毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「中国人学生が書く日本の記憶」No.1655

2016-04-30 23:57:30 | 中国事情

 残酷な切り取られ方をした木に、また葉が出てきました。

 

今、2年・3年に作文をどんどん書かせています。

中国人の学生に、

「『日本』という言葉を初めて聞いたのはいつですか?」

と聞くと、今までは判で押したように、

「テレビの抗日ドラマ」

という答えばかりだったと記憶しています。

学校に入ると、歴史で南京大虐殺について写真付きの教科書で学ぶそうです。

しかし、この大学の日本語学科の学生たちの作文から、

少し違う「日本についての記憶」が少しずつ出されてきています。

例えば、

「とても小さい頃、父と母が話をしていました。

父が、『僕は若い頃、とても日本に行きたかったんだ。

渡航手続きが複雑でとうとう行けなかったけど、日本に行って働いてお金を稼ぎたかった』

と言うので母がとても驚いて、

『あなたはそんなこと今まで全然言わなかったじゃない。

でも、行かなくて良かったよ。もし、日本に行ったら、

この娘や息子のお父さんになることはできなかったんだから』

と答えました。父は、

『そうだな。人生の幸せって分からないものだなあ。

ぼくは今幸せだよ」

とニコニコして言いました。」

というのがありました。

 

また、教科書の南京大虐殺の写真に、

「百人切り自慢」(これは当時の日本の新聞記事から採ったもの)もあったけど、

その隣に、家で家族団らんの中、お父さんらしい優しい笑顔で子どもを見る

軍人の写真も載っていたことも書いてありました。

それを見て(戦争で普通の人間が鬼にもなるんだな)と思ったという学生の感想です。

 

高校の道徳の時間に先生が、

「世界で最も礼儀正しいのは日本人です」

と言って、教室中、水を打ったように静まり返ったことなども

読んで興味深かったです。

 

小学校で愛国的な気持ちの同級生の男子が

「今度戦争になったら自分は日本人をたくさん殺す!」

と叫んだ時、先生は

「戦争で何かが解決するということはあり得ない。

庶民が死ぬだけだ。

中国と日本が平和を維持しながらどう関係を作っていくべきか、

みんな真剣に考えなさい」

と、諭したという文もありました。

 

日本では、中国はただ、やみくもに愛国心を鼓舞するために、

抗日戦争を利用していると思っている人は多いでしょう。

そういう側面も確かにあると思います。

しかし、学校現場では、冷静に学生たちに平和の大切さや、

日本人の良さについて話す中国の先生方も多いということを

作文で知りました。

また、お父さんが日本に出稼ぎに行こうとした話も、

時代は変わっていることを感じさせました。

今から10年以上前の会話だそうです。

 

作文添削は、ゴールデンウィーク明け(5月3日)から5月末まで修羅場を迎えます。

ブログ、毎日書けるかなああ。

 

 

コメント (2)
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