Netflixの『舞妓さんちのまかないさん』が評判よろしいようで、森七菜さんの芝居や、出口夏希さんのみずみずしさも絶賛されている。twitterにはおおまかな感想を書いたが、ここにはネタバレありのメモをまとめたい。
未見の人は読まないように注意してください。
●『舞妓さんちのまかないさん』全9話視聴。最高。大きな事件は起きない。悪人も出てこない。でも、人と人とのつながりや、人の決断と居場所を、おいしそうな料理とともに描き、ほっこりと心が暖かくなる。
森七菜、出口夏希、橋本愛、松岡茉優、蒔田彩珠、みんないい。キヨのパンのプリン食べたい。
以下、ネタバレあり。
●SNSで「原作にないキャラが付け加えられてて残念」という意見をいくつか見た。
これに関しては、是枝裕和監督が海外メディアのインタビューに答えた記事がある。要約すると、舞妓さんの制度に対して批判的な声(未成年に酒席の仕事させるなど)もあるから、夢のような世界として描くのは無責任だと思った。だから、原作にはない批判的な立場のキャラクターも登場させながら、それでも花街の人たちは舞妓を伝統芸能として残したいと望み、頑張っているんだという描き方にした、と。
屋形の娘に生まれながら舞妓にならなかった普通の女の子(蒔田彩珠)は、原作にないキャラ。舞妓を水商売呼ばわりして、青森から娘を連れ戻しに来たすみれのお父さんもオリジナルのキャラだという。
●実際このドラマを見て、舞妓や芸鼓を見る目が変わった。こんなに厳しい日々の稽古や、(舞妓姿での)ケータイやコンビニも禁止という日常を経た末に選抜され、舞妓が生まれるのだとは知らなかった。
●1話の好きなシーン。森七菜が舞の師匠(戸田恵子さん)に怒られているとき、師匠のうどんが気になって「のびちゃう……」と心配するところ。叱られているのに食べ物の心配をしてしまうキヨのキャラクターを一撃で表現し、このときの表情がキュートすぎる。
●そしてこれと対になるシーンが、ドラマの後半に出てくる。7話くらい?
稽古に対してストイックなすみれ(出口夏希)は、舞の師匠がうどんを食べているときも、質問をやめない。
怒られているときも、師匠のうどんが伸びちゃうのが気になる森七菜と、師匠がうどんを食べているときも質問を浴びせる出口夏希の対比。自分より誰かのことを考えて周囲を明るくするキヨのタイプと、自分に厳しく、ひとりで走りがちな百子・すみれタイプの違い。だから百子はすみれを可愛がる。
●こんなふうに『舞妓さんちのまかないさん』にはいろんな対比が出てくる。
すみれに「あんたは一番の舞妓にならなあかんで」と言う百子と、「一番じゃなくてもいい」と諭す父親。
一期一会だから「さようなら」と思いながら接する橋本愛と、一期一会だから「はじめまして」と挨拶する森七菜。
結婚や家庭より、芸の道を選ぶ橋本愛と、結婚を選び、しかし出戻ってきた松岡茉優。キャスト名と役者名がごっちゃや。
●松岡茉優の存在感がすごい。存在感というより、異物感だ。はんなりした祇園の屋形を、上沼恵美子のような(広島の達川のような)キャラで一気に空気を変えてしまう。
この異物感は『桐島、部活やめるってよ』で感じたものと同じだ。あの映画の松岡茉優も、女子高校生、男子高校生だらけの中に、ひとり意地悪な樹木希林が混じっているのような異彩を放っていた。
以前にも書いたと思うが、松岡茉優さんは主演よりも助演で輝く女優だ。ブレイクして以降、主演作品が続いたけど、ようやくその時期が落ち着き、本来の居場所である脇役に戻ってきた感がある。
盟友・橋本愛と共演しているのも『桐島』を思い出させ、あのソンビのシーンはたぶん、橋本愛と松岡茉優の並びを見た監督の誰かが、オマージュとして入れたものだろう。ゾンビの歩き方と、能のすり足に共通点があるという見方は斬新だった。
●一番好きなのは、5話と2話かな。人が居場所を見つけて、何かを選択する。そしてそこに料理の存在がある。
●一気見したガチ勢のみなさんにオススメは、英語字幕を表示させて2周目を視聴するスタイル。京言葉がどんなふうに英訳されているのか、見ながら楽しむと勉強になる。Many thanks おおきに。
