長電話

~自費出版のススメ~

ネット社会における北風と盧風、戦争と平和

2010-06-04 | 政治
アメリカの原油流出事故とともに、トップ記事でもおかしくないのに、意外と報道量が少ないのが2日に行われた韓国の統一地方選挙の結果です。南北危機時には必ず保守系の票が伸びるし、事前の世論調査でも与党ハンナラ党有利の情勢が、いっきに野党民主党がまきかえしにでて大波乱、実質的に与党の敗北となりました。

地方選とはいえ、争点は例の「哨戒艦爆破事件」。世界では「キタが悪いに決まっている」というムードの中、野党民主党は李明博大統領のキタに対する強硬姿勢がこの事件を招いたと主張。漢方薬のようにじわじわと効くと信じる太陽政策支持を明確にしており、キタと事を構えるかどうかというこの時期に、紛争の最前線で日本人には信じられないやんわりした主張を繰り返し、そして勝利したことはメッセージであり、現大統領があくまで「経済」的理由で選ばれたことを示し、自殺した前盧大統領や故金大中元大統領の執念が国民、特にツイッター選挙を展開した若い世代にすっかり浸透しているといえます。

駆逐(戦争)による平和と、融和による懐柔(平和)とを選べといわれれば、当事者であれば私も懐柔を選ぶでしょう。「死ぬのは嫌だ、戦争反対」であり国の「ステゴマ」になるのは嫌だということです。でも他国(とはいえ隣国ですが)の話であり、キタの国民の窮状を考えれば、駆逐することによって人権問題を解決してほしいとも思ってしまいます。

沖縄の位置という理由から沖縄の米軍基地が重要なように、日本にとってキタの最前線に韓国があり防波堤になってしまっているのも、日本嫌いの韓国人にとっては皮肉なことです。

ネットという、当事者意識が薄れ、観念的にならざるをえない社会が、朝鮮半島では左にぶれ、日本では右にはぶれています。良し悪しを超えて考えるなら、キタという「野生」がそんなSF的な世界にどんな突破力を示すのかも興味深いところです。