毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「お酒」 2013年11月16日(土)No.798

2013-11-16 20:43:27 | 中国事情
お酒は世界中にあり、庶民の友である。
同時にどこの国でもお酒で塗炭の苦しみを味わう人がたいへん多い。
最近、中国北方にはロシアの女性が移民してくるケースがよくあるそうだ。
それは、ロシア人の男性があまりにも呑み助でだらしがなく、
女性に暴力をふるったりするので、その被害者たちが中国に避難してくるのだそうだ。
これは、南昌に住む中国の知人からの又聞きで、
実際にこの目で見たわけではない。
しかし、ありそうな話だ。
私の兄も、アルコール依存症関係者だった。
こうなってくると、家族は血の涙を流す。そして安定的関係は非常に困難になる。
兄は過去形だが、まだ身内には現在進行形がいる。
依存症になると、もはや「飲み続けて破滅するか、一滴も飲まないか」の二つに一つ。
お酒もまた、つくづく、怖い。

学生たちの作文にも、
お酒で苦労してきたことをにおわせるものがいくつもある。
そういうのはとてもじゃないが公表できない。
今日は可愛らしい体験談を二つ紹介したい。


ーーーーー「お酒についての考察」 王聡瑜

 多くの人はお酒におぼれる人間が大嫌いだろう。
私もそうだ。お酒を飲みすぎるのは体に悪い。
新聞によると、飲みすぎて他界してしまった人も跡を絶たないということだ。
しかし、個人の損失にとどまらず、
過度の飲酒は社会にも悪い影響をもたらしている。
例えば、飲酒運転によって人身事故を起こすのも日常茶飯事だ。
また、酔っ払ったら意識がはっきりしないので、
大騒ぎしたり、嘔吐したり、かんしゃくを起こしたり、不正行為をする人もいるのだ。
こんな時には面倒を見る人は極めて辛い。
でも、しかたがない。不承不承、世話をするのみだ。

 私の叔父はひどい癇癪持ちで、お酒が好きだ。
そのため私は叔父が怖い。
叔父はいける口だと言っても、よく泥酔して私の家に来る。
これは私がまだ7、8歳の時の話だ。
ある秋の夜、酔っぱらいになった叔父は、いつもの通り私の家に来た。
しばらくお茶を飲みながら両親と話していた後、いきなり厳しい顔をして、
こう怒鳴った。
「瑜ちゃん、出て行ってタバコを買ってきてくれ!」
私はおびえてガタガタ震え、別も門の入口のカーテンの後ろに隠れてすすり泣いていた。
日は暮れたし、売店からは遠いし、弱弱しい女の子の私を一人で行かせるとは、
考えるだに恐ろしい。
10分ぐらい経って、母が家から出て来て私に、
「入りなさい。」
と呼んだ。しかし、叔父の許可なしには私は入れないと思った。
叔父が帰るまで、わたしはずっと泣きながら立っていた。
叔父が帰る時、外に立っている私を見つけて、
「どうして部屋に入らないのか。外に立って寒くないの?」
と心配そうに尋ねた。
「なんだい、おじさんが私に出ていけって言ったのにさ。」
と私は呟いた。
しょうがないことに、酔っぱらいは先ほど言ったことはもう忘れてしまっていた。
この時から、私は将来、
絶対にお酒におぼれる男の子を彼氏としないと心に誓っている。
ただし、ほどほどにたしなむのはいい。


ーーーーー「お酒のにおいから」 何璇
 ある日の昼休み、お酒のにおいを嗅ぎました。
それで私は、家の黄酒を思い出しました。

 子どものときから、冬が来る前に父はいつも自分で黄酒を作っています。
この段取りは簡単ではありません。
まずは糯米(もちごめ)を完全にふかします。
それを冷ますためにゴザを敷いて、全部の糯米をゴザの上に散らします。
糯米を冷ました後、湯冷ましと一定の割合で、酒甕(がめ)に入れます。
あと、麹(こうじ)も入れます。
最後は時計回りの方向でかき混ぜます。
 以上、全部作ったあと、しなければならないことは待つだけです。
約10日ぐらい後に、あることが変わります。
水と糯米は、麹の作用で発酵するのです。
いつも小さい音を出して、さらにお酒のにおいもし始めます。
父はこの時から、心がうずうずし始めるのです。
毎晩、仕事のあとで酒を味見してみます。
このとき父は、
「きっといい酒になるね。」
と言います。
まだその時の酒の味は甘いのですが、父は待ちきれません。
毎日、ちょっと味見するだけと言いますが、実はいっぱい飲みます。
だから本当にいいお酒になったとき、お酒はもう少し残っているだけです。

 黄酒といえば、別のおもしろかったことを思いだします。
私の叔父が初めてうちの家に来たとき、父は黄酒でご馳走しました。
叔父は普段はビールを飲みます。酒量も多いです。
そして(この黄酒ぐらい大丈夫だ)と甘く見ました。
しかし、飲んだ直後、たちまち酔いが回ってしまいました。
それを見て家族みんなは全員笑っていました。

 今はもう晩秋で、そろそろ冬が来ます。
また黄酒のシーズンです。
今年はまたどんなことが起きるでしょうか。
本当に楽しみです。

 





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