。
仏政府がこれまでアストリッドの建設の推進役に想定してきたのは仏電力公社(EDF)。
だけど、EDFはアレバ救済計画にもかかわっており、巨額の投資には慎重になるとの見方も多いでつ。
こうしたなかで、日本の官民との協力に対する期待は高まり続けたでつ。
仏大統領と安倍さんは14年に、パリのエリゼ宮(大統領府)でアストリッドの研究協力に関する覚書に署名。
CEAのオフィスではなく、わざわざエリゼ宮で署名式を開いたところに仏政府の意気込みが表れているでつ。
担当者レベルでは当初、ここまで大仰になるとは思っていなかったようでつ。
フランスが日本資金を頼りにしている構図も…
アストリッド計画にはCEAや国内外の10社以上の約600人が参加してて、約半数がCEAの研究者や技術者。
残りの半数のうちもっとも多いのはアレバ関係者で、日本人はそれに次ぐ規模。
日本原子力研究開発機構、東芝、三菱重工業などの関係者が含まれるとみられるでつ。
参加企業は「下請けではなく出資を伴うパートナーだ」と指摘。
計画に携わる社員の給与はそれぞれの企業から出ており「どこまで負担するかは交渉次第だ」。
日本のもんじゅが廃炉になる一方で、アストリッドの研究開発の協力を人材、資金の両面で強化できるなら仏にとって悪い話ではないでつなぁ~。
日本国内では、仏が協力拡大に積極的なのは「資金目当てではないか」と警戒する声もあるでつ。
原発が未来永劫(えいごう)、人類にとって最良のエネルギー源というわけではないでつ。
太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用は着実に増え、コストも下がっているでつ。
いずれ「太陽で起きている反応を地上に再現する」という核融合の実用化の道筋も見えてくるかもしれないでつ。
そのための国際計画も動き始めているでつ。
それでも、今後数十年間は原子力を使わざるを得ないというのが多くの専門家の見方。
どのような技術的なブレークスルーを追い求めるのか。
アストリッドだけでなく世界の次世代原発の研究開発の動きもにらみつつ、幅広い議論を通して長期の青写真を描く時期にきているでつ。
そのうえで、どこに何を作り、どれだけ投資するのが最も得策かを、冷静に検討する必要があるでつ。