2007年4月29日 槍ヶ岳(飛騨沢)
GW開幕直前、飛騨の超人Hさんから槍日帰りのお誘いをいただいた。
自転車山行初体験への不安もあったがこんな素晴らしい機会はない。是非と思い、参加を申し出たろころ、快くご了解をいただいた。
今回は未だ経験したことの無いハード山行になりそうだ。足並みを乱して迷惑をかける訳にはいかない。睡眠時間確保のためアクセスはオール高速。通勤割引トリプル効果で懐の傷は浅めで済んだ。
21時半には新穂高に到着。約束の3時出発まで十分睡眠は取れそうだ。
しかし…神経が昂ぶっているのか、出発前に注入した「眠眠打破」が効き過ぎなのか…結局一睡も出来なかった。
3時前。予定どおりHさんと待ち合わせ。同行のTさんとご挨拶。よろしくお願いします!
3時00分。新穂高温泉駐車場出発。
スキー板を担いでの暗闇チャリ漕ぎは大変そう。ツアーブーツでのペダリングも心配だ。
駐車場を出てからバスターミナルへの連絡歩道の階段でいきなり転倒。前途不安…
4時00分。穂高平。
東の稜線が白みはじめるが、まだ空には星が瞬いている。
ツアーブーツのペダリングは意外とスムーズ。というか、歩いて押した区間が殆どだった…。
4時27分。柳谷。
柳谷のU字カーブを過ぎた所で自転車をデポ。シール歩行に切り替えるため準備。
薄暮の中に笠が岳が青白く浮かぶ。
4時38分。行動再開。
林道の雪はしっかり残っている。行きは白出小屋までスキーを脱がずに歩き通すことができた。
5時02分。白出沢。
抜戸岳の稜線が鮮やかなオレンジ色に染まる。
これから展開される朝焼けの情景をじっと見ていたいが、先を急ごう。
白出沢から5分程歩いた所で夏道を離れ、右俣谷へ下りる。
右俣谷左岸の雪はまだ十分残っており、行く手を阻む困難な地点は無かった。時期は今回の方が多少早いが、過去2回通過した時よりも雪量は多い。
6時30分。滝谷。
前日の降雪で滝谷も冬景色。沢にはたっぷり雪が堆積しており、通過に問題はなかった。
今日はより一層人を寄せ付けない雰囲気、雪の滝谷。
槍平へ向けて高度を上げてゆくと、後に穂高連峰が朝日を受けて輝いていた。
樹林を抜ければ槍平。雪はフカフカ。今日はまるで冬山のようだ。
7時22分。槍平避難小屋。
ここには、Hさんのお仲間が前日から入山している。この時間なので既に槍に向かって出発しているようだ。
槍平から涸沢岳を仰ぐ。
7時37分。飛騨沢に向けて行動再開。
先行の方のトレースを使わせていただいていて快適なハイクアップ。
最高の晴天、極上の雪景色。鳥の囀りが心地よい。
「鳥も喜んでますね」とHさん。
右俣谷と違って実に快適な飛騨沢下部。
今日はどの山行っても当りのようです。
快調に高度を上げる。気持ちいい。
9時頃になると、飛騨乗越から下山してくる登山者の方とすれ違う。
前日荒天だっただけに、フカフカの雪を跳ねて下る足取りも軽やかだ。
皆さんニコニコ顔で下って行きます。
この景色を見れば誰でもニッコリ。
10時13分。
標高2,870mまで上がった所で、上部から紅一点。単独行さんがひらひらと舞い降りてきた。Hさんのお仲間だ。
もう飛騨乗越まで達して、滑り降りてきたとのこと。速いです。
後ほど再会することを約して一旦お別れ。
GWにして雪は極上。昨日荒天の中頑張られたご褒美のようです。
10時44分。飛騨乗越。
GWの槍に付き物なのか?稜線上は今日も烈風。
風除けにもならない岩陰でアイゼンに履き替える。
眩い氷を纏った槍の穂先。槍沢からは続々と登山者。
11時10分。行動再開。
11時27分。槍岳山荘。
山荘前も強風。荷物をデポして山頂を目指す。
この時は雪の状況を甘く見ていた。自分も登れると軽く判断してしまったことに、後で後悔することになる。
いざ、山頂へ。
穂先へのルートは僕には厳しかった。ステップと鎖でルートは出来上がっていたが、雪が緩み始めた箇所はピッケルが効き辛く、肝が縮み上がる心地。途中で引き返すことも出来ず泣きながら最後の梯子に辿り着いた。
12時10分。槍ヶ岳山頂。
山頂からの景色を楽しむ余裕はあまりなかった。
下山のことで頭がいっぱい。
山岳展望を楽しむ余裕もなく…
穂高を眺める余裕もなし。
異様な美しさを放つ天上沢上部。
12時25分。下山開始。
下山はHさんにアドバイスしてもらいながら慎重に下った。
ホールドし辛い岩場の通過は冷汗ものだが、何とか無事通過。
13時06分。無事槍岳山荘に戻れた時は、どっと疲れが出た。
13時30分。滑走準備を整えて槍岳山荘出発。
飛騨乗越へはカリカリアイス。乗越下部の岩は露出しておらず、やはり多雪の印象。
