清水入緑地で見られる「モトマチハナワラビ(元町花蕨)」。ハナヤスリ科ハナワラビ属の常緑性シダで草丈は30~40センチ。低地や山地の林床などに生育する。春に枯れた胞子葉を見ていたが、写真はちょうど胞子葉が伸びてきたところ。“元町”は、横浜でも神戸でもなく、伊豆大島の元町で発見されたことから名付けられている。名前としては“伊豆花蕨”のほうが良かったと思うが、今更仕方がない。
カニクサ科(←フサシダ科)カニクサ属の「カニクサ(蟹草)」。夏緑性のシダ植物で、シダには珍しいつる性の形態をしている。さて写真には何枚の葉(成葉)があるだろうか。茎のように見えるのは茎ではなく葉軸であり実際の茎は地中にある。蔓から横に出ているのはシダの羽片で、これらが集まって1枚の羽状複葉となる。写真では7~8本の葉軸が見えるので、ここにはせいぜい7~8枚の葉があるということになる。やや太い羽片の栄養葉と細かく分かれた胞子葉が混ざって付いている。これは由木中央小学校付近の住宅地の擁壁に生えているもの。
長沼公園“西尾根”の湿った岩壁に着生しているコケ植物。写真の茎の長さは2.5センチほどで人差し指の半分しかない。そこから両側に伸びた裂片は5~10ミリ。コケの同定は難しいがこれは「ホンシノブゴケ(本忍苔)」と判断した。シノブゴケ科ホンシノブゴケ属の蘚類で、茎が細かく枝分かれしシダのシノブに似ていることから名付けられている。
シシガシラ科コモチシダ属の「コモチシダ(子持ち羊歯)」。先日、葉の表面に小さな無性芽が出始めているのを確認したが、再び訪れてみると褐色だった芽が若草色になり数がずいぶん増えていた。ひとつの無性芽の長さは5~6ミリ。
大塚公園付近の道端で見掛けた「トクサ(砥草・木賊)」。トクサ科トクサ属のシダ植物で、全国の湿地に生育するが、観賞用に栽培されているものが多い。トクサの表皮にはケイ酸が含まれており、古くから木工品や金属の研磨に利用されてきた。また茎を乾燥させたものが生薬の“木賊(もくぞく)”で眼病などに薬効がある。
写真は茎頂の胞子嚢の様子で、そこに力士の顔があった。大相撲は本来であれば今月は“名古屋場所”だが、今年は“七月場所”として両国国技館で開催されている。観客は掛け声の代わりに拍手になり、横綱土俵入りの際の『ヨイショ!!』も無い。開催できているだけで良しとしなければならないだろう。