「舞妓さんちのまかないさん」、是枝監督の「声明」とも言えるコメントが発表された。
この作品に対する批判「未成年女性の労働搾取や、性搾取を肯定している」「昨年の元舞妓の告発は無視するのか」という、アンチ意見に答えるかのような誠実な内容だ。
私も、森七菜や出口夏希や松岡茉優が好きだからのんきに絶賛しているわけではないので、この手の批判に対する意見をまとめておこう。じつを言うと私は舞妓さんに詳しい。いや、制度には詳しくないが、元舞妓さんに詳しい(笑)。これ以上は言わない。
ネタバレを含むので、作品を見てない人は注意してください。
●あの作品を全部視聴した上で「舞妓や花街を美化しすぎ」と思うのなら、読解力が足りない。
置き屋をタコ部屋呼ばわりする蒔田彩珠や、舞妓を水商売と見なしている親の存在。ほかにセリフや説明はなくても、百子が当たり前のように豪華マンションに住んでいる描写や、食事をごちそうするお金持ち男性のいやみったらしさ。現状への問題提起のような視線は、最初から最後まで散りばめられている。
特に最終話、カメラを手に屋形の台所まで入ってくる正体不明の男性がキヨに近づくシーンは、一見ほのぼのに見えて、不気味な怖さがあった。あの場面を最後に入れたのは意図的なものだろう。
これらの描写を読み取らずに、元舞妓さんの告発記事1本読んだだけで批判派になり「性搾取と労働搾取の世界をきらきらに描くな!」と、凝り固まった意見を振りかざす人たちの単純さのほうが、私には怖い。
●それと、女性の性搾取を批判するフェミニズム寄りのツイートには、不自然なほどたくさんのいいねが一度につくというtwitterの謎現象も、知っておかないといけない。
●是枝監督の声明で印象に残ったのは、百子(橋本愛)の恋人役(森崎ウィン)が出てくるエピソードについて。
百子というのはナンバーワンの芸妓で、この男性は結婚を申し込むが、「私のどこが好きなん?」と聞かれて「全部」と答え、「うちの舞も見たことないのに、全部とか言われとうないわ」と断られる。
男性は、百子を花街から救い出してあげるような気持ちでプロポーズしたのに、百子は芸にプライドを持ち、自分の踊りもちゃんと見ようとしない男になぜ付いていかなあかんのやと憤慨する。
この登場人物について、是枝監督は「悪意はないけれど、彼女達の仕事を、自分と比べてどこか軽く見たり、本当はやりたくないのだろうと思い込むような、優しさに包まれて見えにくい潜在的な「偏見」を体現する存在」として描いた、と書いている。
悪意のない、優しくて見えにくい偏見……いい言葉だ。
舞妓や芸妓の仕事を低く見て、助けてあげなくちゃいけないと思い込んでいるような人たちが、一番たちが悪い。AV女優もそうだろうし、生涯独身のフリーライターも似たような視線を浴びせられがちだから、よくわかる。
●是枝監督の「ユートピアとしては描かないつもりでした。むしろ、あの空間と時間が、いつまでもは続かない限定的なものであり、だからこそ尊いのだという価値観で描いたつもりです」という箇所も引用しておこう。
●以下は私のツイートの再録。屁理屈か!
