『前巷説百物語』京極夏彦
大損まる損困り損、泣き損死に損遣られ損。
ありとあらゆる憂き世の損を、見合った銭で肩代わり。
銭で埋まらぬ損を買い、仕掛けて補う妖怪からくり。
寝肥、周防の大蟆、二口女、かみなり、山地乳、旧鼠―
小股潜りの又市が、初めて見せる御行姿。
明治へ続く巷説が、ここから始まる百物語―。
「御行奉為―」
ねたばれしますよぅ
読み終わりました!
もう…もう…何アレ…!何アレ…!
巷説ってほんっと心臓に悪いわぁ。
こんなに切ないなんて!
予想してたより、ずっと切なかった!(そしてくらかった!)
『続』や『後』も切なかったけど、それとはまた違った質の(?)切なさでございました。
百介先生視点じゃなくて又さん視点だったからかしら。
思わず『巷説』『続巷説』『後巷説』といろいろ読み返しちゃいました。
「狐者異」とか「死神」とか「小豆洗い」とか「帷子辻」とか…!(すごいよいろいろつながる!
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)
とにかくもーおちかと又さんと林蔵の関係が、せつなすぎてせつなすぎて
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又さんほんとかっこよすぎる!
何一人で割り切っちゃってんの!(涙)ちくしょう!(涙)
「俺だってよ」に、もう心臓わしづかみというか、横隔膜のあたりがぎゅーってなりました。ぎゅーって。
おちかと己の間に見えない線を引いていた又市には、又市たちと自分は立場が違うんだと常に自分に言い聞かせていた百介先生の姿が重なるような気がします
(そう考えると「老人火」とかさらに切なさドン)
林蔵は全体的にかわいいかわいい。
アレですねアホの子ほどかわいいってやつですね!(ほめてます)
(でも、別に林蔵が特別アレってわけじゃないと思うんだ…!又さんが男前すぎるだけだと思うんだ…!)
ゑんま屋に関わる方たちも、口ではなんだかんだ言いながらもそこはかとなくファミリー感があってすごく好きだったのになぁ…なんであんな結末に…
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又さんが御行姿になるいきさつが語られる、ということで、多分どなたかがお亡くなりになるんだろうなあとは薄々感じていたんですが。
ちょっと…多すぎやしませんか…!
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百介先生が出たのは一瞬だけでしたが(ちょうかわいい!
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)なんだか又市と百介の縁というのはすご~~く深いものだったんじゃないかなあと思いました。
「小豆洗い」「野鉄砲」…そして「狐者異」。
「狐者異」の仕掛けは、本気で百介抜きでは成就しなかったんですもの!
『続』のこの時点ではおぎんの遺恨ばかりがクローズアップされていましたが、実は又市にとっても祗右衛門は深い深ーい遺恨がある相手だったんですね。
それが晴らせたとき、又さんは何を思っていたんでしょうね。
山崎さんや、角助や、もちろんおちかや、死んでしまったみんなのこと思い出したのかな。
そんで、心の中でコッソリしんみりしちゃったりしたのかな!
「狐者異」の又さん視点のお話が読みたいよー!(たまらん!)
それから「白蔵主」のラスト。
百介の問いに又市が黙ってしまったのは、百介が言ったことは他ならぬ又市自身が強く感じていたことだったからなんですねきっと!
『前』は又さんが正論や青臭いことばっかり言ってるのが印象的ですが、その後の物語でも、口に出して言わないだけで又さんの根本にあるその青臭さというのは変わってないだろうから。
過去の過ちも傷も、全部まるごと抱えて背負って、何喰わぬ顔で世間を渡る又さん。
何度も繰り返すようですが、ほんとかっこよすぎます(ほれる)
なんかもーーいろいろと深読みしたり思いを巡らせたり(妄想ともいうね!)
ほんとすごい作品だなあ、と痛いほど感じました。
出会えてよかった。
他にもいろいろと語りたいことは山ほどあるのですが、うまくまとめられません。
ああもう!だいすきだー!