にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

博士の愛した数式

2006年01月27日 | 日々のこと
ひさしぶりに、ルート記号をかきました。

小川洋子さんの『博士の愛した数式』を読んだら、
急にかいてみたくなったので。

ルート記号をかくなんて、たぶん大学入試以来だから、10年ぶり。

記号のまっすぐ平らな部分が、なかなかまっすぐにかけなくて、
なんどもかき直しました。

こんなに一生懸命ルート記号を書いたのは、初めてです。

昔から数学は大の苦手で、最初から諦めていたから、
数字も式も記号も、適当にかいてはいつも計算間違いばかりしていました。

ほんとうは、数学が好きだったのに。

あのころは、間違いだらけの答案が返ってくるたび、
「ほら。やっぱり。わたしには数学の才能がないんだ。」
となげやりになっていたけれど、いま思えば、
わたしの中に「数学」というものに対する尊敬の念がなかったから、
数学の方でも正しい答えにわたしを導いてはくれなかったのだと思う。


この本を読んでから、あらゆる数字や定理、
そしてそれらを発見した人々の情熱と労苦に
敬意を払わなくてはいけないような気持ちになっています。


本を読んでいる間、何度も恋をしました。

「素数」に。初めて知った「友愛数」や、「完全数」に。
さまざまな定理の美しさと、神秘に。
それから、不器用で心優しい博士に。


そして、本を読んでいる間、何度も泣きました。


この本には、人間のもつ美しいものと、人間の力の及ばない美しいものが
過不足なくつまっていると思います。


数学好きの方はもちろん、すべての数学嫌いのひとに読んでほしい本です。



***小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社、2003年)***

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