言葉の旅人

葉🌿を形どって、綾なす色彩に耽溺です。

「いくさ」という言葉(1)

2010年03月04日 | Weblog
 「いくさ」を変換してみると、「戦」・「軍」と出る。ま、普通一般的には「戦争」という意味である。
 
 「軍」という漢字のそもそもの話から始めよう。
 軍という字面を眺めていると、直ぐさま了解するように「車」とそれを囲む形というのがお分かりと思う。車とはこの場合は「戦車」なのだ。(昨年の戦車に乗った日以来ブログを書いていないから、久々の罪滅ぼしに書き始めた訳ではなく、偶々書き始めたらそうなっただけの話である。)
 古代の中国では(これも注釈が必要なのだが、少なくとも紀元前頃までのと言っても良いかも)、中原に於いての大規模軍事作戦は戦車の戦いであった。兵車つまり戦車で円陣を作って取り巻く事から出来た漢字なのだ。
 軍隊にとって機動部隊は大事なんだという証拠でもあると言えるだろう。
 ローマ軍でも恐ろしそうな金属が車輪から突き出して走り回り、歩兵を滅茶苦茶にかき回そうという戦車を映画で見かけるのだが、中国のはそうではない。
 一両三人編成になっている。御者、右手には矛を持った兵、左には弓を射る兵が同乗しているのだ。これが基本である。
 戦闘は先ず、一大戦車戦から始まるのだ。見てる分には圧倒的なスペクタクルなのだが、当事者はいつの時代も悲惨ではある。ただ、少しだけでも救われるのは、戦車乗りは階級が上位者であって、チョットしたエリート層に属するという事くらいかな?
 それは兎も角、「ぐん=軍」という編成の中心が機動部隊だった意識が漢字から窺える事は間違いない。
(続く)