まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

さよなら、田中さん

2018-01-31 07:33:27 | 読書のすすめ
今日も寒いですね。
木曜にはまた雪予報。
あまり積もらないといいなあ。

さて 鈴木るりかの「さよなら、田中さん」を読みました。
現役中学生の執筆で話題となった本です。

さよなら、田中さん
鈴木 るりか
小学館



本作の主人公、花実(はなみ)ちゃんは小学生中学年。
花実ちゃんにはお父さんがいない。お母さんは土木現場の作業員として働いていて、
かなり日焼けして外見はゴボウに似ている。
お母さんは高校すら出たのか怪しいが、新聞をよく読んでいて知識がある。
ニュースで犯罪を犯した人のことをやっていたから、
さりげなく「お父さんも犯罪者だったりしてね。」的な事を言ったら
お母さんは動揺していた。
そこで花実ちゃんはきっとお父さんは犯罪者なんだろうなあ。と心の中で思っている。

お年頃なれど、お母さんをバカにしているわけでもないし、ましてや軽蔑しているわけでもない。
クラス担任の木戸先生は、体が細くていう事が気色悪いと女子にも男子にも不評だが、
花実ちゃんは「あの先生はときどきいいことを言う。」と認め公言できるような女の子なのである。
花実ちゃんがこんな風に育ったのは間違いなく、
少々がさつだが心根のいいお母さんのおかげである。
花実ちゃんは自分の家がとてつもなく貧乏なことは自覚しているが、
お母さんが一生懸命自分を育ててくれていることを理解しており、
前述のお父さんの件も深く追求しない優しさや
クラスでいじめられている子に普通に接する強さも兼ね備えている。



物語は淡々としていて殺人事件なんて起きないが、
エピソードひとつひとつがユニークで時にクスリと笑え、
時にじわっと胸にこみあげるものがある。そして終わり方もいい。
私が好きなタイプの作家さんである。

途中、花実ちゃん公認の木戸先生はもちろんのことお母さんもすごくいいことをいうのである。

初出版にもかかわらず、肩ひじ張ったところがなく、
いい意味で自然体でるりかさんのこれからの作品を楽しみにしたくなる。
そんな本でした。お薦めです。

花実ちゃんのお母さんが、ある人物に
「死にたくなったら、とりあえずメシを食え。そして食った分だけ生きろ。」
というシーンは、真理であり、苦しんでいる人を励ます魔法の言葉であると思うが
中学2年のるりかさんがその言葉を自然にお母さんにしゃべらせる力量に脱帽だ。
他の誰かが言っても説得力がない。登場人物にそれだけのパワーを与えているのだ。

つかれている時 悲しい時 死にたくなった時
その人に必要なのは 暖かいものを食べて 少しでもゆっくり休むこと。
実際には こういう状況の時 自分でこれを実行するのは難しい。
食べることなんて興味を失っているだろうし ゆっくり眠れる状況じゃないだろう。

それでも誰かにこう言ってもらえて それを実現出来たら
その人はその一晩は生きることができ 次の日は
もしかするとちょこっと元気が出ているのかもしれない。
切にそう願う。

いがぐりおも 食べて寝て元気だそうね。^^V
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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2 コメント

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Unknown (maki)
2018-01-31 14:01:14
こんにちは。
現役中学生の作品だと思えないような・・・。
ぜひぜひ読んでみたいです。きっと泣いちゃいそう。
とりあえず飯を食え!ほんと食べれおなかが満たされたら
考えも変わったり、おもわぬ閃きでいい結果をよびそうですね。
返信する
makiさんへ (まんじゅう)
2018-02-03 07:22:39
おはようございます。

そうなんです。
とてもこなれている感じでした。いい意味です。
機会があったら、是非読んでみてください。
花実ちゃん本当にいい子なんですよ!
返信する

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