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Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

歌、唄、詩(13)

2025年04月15日 06時30分00秒 | Weblog
指揮:マレク・ヤノフスキ
ソプラノ:アドリアナ・ゴンサレス
メゾ・ソプラノ:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
テノール:ステュアート・スケルトン
バス:タレク・ナズミ
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩

 コロナで中止となっていた「ミサ・ソレムニス」が上演されるため、今年もヤノフスキさんのご尊顔を2回拝むことが出来た。
 この「ミサ・ソレムニス」の楽譜は、何と当初は7部しか注文者がおらず、しかもその中に音楽家は一人もいなかったらしい。
 ところが、後にこの総譜を熱望する人物が現れた。
 それがワーグナーである。
 ワーグナーは、「第九」のピアノ編曲版をショット社に売り込んだのだが、金銭的な対価を求めなかった。

 「まだ編曲作業の途上だった1830年10月6日に、ワーグナーはショット社へ宛ててこの編曲を売り込む手紙を書いている。・・・金銭の謝礼を望まない代わりにショット社が刊行しているベートーヴェン作品の楽譜---《ミサ・ソレムニス》の総譜とピアノ編曲版、第九交響曲の総譜、作品127と131の弦楽四重奏曲、フンメルによるピアノ編曲の交響曲集---を返礼に求めた。これが功を奏したのか、出版こそ叶わなかったものの、ワーグナーはショット社から《ミサ・ソレムニス》の総譜を手に入れることに成功したのである。」(p13)

 この曲については、「人間楽器」という表現が用いられることがあるようだが、まさにそのとおり。
 特に、「ベネディクトゥス」で独奏ヴァイオリンとヴォーカルが掛け合いを行う所では、もはやヴァイオリンが「歌」を歌い、人間が音を奏でているかのようである。
 このように、「ミサ・ソレムニス」には、「詩」と「歌」、さらに「音」との境界が消失してしまうところに特色があると言えそうだ。
 ちなみに、ワーグナーによれば、ベートーヴェンは第7交響曲のフィナーレで「ディオニュソスの祝典を描写しようとした」らしいので、ベートーヴェンもまた"テアータ―デオニゾス”(劇場演劇神)の一人ということになるだろう。


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