matasaburo3の散歩日記

日本各地を旅しながら、日本の四季を撮ります。
又、世界各地の街を巡りながらの印象記やあれこれ。

気候変動と人類大移動

2023-12-25 17:34:19 | 知の散歩道

 

 国連環境計画によると、「パリ協定」

の温暖化ガス排出削減目標を今から完全

に守った場合でも、21世紀末には世界

の平均気温は産業革命前と比べてセ氏

2.5~2.9度ほど高くなるとのことです。

 

現実的な予測では、これからは、10億

人規模の人々が移住を迫られるそうです。

(ガイア・ヴィンス「気候崩壊後の人類

大移動」)

 

豪シンクタンク経済平和研究所は「50

年までに12億人が避難生活を余儀なく

される」と予測しています。

 

人口が多いアジアや米国・南欧などが

砂漠化し、生存可能な土地を求め、人々

はシベリアやカナダなど高緯度地域に

逃れる・・・・

 

ヒトはその進化史のほとんどにおいて、

定住せず移動を繰り返す生活をしてきま

した。1万年前に定住を始め、都市文明

を築き、現在のような暮らしを当然とし

てきました。それを変えて移住を当たり

前の生活にする為には大部分を変えて

いかざるを得ません。

たとえば国境やパスポート、法律や文化、

国民感情等々難問が山積しています。

地球規模で共生をはかる知恵が必要にな

ります。

 


「不老不死」のテクノロジー

2023-11-09 18:03:33 | 知の散歩道

 

 近年注目を集める「不老不死」の

テクノロジーは、人間と社会をどう

変えるのか。

 

イギリスの哲学者、ステイーブン・

ケイブは科学技術は宗教的なルーツ

を持っているといいます。

 

「神話や宗教が語ってきた不死への

物語を、科学の言葉を用いて語り直す

人々だ。・・・・宗教が永遠の命や

死後の復活を約束したのに似ている。」

 

現代の科学万能論は根強いものがある

ものの

「地球に大きな負荷をかけ、資源を枯渇

させるような社会の発展の仕方は、今後

長くは続かない。物質的な利得を求めて

自然を支配しようとしてはならない。」

 

アメリカの哲学者、シェリー・ケーガンは

「不死の科学」は残酷な嘘と説きます。

 

「記憶まで移植するのは極端としても、

誰かの身体をもとに別の肉体を作る行為

は、人間存在に対してこの上なく残酷な

嘘をつくことだ。」

 

「仮想世界でいくら素晴らしい体験を

しても、現実の自分が何も成し遂げて

いないのはやはりむなしいことだから

だ」

 

(日本経済新聞 10月19日、10月

22日「テクノ新世」より引用)

 

 


テクノロジーと人間

2023-09-01 16:04:05 | 知の散歩道

 テクノロジーは哲学の重要なテーマ

であり続けています。

 

カント(1724-1804年)は

「科学が万物を説明するなら人間の

価値や自由はどこにあるか」と思索

し、ハンナ・アーレント(1906

ー1975年)は原子力を「宇宙の

力」と呼び、自然の中に本来存在し

ないものを導入することで起こりうる

問題を考察しました。

 

1980年生まれのドイツの哲学者

マルクス・ガブリエルは、人工知能

(AI)を「異星人の知性」と呼び、

利用にあたっては倫理的知見の導入が

不可欠と説きます。

 

「AIの驚くべき点は、我々の身の回りの

環境に知性を与え、人間と相互作用する

存在であるということだ。」

 

「AIの脅威とは何かといえば、それは

悪用だ。人間の悪が増強され、独裁や

犯罪などに使われる事態こそ恐ろしい。」

 

IT(情報技術)が監視社会や全体主義

を生み出すかとの問いには、「人間の

行動を捕捉しコントロールすることは、

いつの時代も全体主義の夢だった。

それが技術的に可能となる時代に近づ

いている今、テクノロジーは全体主義

の担い手になったとみることもできる。」

 

「人間的なテクノロジー」の発展を願い

「あらゆる技術は人間の利益に完全に

沿うものでなければならない」と説き

ます。

 

(日本経済新聞、2023年7月14日

「テクノ新世」より引用しました。)