ジョサイア・コンドル(1852-1920)は
イギリス・ロンドン出身の建築家です。
1877年(明治10年)来日し、工部大学校(現
東大工学部建築学科)の教授として、創成期の日本
人建築家を育成し、明治以後の日本建築界の基礎を
築きました。
業績は数えきれないほどありますが、とりわけ有名
なのが「鹿鳴館」です。
鹿鳴館は外部卿井上馨の計画のもと、コンドル設計
により1883年(明治16年)完成しました。
1887年(明治20年)までの3年間は「鹿鳴館時
代」といわれ、当時の日本外交の課題であった、不平
等条約改正、治外法権の撤廃を目指す、井上らの欧化
政策の推進を象徴する舞台となりました。
井上の外務大臣辞任とともに、歴史の幕を下ろしまし
た。1940年に取り壊されました。
コンドル設計の歴史的建築物は、震災・戦災等で多く
が失われてますが、残存するいくつかを見てみます。
①三菱一号館(レプリカ)
三菱一号館は、1894年(明治27年)丸の内に建
設された日本初のオフィスビルです。1968年に解
体されましたが、2009年復元されました。翌年、
「三菱一号館美術館」として生まれ変わりました。
19世紀後半の英国で流行したクイーンアン様式が用
いられています。
現在、「画鬼暁斎 幕末明治のスター絵師と弟子コン
ドル」という展覧会が、この美術館で開かれています。
コンドルは日本女性を妻とし、河鍋暁斎に師事して日
本画を学ぶなど日本文化にも大いに親しんだ趣味人で
もありました。
②岩崎久弥茅町本邸
1896年(明治29年)完成。
イギリス17世紀初頭のジャコビアン様式を基調にした
傑作といわれています。
③古河虎之助邸
(「旧古河庭園のバラ」の画像を再度掲載します。)
1917年(大正6年)完成。
コンドル最晩年の建築、美しいバラ園で有名。
コンドルは竣工後、3年足らずで急逝します。