秋晴れの日曜日、鎌倉を訪ねました。
江ノ電「由比ガ浜駅」で下車、徒歩7分
で鎌倉文学館に着きました。
旧前田侯爵家の鎌倉別邸でしたが、
昭和11年(1936)、今に残る洋館
が完成します。
鎌倉ゆかりの文学者の資料保存と展示
を目的に、昭和60年鎌倉文学館が開館
しました。
由比ガ浜が一望できる庭園では、秋バラ
が見頃となっています。
明治時代、夏目漱石は参禅のため、
島崎藤村は旅の途中に鎌倉を訪れました。
大正時代になると、多くの文学者が鎌倉
に滞在したり、暮らしたりするようにな
りました。
本館の特別展は「来鎌倉105年 芥川
龍之介と鎌倉」です。(12月23日ま
で)
本館内は撮影禁止です。
芥川は大正5年(1916)から8年まで
鎌倉に住み、この地で小説「蜘蛛の糸」
などの初期代表作を発表しました。
芥川は大学を卒業すると、横須賀の海軍
機関学校の英語教師となり、由比ガ浜に
下宿しました。
芥川の鎌倉時代は、新進作家として
華々しく文壇に迎えられる一方、作家
に専心するか迷った時期でもあります。
又、本格的に俳句をはじめたのも鎌倉
です。
大正7年に始まったスペイン風邪の
パンデミックでは、芥川も2度感染し
死も覚悟したといわれています。
大正7年には、元八幡近くの借家で新婚
生活を送ります。
大正8年大阪毎日新聞に入社すると、
田端の実家に戻ります。
亡くなる前年「鎌倉を引き上げたのは
一生の誤りであった」と語ったそうです。
芥川が残した名言の一部です。
・幸福とは、幸福を問題にしない時をいう。
・自由は山嶺の空気に似ている。どちらも
弱い者には堪えることは出来ない。
・正義は武器に似たものである。武器は金
を出しさえすれば、敵にも味方にも買わ
れるであろう。正義も理屈さえつけさえ
すれば、敵にも味方にも買われるもので
ある。