13時45分。飛騨乗越直下。
アイスバーンはほんの僅かの区間。そこから先は最高の斜面がずーっと続きます。
午後になっても雪の状態は良好。GWにパウダーです。
感動するほどのスーパーテクニック、Hさん。
肩で息をしながらシュプールを見返る。
穂高をバックに最高のロケーションを滑るTさん。
こんな美しい雪景色を見られるとは思わなかった。
14時10分。槍平。
Hさん速すぎです…。僕は全身ガタガタ来てます。
ここから白出沢まで地獄のダイラ。
HさんとTさんはヒョイヒョイとブッシュを避けて滑ってゆくが、僕は小枝と悪戦苦闘。
デブリの通過もままならない。
最後の白出沢への登り返しでノックアウト。「難行」「苦役」とブツブツ呟き喘ぎ声。
15時18分。白出沢で大休止。
15時40分。柳谷で自転車に乗り換え。
16時05分。新穂高温泉直前の作業場で先に下山していたSさんに再会。
16時23分。無事新穂高温泉駐車場に到着。
まさか飛騨沢ワンデーが実現するとは思っていませんでした。
無事槍の穂先まで登頂させていただき、GWのパウダー滑走。
最高の1日を過ごさせていただきました。ありがとうございました。
さて翌日も晴れの予報。
半日程度の軽いコースがあればいいのだが…
Hさん、Tさんの話を聞いているうちに「白山東面台地」に行きたくなってきた。
せっかく自転車も積んできているので、下部だけでも様子を伺いに行くことにした。
疲れた身体に平瀬までの移動がまた「苦行」だった。
GW開幕直前、飛騨の超人Hさんから槍日帰りのお誘いをいただいた。
自転車山行初体験への不安もあったがこんな素晴らしい機会はない。是非と思い、参加を申し出たろころ、快くご了解をいただいた。
今回は未だ経験したことの無いハード山行になりそうだ。足並みを乱して迷惑をかける訳にはいかない。睡眠時間確保のためアクセスはオール高速。通勤割引トリプル効果で懐の傷は浅めで済んだ。
21時半には新穂高に到着。約束の3時出発まで十分睡眠は取れそうだ。
しかし…神経が昂ぶっているのか、出発前に注入した「眠眠打破」が効き過ぎなのか…結局一睡も出来なかった。
3時前。予定どおりHさんと待ち合わせ。同行のTさんとご挨拶。よろしくお願いします!
3時00分。新穂高温泉駐車場出発。
スキー板を担いでの暗闇チャリ漕ぎは大変そう。ツアーブーツでのペダリングも心配だ。
駐車場を出てからバスターミナルへの連絡歩道の階段でいきなり転倒。前途不安…
4時00分。穂高平。
東の稜線が白みはじめるが、まだ空には星が瞬いている。
ツアーブーツのペダリングは意外とスムーズ。というか、歩いて押した区間が殆どだった…。
4時27分。柳谷。
柳谷のU字カーブを過ぎた所で自転車をデポ。シール歩行に切り替えるため準備。
薄暮の中に笠が岳が青白く浮かぶ。
4時38分。行動再開。
林道の雪はしっかり残っている。行きは白出小屋までスキーを脱がずに歩き通すことができた。
5時02分。白出沢。
抜戸岳の稜線が鮮やかなオレンジ色に染まる。
これから展開される朝焼けの情景をじっと見ていたいが、先を急ごう。
白出沢から5分程歩いた所で夏道を離れ、右俣谷へ下りる。
右俣谷左岸の雪はまだ十分残っており、行く手を阻む困難な地点は無かった。時期は今回の方が多少早いが、過去2回通過した時よりも雪量は多い。
6時30分。滝谷。
前日の降雪で滝谷も冬景色。沢にはたっぷり雪が堆積しており、通過に問題はなかった。
今日はより一層人を寄せ付けない雰囲気、雪の滝谷。
槍平へ向けて高度を上げてゆくと、後に穂高連峰が朝日を受けて輝いていた。
樹林を抜ければ槍平。雪はフカフカ。今日はまるで冬山のようだ。
7時22分。槍平避難小屋。
ここには、Hさんのお仲間が前日から入山している。この時間なので既に槍に向かって出発しているようだ。
槍平から涸沢岳を仰ぐ。
7時37分。飛騨沢に向けて行動再開。
先行の方のトレースを使わせていただいていて快適なハイクアップ。
最高の晴天、極上の雪景色。鳥の囀りが心地よい。
「鳥も喜んでますね」とHさん。
右俣谷と違って実に快適な飛騨沢下部。
今日はどの山行っても当りのようです。
快調に高度を上げる。気持ちいい。
9時頃になると、飛騨乗越から下山してくる登山者の方とすれ違う。
前日荒天だっただけに、フカフカの雪を跳ねて下る足取りも軽やかだ。
皆さんニコニコ顔で下って行きます。
この景色を見れば誰でもニッコリ。
10時13分。
標高2,870mまで上がった所で、上部から紅一点。単独行さんがひらひらと舞い降りてきた。Hさんのお仲間だ。
