20~30代に蔓延している「かたち」。
大抵の事は「…という形で…」と言いたいのだそうだ。
先日も、近所のメガネ市場の店長が、説明する為に喋りだした途端に「かたち」表現がカウント3に達した。
堪らず「勘弁してくれ!」と叫びたくなったが、そこは紳士を自認する僕としては軽く注意して、「説明の内容を”名詞”で括りたいのだとしたら、適当な言葉を使ってくれないか?」と申し出た。
言っている意味が分からなくて、店長は一瞬キョトンとしたのだ。
暫く顔を見詰めてから、ようやく気がついたらしく、どのように言えば良いのかと尋ね返してきた。
例えば、”方法で・やり方で・仕方で・ように・みたいに・事で・形式で・様式で”など幾らでもあるのに、一様に皆さんは「かたち」が大好きなのである。
7月に南海旅行社に行ったときには最高新記録を体験した。
案内の女性社員がワンセンテンスに3~6つも「かたち」が団子状態になって出て来る。
そこで、中身を聞かずに何回出て来るのかを勘定してみたら、驚いたことに40回も!
恐ろしく貧弱な表現力!
一律に「かたち」としか表現する方法を知らないのだ。
TPOに応じた言葉・表現の多様性を放棄して、単に意味が通じれば事は足りるという姿勢は、哀しくもあり、痛ましくもある。
そういう訳で、最近は話す相手が「かたち」表現を発し始め、合計三回に達したなら、その場から立ち去ることにしている。
そんな相手と話す程、僕は我慢強い神経を持たない。
それに、中身の薄さは分かるし、それ位なら心の内に一人語りしている方が、余程楽しいのだ。
そうは思いませんか?