にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

長い長い殺人

2009年01月31日 | 日々のこと
アルバイトの勤務時間が朝9時からに変更になっていたのをすっかり忘れていて、8時前に着いてしまったので、休憩室でインスタントコーヒーを飲みながら、読みかけの推理小説を読んでいました。(あいかわらずのうっかり八兵衛ぶりを先輩に笑われながら)。

おもわぬところでぽっかり空いた空白の時間。

こういう時間もまた、いいものです。

宮部みゆきさんの作品は、まだこれで2冊目なのだけれど(愛読者であるアルバイト先のひとが貸してくれました。一冊目は『蒲生邸事件』。)、この方の人間洞察力はほんとうにすごいとおもう。

生半可なヒューマンドラマを観るよりも、よっぽど人間の心の闇と光が深く胸に刺さってくる。

誤解をおそれずにいえば、人を殺してもなんともおもわない、残酷な気持ちは、たぶんわたしをふくめて、たくさんのひとのこころの奥にあるものだとおもっている。

ただ、それを行動にうつすかどうかが大きな分かれ目なのだとおもう。

「人殺しは悪い」とか、「他人を傷つけてはいけない」という言葉は、時として、こころの闇にはまったく届かない。
自分のなかのどろどろした闇は、否定し、目をそらそうとすればするほどせりあがってきてしまうもののようにも思える。

宮部さんの作品は、奇麗ごととは無縁だ。闇の奥深くに分け入りながら、闇の恐ろしさから目をそらさない。けれども、どんなに微かでも、どこかに光が存在することをあきらめない。

極上のミステリ、そして同時に深い社会批判として読みました。

***宮部みゆき『長い長い殺人』光文社、1999年***

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