もう飛騨乗越まで達して、滑り降りてきたとのこと。速いです。
後ほど再会することを約して一旦お別れ。
GWにして雪は極上。昨日荒天の中頑張られたご褒美のようです。
10時44分。飛騨乗越。
GWの槍に付き物なのか?稜線上は今日も烈風。
風除けにもならない岩陰でアイゼンに履き替える。
眩い氷を纏った槍の穂先。槍沢からは続々と登山者。
11時10分。行動再開。
11時27分。槍岳山荘。
山荘前も強風。荷物をデポして山頂を目指す。
この時は雪の状況を甘く見ていた。自分も登れると軽く判断してしまったことに、後で後悔することになる。
いざ、山頂へ。
穂先へのルートは僕には厳しかった。ステップと鎖でルートは出来上がっていたが、雪が緩み始めた箇所はピッケルが効き辛く、肝が縮み上がる心地。途中で引き返すことも出来ず泣きながら最後の梯子に辿り着いた。
12時10分。槍ヶ岳山頂。
山頂からの景色を楽しむ余裕はあまりなかった。
下山のことで頭がいっぱい。
山岳展望を楽しむ余裕もなく…
穂高を眺める余裕もなし。
異様な美しさを放つ天上沢上部。
12時25分。下山開始。
下山はHさんにアドバイスしてもらいながら慎重に下った。
ホールドし辛い岩場の通過は冷汗ものだが、何とか無事通過。
13時06分。無事槍岳山荘に戻れた時は、どっと疲れが出た。
13時30分。滑走準備を整えて槍岳山荘出発。
飛騨乗越へはカリカリアイス。乗越下部の岩は露出しておらず、やはり多雪の印象。
13時45分。飛騨乗越直下。
アイスバーンはほんの僅かの区間。そこから先は最高の斜面がずーっと続きます。
午後になっても雪の状態は良好。GWにパウダーです。
感動するほどのスーパーテクニック、Hさん。
肩で息をしながらシュプールを見返る。
穂高をバックに最高のロケーションを滑るTさん。
こんな美しい雪景色を見られるとは思わなかった。
14時10分。槍平。
Hさん速すぎです…。僕は全身ガタガタ来てます。
ここから白出沢まで地獄のダイラ。
HさんとTさんはヒョイヒョイとブッシュを避けて滑ってゆくが、僕は小枝と悪戦苦闘。
デブリの通過もままならない。
最後の白出沢への登り返しでノックアウト。「難行」「苦役」とブツブツ呟き喘ぎ声。
15時18分。白出沢で大休止。
15時40分。柳谷で自転車に乗り換え。
16時05分。新穂高温泉直前の作業場で先に下山していたSさんに再会。
16時23分。無事新穂高温泉駐車場に到着。
まさか飛騨沢ワンデーが実現するとは思っていませんでした。
無事槍の穂先まで登頂させていただき、GWのパウダー滑走。
最高の1日を過ごさせていただきました。ありがとうございました。
さて翌日も晴れの予報。
半日程度の軽いコースがあればいいのだが…
Hさん、Tさんの話を聞いているうちに「白山東面台地」に行きたくなってきた。
せっかく自転車も積んできているので、下部だけでも様子を伺いに行くことにした。
疲れた身体に平瀬までの移動がまた「苦行」だった。
GW後半は黒部方面でした。槍と違って緊張感少なめで楽しむことが出来ました。
雪の槍は暫くゴメンです…
夏でも私はびびってましたよー。
無事に下山できてよかった、よかった。
GW後半戦も気を付けて~
僕らが滑ったのは午後ですが、午前中一番で滑走した方々は雄叫びをあげて楽しんでらっしゃいました。
今回も疲れました。食欲も回復してきて食べてはいますが、なかなか倦怠感が抜けないです…
>MINMINさん、おはようございます。
ご訪問ありがとうございます。拙いブログですがよろしくお願いします。
穂先にお一人で登られたんですね、凄いです。僕は登りで遅れをとって一人になったときは泣いてましたよ。
>ヒデさん、おはようございます。
今年のGWは滑るところ無いかも…とは杞憂だったみたいです。飛騨沢も雪たっぷりでした。
白馬方面もまだまだ楽しめるようですね。7日晴れるといいですね。
写真を見る限り本当に真冬なみの景色ですね。この時期にパウダーに舌鼓なんて羨ましい限りです。
白山レポ楽しみです。
ちなみに僕は天気が良ければ7日に白馬方面に行ってきます。
パウダー満喫されたようで、よかったですね。私らは翌日で上は堅めの雪の部分が多かったですが、少しパウダー残っていて幸せな気分でした。
翌日、白山東面台地を翌日に行かれたとは。。。事故があったようで、悲しいことです。
飛騨沢の上はパウダーだったのですね。
読んでいて身体がむずむずしてくるようでした。
それはそうと、白山東面台地の前日には飛騨沢を日帰りされていたのですか…。
軽く目眩がするほど驚いてしまいました。