ショスタコーヴィチ:祝典序曲 イ長調 Op. 96
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ト短調 Op. 40
ムソルグスキー/ヘンリー・ウッド編:組曲『展覧会の絵』
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ト短調 Op. 40
ムソルグスキー/ヘンリー・ウッド編:組曲『展覧会の絵』
<アンコール曲>
ショパン:ワルツ第3番 イ短調 Op.34-2(ピアノ・アンコール)
ウォルトン:戴冠式行進曲「宝玉と王の杖」
ウォルトン:戴冠式行進曲「宝玉と王の杖」
韓国から多数のお客さんが来ているようで、ハングル語の会話が飛び交っている。
私はこのオーケストラを聴くのは初めてなのだが、開始早々、新鮮な感動を覚える。
言葉では表現しにくいのだが、とにかく「音がいい」のである。
はっきり言って、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルより聴き心地が良く、1曲目の「祝典序曲」が終わった途端、ブラヴォーの嵐が起った。
何やら、既にフィナーレを迎えた感すらある。
「音がいい」のはもちろん団員さんの力によるものだが、その背景には、おそらく歴代音楽監督と現音楽監督でこの日の指揮者である山田さんの力によるものではないだろうか?
何しろ、サイモン・ラトル(1980年就任)以降、大物指揮者が音楽監督を務めてきているのである。
ラフマニノフの方は、イム・ユンチャンが落ち着いた演奏ぶりで安心して聴いてゐられたのだが、2番や3番と比べると”美しいメロディー”の部分が不足している印象で、演奏機会が少ない理由が分かるような気がした。
ヘンリー・ウッド編の「展覧会の絵」(1915年。Mussorgsky 'Pictures at an Exhibition' - Sir Henry Wood orchestration; Francois-Xavier Roth conducts)は、頻繁に演奏されるラヴェル編(1922年)とはほぼ別物といって良い。
まず、使用される楽器の種類が多く、何とパイプオルガンまで登場する。
また、金管楽器が活躍する場面が多いのが特色となっている。
だが、「パイプオルガン必須」となると、どうしても演奏機会は減ってしまう。
(きちんと手入れされた)パイプオルガンを備えたコンサート・ホールは、必ずしも多くないからである。
「ウッド版はラヴェルよりも早い時期の編曲であり、いうまでもなくラヴェル版の影響をまったく受けていない。冒頭のプロムナードは複数の金管楽器のユニゾンで始まり、「古城」では、舞台裏のユーフォニウムが旋律を吹く。妖婆が現れる「バーバ・ヤーガの小屋」では、ラヴェル版以上の魑魅魍魎(ちみもうりょう)感が描かれる。「バーバ・ヤーガの小屋」の最後の部分にはカットがあり、鐘の音に導かれて「キーウ(キエフ)の大門」が始まる。終結では、鐘が打ち鳴らされ、オルガンまで加わり、(ラヴェル以上に)壮大なクライマックスが築かれる。ところが、ウッドは、後にラヴェル版が普及すると、自らの編曲版を取り下げてしまうのであった。」
アンコールも爽やかでワクワク感を醸し出す「宝玉と王の杖」で、スタンディング・オベーションの嵐となるのは当然。