●シーズン2があるとしたら、青森パートと、あの男の子もたくさん出てくるのでは。

未見の人は読まないように注意してください。
●『舞妓さんちのまかないさん』全9話視聴。最高。大きな事件は起きない。悪人も出てこない。でも、人と人とのつながりや、人の決断と居場所を、おいしそうな料理とともに描き、ほっこりと心が暖かくなる。
森七菜、出口夏希、橋本愛、松岡茉優、蒔田彩珠、みんないい。キヨのパンのプリン食べたい。
以下、ネタバレあり。
●SNSで「原作にないキャラが付け加えられてて残念」という意見をいくつか見た。
これに関しては、是枝裕和監督が海外メディアのインタビューに答えた記事がある。要約すると、舞妓さんの制度に対して批判的な声(未成年に酒席の仕事させるなど)もあるから、夢のような世界として描くのは無責任だと思った。だから、原作にはない批判的な立場のキャラクターも登場させながら、それでも花街の人たちは舞妓を伝統芸能として残したいと望み、頑張っているんだという描き方にした、と。
屋形の娘に生まれながら舞妓にならなかった普通の女の子(蒔田彩珠)は、原作にないキャラ。舞妓を水商売呼ばわりして、青森から娘を連れ戻しに来たすみれのお父さんもオリジナルのキャラだという。
●実際このドラマを見て、舞妓や芸鼓を見る目が変わった。こんなに厳しい日々の稽古や、(舞妓姿での)ケータイやコンビニも禁止という日常を経た末に選抜され、舞妓が生まれるのだとは知らなかった。
●1話の好きなシーン。森七菜が舞の師匠(戸田恵子さん)に怒られているとき、師匠のうどんが気になって「のびちゃう……」と心配するところ。叱られているのに食べ物の心配をしてしまうキヨのキャラクターを一撃で表現し、このときの表情がキュートすぎる。
●そしてこれと対になるシーンが、ドラマの後半に出てくる。7話くらい?
稽古に対してストイックなすみれ(出口夏希)は、舞の師匠がうどんを食べているときも、質問をやめない。
怒られているときも、師匠のうどんが伸びちゃうのが気になる森七菜と、師匠がうどんを食べているときも質問を浴びせる出口夏希の対比。自分より誰かのことを考えて周囲を明るくするキヨのタイプと、自分に厳しく、ひとりで走りがちな百子・すみれタイプの違い。だから百子はすみれを可愛がる。
●こんなふうに『舞妓さんちのまかないさん』にはいろんな対比が出てくる。
すみれに「あんたは一番の舞妓にならなあかんで」と言う百子と、「一番じゃなくてもいい」と諭す父親。
一期一会だから「さようなら」と思いながら接する橋本愛と、一期一会だから「はじめまして」と挨拶する森七菜。
結婚や家庭より、芸の道を選ぶ橋本愛と、結婚を選び、しかし出戻ってきた松岡茉優。キャスト名と役者名がごっちゃや。
●松岡茉優の存在感がすごい。存在感というより、異物感だ。はんなりした祇園の屋形を、上沼恵美子のような(広島の達川のような)キャラで一気に空気を変えてしまう。
この異物感は『桐島、部活やめるってよ』で感じたものと同じだ。あの映画の松岡茉優も、女子高校生、男子高校生だらけの中に、ひとり意地悪な樹木希林が混じっているのような異彩を放っていた。
以前にも書いたと思うが、松岡茉優さんは主演よりも助演で輝く女優だ。ブレイクして以降、主演作品が続いたけど、ようやくその時期が落ち着き、本来の居場所である脇役に戻ってきた感がある。
盟友・橋本愛と共演しているのも『桐島』を思い出させ、あのソンビのシーンはたぶん、橋本愛と松岡茉優の並びを見た監督の誰かが、オマージュとして入れたものだろう。ゾンビの歩き方と、能のすり足に共通点があるという見方は斬新だった。
●一番好きなのは、5話と2話かな。人が居場所を見つけて、何かを選択する。そしてそこに料理の存在がある。
●一気見したガチ勢のみなさんにオススメは、英語字幕を表示させて2周目を視聴するスタイル。京言葉がどんなふうに英訳されているのか、見ながら楽しむと勉強になる。Many thanks おおきに。
●シーズン2があるとしたら、青森パートと、あの男の子もたくさん出てくるのでは。
