そらいろの日々

育児とミステリ

絶叫城殺人事件

2010-10-24 | 読書記録
『絶叫城殺人事件』有栖川有栖

黒鳥亭、それがすべての始まりだった。壷中庵、月宮殿、雪華楼、紅雨荘…。殺人事件の現場はそれぞれ、独特のアウラを放つ館であった。臨床犯罪学者・火村英生と作家・有栖川有栖のふたりが突きとめた、真相とは。そして、大都市を恐怖で覆い尽くした、猟奇的な連続殺人!影なき殺人鬼=ナイト・プローラーは、あの“絶叫城”の住人なのか!?本格推理小説の旗手が、存分に腕を振るった、傑作短編集。

そういえば、ここ数年、有栖川有栖を読んでないな~とふと気づき、借りてみました。
少なくとも、このブログを始めてから1冊も読んでないと思う。
感想書いた記憶ないもん!
(それとも何か!忘れているだけか!)

相変わらず、ああ、この人、ミステリーが大好きなんだなあといたるところから感じられて、
なんだかほほえましくなってしまいました。

カバー裏のあらすじでガッツリ“短編集”だと書いてあるにも関わらず、
なぜか長編だと勘違いして読み始め、少し拍子抜けしたのはここだけの話!


「黒鳥亭殺人事件」
んーん。
なんだか後味は良くない、ね…!
火村先生は、解かなければ誰も傷つかずにいられる謎も、すべて解けてしまうところがなんだか見ていて胸が痛くなるような人だった、そういえば!
謎を解くことで、自分の傷も増えていくんだろうに。

「壺中庵殺人事件」
このお話がいちばん、オーソドクスなミステリーっぽかった気がする。
シチュエーションから、謎解きまで。
密室って、シチュエーションとしては好きなんだけど、
実は謎解きが全然理解できてなかったりする。
この話は、なんとな~くわかったけど。

「月宮殿殺人事件」
人の心の隙間に生まれる小さな悪意のお話。
それにしても月宮殿という建物が、どうしても想像しきれない。
実在した建物らしいけども!

「雪華楼殺人事件」
世の中には、“可能性はゼロではない”ということがたくさんあって、
だからこそミステリーはおもしろいんだと思う。
一歩間違えれば、すごいキワモノなお話ですけども!

「紅雨荘殺人事件」
紅雨荘、というのはなんか美しいな~と思って読み始めたら…
全然美しくない人間の欲の話だった、っていう。

「絶叫城殺人事件」
リアルとバーチャルの境界とか…有栖川先生も、こういう話を書くのね!
目をそむけたくなるような事件が多々起きている今の時代、
なんだか笑えないというか…うすら寒くなりました。
有栖川有栖らしい、アイロニーたっぷり。



あー。
堪能したけど、次は長編が読みたい!


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