「舞妓さんちのまかないさん」みたいな花街を美化した作品をつくって、憧れる子供が出たらどうするんだという批判があるけど、「ワンピース」みたいな漫画で海賊に憧れる子供が増えたらどうするんだ、実際、ルフィを名乗る強盗が出たじゃないかとか、そんな的外れの批判と変わらないのでは。
「ドラえもん」みたいなファンタジーにあふれた作品で、子供が現実離れした夢を持ったまま社会に出たら責任とれるのかとか、失敗しないスーパードクターや天才救命医のドラマに憧れて医者になったのに、現実の救命救急現場は助からない人が多すぎて話が違うとか、熱血教師に憧れて(以下略)。
この作品に対する批判「未成年女性の労働搾取や、性搾取を肯定している」「昨年の元舞妓の告発は無視するのか」という、アンチ意見に答えるかのような誠実な内容だ。
私も、森七菜や出口夏希や松岡茉優が好きだからのんきに絶賛しているわけではないので、この手の批判に対する意見をまとめておこう。じつを言うと私は舞妓さんに詳しい。いや、制度には詳しくないが、元舞妓さんに詳しい(笑)。これ以上は言わない。
ネタバレを含むので、作品を見てない人は注意してください。
●あの作品を全部視聴した上で「舞妓や花街を美化しすぎ」と思うのなら、読解力が足りない。
置き屋をタコ部屋呼ばわりする蒔田彩珠や、舞妓を水商売と見なしている親の存在。ほかにセリフや説明はなくても、百子が当たり前のように豪華マンションに住んでいる描写や、食事をごちそうするお金持ち男性のいやみったらしさ。現状への問題提起のような視線は、最初から最後まで散りばめられている。
特に最終話、カメラを手に屋形の台所まで入ってくる正体不明の男性がキヨに近づくシーンは、一見ほのぼのに見えて、不気味な怖さがあった。あの場面を最後に入れたのは意図的なものだろう。
これらの描写を読み取らずに、元舞妓さんの告発記事1本読んだだけで批判派になり「性搾取と労働搾取の世界をきらきらに描くな!」と、凝り固まった意見を振りかざす人たちの単純さのほうが、私には怖い。
●それと、女性の性搾取を批判するフェミニズム寄りのツイートには、不自然なほどたくさんのいいねが一度につくというtwitterの謎現象も、知っておかないといけない。
●是枝監督の声明で印象に残ったのは、百子(橋本愛)の恋人役(森崎ウィン)が出てくるエピソードについて。
百子というのはナンバーワンの芸妓で、この男性は結婚を申し込むが、「私のどこが好きなん?」と聞かれて「全部」と答え、「うちの舞も見たことないのに、全部とか言われとうないわ」と断られる。
男性は、百子を花街から救い出してあげるような気持ちでプロポーズしたのに、百子は芸にプライドを持ち、自分の踊りもちゃんと見ようとしない男になぜ付いていかなあかんのやと憤慨する。
この登場人物について、是枝監督は「悪意はないけれど、彼女達の仕事を、自分と比べてどこか軽く見たり、本当はやりたくないのだろうと思い込むような、優しさに包まれて見えにくい潜在的な「偏見」を体現する存在」として描いた、と書いている。
悪意のない、優しくて見えにくい偏見……いい言葉だ。
舞妓や芸妓の仕事を低く見て、助けてあげなくちゃいけないと思い込んでいるような人たちが、一番たちが悪い。AV女優もそうだろうし、生涯独身のフリーライターも似たような視線を浴びせられがちだから、よくわかる。
●是枝監督の「ユートピアとしては描かないつもりでした。むしろ、あの空間と時間が、いつまでもは続かない限定的なものであり、だからこそ尊いのだという価値観で描いたつもりです」という箇所も引用しておこう。
●以下は私のツイートの再録。屁理屈か!
「舞妓さんちのまかないさん」みたいな花街を美化した作品をつくって、憧れる子供が出たらどうするんだという批判があるけど、「ワンピース」みたいな漫画で海賊に憧れる子供が増えたらどうするんだ、実際、ルフィを名乗る強盗が出たじゃないかとか、そんな的外れの批判と変わらないのでは。
「ドラえもん」みたいなファンタジーにあふれた作品で、子供が現実離れした夢を持ったまま社会に出たら責任とれるのかとか、失敗しないスーパードクターや天才救命医のドラマに憧れて医者になったのに、現実の救命救急現場は助からない人が多すぎて話が違うとか、熱血教師に憧れて(以下略)。