毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「和歌山県・山東省共催スピーチコンテスト、一位になっちゃった!」No.2713

2018-10-13 21:26:07 | 中日(日中)交流

↑昨日、菏澤学院から菏澤駅に向かうタクシーの中の趙祖琛さん。

↓開会を宣言する会場校(聊城大学)日本語学科の学生たち。

なんとまあ、一位になってしまいましたよ~。

一位と言っても中国のランク付けは、

トップが特賞、次が一位なのですけど、

他大学20校の3年生の先輩方を差し置いて

こんなに上位の賞をいただけるとは、

本当に、本当に、ありがたいことです。

趙祖琛さんのスピーチは次のようなものでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(課題テーマ)「未来の自分に伝えたいこと」

           菏澤学院日本語学部  趙 祖琛

「特別優秀クラスの第二位」・・・・・・高校入学時の私の成績です。

奇跡のようなその成績に、両親も私も大喜びしました。

しかし、その輝かしい成績こそ、私にとって大きな呪縛になったのです。

(何としてもこの成績を維持しなければ!)

クラスの全員が競争相手に見えた私は、

(一人で頑張るしかない。他人は私と関係ない)と、

自分の周りに厚い壁を築きました。

先生にさえ質問せず、全部自分で完璧にしようと、

朝五時から夜十二時まで必死に勉強しました。

ご飯を食べていても味も分からず、

寝ている時すら楽になれません。

そんなに頑張った一年間でしたが、成績はぱっとせず、

医師に「鬱病」と診断されました。

最後は、不登校になりました。

家族や周りの人はこんな私にとまどうばかりで、

「もう少し頑張ればスランプを脱出できるよ。頑張って。」

(私はそんな言葉がほしいんじゃないのに!)

……しかし、自分も自分の無力が許せません。

かと言って死ぬ勇気もありません。

受験地獄は、中国の多くの高校生の心を簡単につぶしかねません。

睡眠時間を削る過重な課題、頻繁に実施される試験。

生徒の価値はただ成績だけで、友達は自分を蹴落とすライバルです。

 

そんな気持ちを引きずって大学に入った私は

(高校の時の失敗だけは繰り返すまい)と自分に言い聞かせました。

そんな時です、同じクラブのある女の子から

「付き合ってください」と言われたのは。

精一杯勇気を振り絞っての言葉だと、見てすぐわかりました。

全身、緊張しながら、私に手を差し伸べている彼女の姿が、

私と他人を隔てる壁に小さな穴を開けました。

付き合い始めた私たちは、一緒にリンゴをかじりながらお喋りしたり、

好きな観葉植物を飽きずに見たり・・・・・・。

こんな普通のことが、私の心の氷を、ゆっくり、溶かしていきました。

そうなると全てが変わってきて、今ではクラスのみんなに、

「趙さん、前よりずっと話しやすくなったよ!」

と言われています。

 

一年の終わりに、私は日本語能力試験N2を受けることにしました。

とても高いハードルですが、大切な人に、

自分の努力している姿を見てもらいたかったんです。

精一杯頑張る中で、どんどん日本語が好きになり、試験結果は177点。

努力が成果に繋がりました。

彼女がいたから、私は安心して頑張れました。

私が学んだ大切なことは

「一人では何もできない。生きていくことでさえ……。」

ということです。

 

受験勉強で凍りついた私の心は、他人(ひと)の力を借りて解放されました。

これまでの悲しみや苦しみは、これから私を、

より大きな世界へと羽ばたかせる力になる、

そうしなければならない、と思います。

今、未来の自分に伝えたい。

「さあ、今度は、お前が勇気を振り絞れ!

悲しみを抱えて苦しむ、一人ぼっちの誰かのために。」と。




 

 

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2 コメント

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やった~~っ! (こきおばさん)
2018-10-14 07:59:33
おめでとうございます!!
期待通りの好成績。
趙君よくガンバリましたね。やはり先生の指導の賜物です。
今年も代表は来日できるのですか?
来られるといいですね。

素晴しい!良かった。また一つ趙君に生きる力が与えられましたね。
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一週間が過ぎて・・・・・・ (ブルーはーと)
2018-10-20 00:56:11
こきおばさん様
コンテストから明日で一週間。土曜日も日曜日も祝日も、全てスピーチ練習に当てた日々でしたが、今日、ようやく一息つきました。
明日・明後日が完全に休みだと思うだけで心が解放されます。私ですらそうなのですから趙祖琛さんがストレスで苦しんだのも頷けます。
そのストレスに押し潰されず、最後までやりぬいたことは、きっと彼にとって自信になると思います。

1等賞と言っても、中国では特賞がトップで、1等賞はその次なので、実質的には2位なんです。残念ながら和歌山県に招待されるのは特賞の1人だけです。去年の韋彤さんは特賞でした。

でも、2年生の趙さんにはこれからさらに視野を広げ、深く考える中で、ものごとをしっかり判断できる人間になるための課題がたくさんあります。特賞をいただいて傲慢になってしまってもいけないので、今回いただいた1等賞は彼にとって、これ以上はないすばらしい賞だったと思います。
大学生を見ていて思うのは、小学生も大学生も基本は同じ、成長途上人間だということです。ひょっとして、人間は一生、成長途上なのかも。いや、きっとそうですね。

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