言葉の旅人

葉🌿を形どって、綾なす色彩に耽溺です。

本かまど

2018年09月19日 | Weblog
 具合の悪くなった炊飯器を、この5月末に新しいのに買い換えてみたのだが、炊き上がりがどうも妙なのだ。
 普通に炊くと45分で出来上がるが、55分掛かる本かまど炊きにセットするとより本格的に美味しく炊けると言う文言に釣られて買ったのだ。
 当初暫くは、その謳い文句に頭が刷り込まれて、炊きあがった飯がつやつやして如何にも美味しそうで、口にする時も目にした白飯が舌にも影響したのか、なる程旨いと感じたのだ。
 ところが、この夏は猛烈な暑さでキッチンで炊くと、幾らエアコンを入れて居たとしても、暑苦しい。
 熱量を逃がすべく廊下で炊くことにした。それが七月初めの頃の事だ。
 それが、もう直ぐ炊き上がるだろうと思って見に行くと、既に炊き終わっている。
 時間を勘違いしたのかと思っていたが、どうもおかしい?五分前精神が身に付いた自分が時計を見てからいくと、やはり。
 スイッチを入れる時に確認しても、表示は55分と出る。
 どこでどう狂って来るのか、今日は閑人を丸出しにして、炊飯器表示を見詰めながら経過を見ていた。
 盛んに焚きこんでる水蒸気に白飯に変わりつつある米の良い匂いに日本人に生まれて良かったと在らぬ感慨に耽っていた。残る時間は25分。
 次の瞬間、残る時間表示が13分と出たのだ。24分でも14分でもない、13分なのだ。
 という事は、44分焚き?
 思わず、嘗て釜や銅鍋を使って都市ガスコンロに掛けて火を調節しながら飯を炊いていた時代が脳裏に浮かんだ。«初めチョロチョロ中パッパ赤子泣いても蓋取るな»の時代だ。
 時と共に、様々な機器が生み出されては、より機能が進化して、その様は目まぐるしく過ぎて行ったと言うべきだろう。
 どうだろう?
 水道でもパッキングは自分で取り替えてたのが、今は家宅番号が水道業者に割り振られて以来、特殊な樹脂パッキングになって指定業者以外は取り扱えない。
 温水器も、細かな問題が起こっても手は出せない。
 パソコンもスマホも格段に謎の世界となってしまった為に、頚椎神経症発症や猫背に肩凝りだらけの人々を大量生産している。
 活字の世界で身過ぎ世過ぎしてたのだから、ザッと全体把握して細部に分け入った感覚は必須なのだ。
 隔てられ、しかも細分化された部分のみを見て知る世界はどうなんだろう?
 野に過ぎよ、山に入れ!と憧れ考えるのは?
 いやはや、話は類型的な結論に終わりそうである。