matasaburo3の散歩日記

日本各地を旅しながら、日本の四季を撮ります。
又、世界各地の街を巡りながらの印象記やあれこれ。

軸の時代

2022-08-13 12:24:34 | 知の散歩道

 

 「軸の時代」とは、哲学者カール・ヤ

スパース(1883-1969)が唱え

た紀元前500年頃(広くは紀元前800

年頃から紀元前200年にかけて)、

ギリシャ哲学、ユダヤ教、仏教、儒教

などの「普遍思想」が陸続と現れた時代

を指します。

 

中国では諸子百家が活躍し、インドでは

ウパニシャッド哲学や仏教、ジャイナ教

が成立して、パレスチナではイザヤ、

エレミヤなどの預言者があらわれ、ギリ

シャではホメーロスやソクラテス・

プラトン・アリストテレスらが輩出して、

後世の諸哲学、諸宗教の源流となりまし

た。

 

ヤスパースは「神話時代は、その安らぎ

と自明性とともに終焉した」と述べ、新

しく到来した時代における非神話性を指

摘しました。種々の「基本的範疇」が生

まれて「世界宗教の萌芽」が形成され、

また「普遍的なもに迫る歩み」がおこな

われたとしています。

いわば「精神化」と呼べるような「人間

存在の全面的変革」であり、はじめて哲

学者と呼べるような人々が現れて「人間

は敢然と、自己に拠って個人として独立

した」としています。

 

社会学者の見田宗介は「現代社会はどこ

に向かうか」で次のように述べています。

「軸の時代」の背景は、ユーラシア大陸

の東西に出現し急速に普及した貨幣経済

と、これを基とする都市社会の勃興です。

それまでの共同体の外部の世界、新しく

無限に開かれた世界を生きる確かな根拠

と方法論を求めて、普遍化された宗教と

合理化された哲学とを追求し、確立して

きたということです。

 

貨幣経済と都市の原理が、社会の全域に

浸透したのが「近代」ですから、「軸の

時代」とは「近代」に至る力線の起動す

る時代であったとしています。

 

産業革命期以後、加速に加速を重ねてき

た人間の増殖率は、1970年代以降、

減速に反転しています。

人間の歴史の第二の巨大な曲がり角に入

っていることを示しています。

 

「第一の曲がり角において人間は、生き

る世界の無限という真実の前に戦慄し、

この世界の無限性を生きる思想を追求し、

600年をかけてこの思想を確立してき

た。

現代の人間が直面するのは、環境的にも

資源的にも、人間の生きる世界の有限性

という真実であり、この世界の有限性を

生きる思想を確立するという課題である。

 

「現代というもう一つの歴史の巨大な曲

がり角、危機の時代を、もう一つの巨大

な思想とシステムの創造の時代、新しい

<軸の時代>に転化することをとおして、

のりこえてゆかねばならない。」