脱炭素化や小売事業の全面自由化など、ビジネス環境の変化が激しいエネルギー業界。
各企業は持続可能な価値提供を実現する手段としてDXに取り組み始めているでつ。
政府は地球温暖化などの気候変動問題に対応するため、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を
均衡させるカーボンニュートラルを目指すと宣言したでつ。
そうなるとDX、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを革新し、企業の競争力を高める取組みが必要になるでつ。

DXの目的は、業務効率の向上、新しいビジネスチャンスの創出、顧客体験の向上、企業の競争力の維持、 働き方改革の促進。
DXの推進のメリットは…
生産性向上、収益増につながる
人材の最適化が可能となる
顧客や社会のニーズに基づいた体験的価値の提供が可能となる
新しい発見や市場機会を生み出すネットワーク価値の創出が可能となる
DXの推進のポイントは…
ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用する
顧客や社会のニーズに合わせて、商品やサービス・組織まで含めて変革する
組織、企業文化、風土をも改革する
DXは、単なるIT技術の導入ではなく、企業全体の変革を目指す包括的な取組。
カーボンニュートラルの実現には、社会全体のエネルギー使用量を削減する省エネの推進や、石油・天然ガスなどの
化石燃料に依存したエネルギー供給から脱却して再生可能エネルギーの主力電源化を図るエネルギートランスフォーメーションが必要。
そのためガスや電力などのサプライヤーであるエネルギー業界には、カーボンニュートラルに向けた社会の動きが加速するよう、
デジタル技術やビッグデータなどを駆使した先進的な取り組みが求められているでつ。
電力分野では2000年から徐々に規制緩和が始まり、2016年からは小売事業への参入が全面自由化。
規制緩和によって電力小売事業に参入する企業は急増し、現在資源エネルギー庁に登録されている事業者数はかなりの数があるでつ。
ガス分野においても2017年から全面自由化がスタートし、ガスと電力のセット販売などエネルギー小売サービスは多様化が進んでいるでつ。
DX推進によりエネルギー業界の企業には省エネサービスの拡充、再生エネルギーの安定供給、新しい成長事業の確立、社内業務の効率化などのメリットがあるでつ。
省エネサービスの充実でつ。
カーボンニュートラルの実現に向けて各企業が省エネに取り組む中で、エネルギー業界のDXは省エネ関連サービスの充実につながるでつ。
AIやIoTなどのデジタル技術を活用し、2021年から法人向けにデータ分析・省エネ施策立案などのコンサルティングサービスを提供しているでつ。
エネルギー業界のDXが進むと、これまで難しいとされてきた再生エネルギーの安定供給が可能になると考えられているでつ。
次世代の主力電源として期待されている太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、発電量が自然状況に
左右されやすく不安定であるというデメリットがあるでつ。
電圧制御にAIを活用することで電圧調整機器の動作回数を低減させることに成功。
再生可能エネルギーの安定供給を実現に近づけたでつ。
一般消費者がエネルギー販売事業者を自由に選べるようになったことで、従来の大手電力会社・ガス会社はデジタル技術を
活用した事業改革で多様化する顧客ニーズに対応していく必要が出てきるようになったでつ。
DXは事業やサービスの充実につながるだけでなく、管理ツールの導入などを通して社内業務の効率化も促進するでつ。
たとえば、企業データを収集・分析し、レポートとして見える化するBIツールを導入することで、営業・財務・人事など
さまざまな部門の意思決定がスムーズに進むでつ。
カーボンニュートラルや小売事業の全面自由化などエネルギー業界を取り巻くビジネス環境は激しく変化しており、
DXによる組織改革・事業改革が喫緊の課題となっているでつ。
デジタル技術の活用により既存事業の強化や新しい経営基盤の確立が期待できるでつが、DX推進においては
デジタル人材の確保やセキュリティ対策の徹底などが必要になるでつ。
社内業務が効率化されれば、イノベーション創出など重要な経営課題に充てられるリソースが増え、企業のさらなる競争力強化が期待できるでつ。
DXに伴ってデジタル環境を中心としたビジネス・業務に移行すると必然的にサイバーインシデントに遭うリスクも高まるため、
徹底的なセキュリティ対策を実施する必要があるでつ。
セキュリティ対策が不十分であると自社だけでなく業務提携先も被害を受けかねないでつ。
サイバーインシデントを防ぐためには、多層防御の実施やセキュリティ部門の強化、定期的な従業員教育など多角的な対策が必要。
また、インシデントが発生した場合でも被害を最小限に抑えるBCP体制の構築も重要。
エネルギー業界がDXに取り組むうえで必要となる3つの取り組みがあるでつ。
① DXの先にあるビジョンを明確にする
DXを本格的に推進するためには、DXに取り組んだ先にある企業ビジョンを明確に定めることがまず大切。
DXは目的そのものではなく、社会変化が激しい時代において組織が持続的なビジネスを展開していく一手段。
そのため企業として今後どのような価値を社会に提供していくのか、価値提供のためにデジタル技術をどう活用するのかをはっきり示さなければ、
ただデジタルツールを導入するだけの表面的なDXで終わってしまうでつ。
② DX推進専門の組織をつくる
DXでは全社横断的な対応が求められる場面が多いため、DX推進を専門とする組織が必要になるでつ。
組織内のメンバーは、現場で起こりうるトラブルやあらかじめ想定して適切に対処するために、さまざまな部門・職種の人材が集まっていると理想的。
③ デジタル人材の採用・育成を強化する
DX推進には、施策を実現できるスキル・知識を持つデジタル人材の採用と育成の強化が必要不可欠。
採用を強化する点においては、人事評価や待遇の見直しを行う、リモートワーク導入で働きやすい環境を整えるなどの取り組みが考えられるでつ。
育成の面では、デジタルリテラシーに関連するオンライン学習ツールを導入する、意欲のある従業員が最新テクノロジーを学びあえる研修機会を
設けるなどの取り組みが挙げられるでつ。