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~カウンター越しより~

秩父蒸留所を見学

2010年04月13日 11時29分56秒 | 蒸留所巡り


池袋ー西武池袋線 秩父
秩父ー秩父蒸留所

2日目の見学は埼玉県秩父市にある秩父蒸留所
「イチローズ・モルト」をリリースされているベンチャー・ウイスキー

「秩父蒸留所??」
そう聞かれる方も多いかもしれない
それもそのはず、立ち上がってから日はまだ浅く
2008年2月に蒸留開始されたばかりの大手メーカーさんと比べると
とても小さな蒸留所なんです

  

タクシーで乗り付け、所内に
ゲストルーム(事務所??)に案内され、コーヒーをいただきました^^
するとオーナー様直々に御挨拶
 
 

光栄です
恐縮です
そして、オーナー御自ら 蒸留所内の説明してくださいました
それも詳しく、ある程度の知識がないと
なんのことやら?
という状態になるのではないでしょうか

大手メーカーさんは万人に分かりやすく説明
ベンチャーウイスキーさんは学びたい者への説明
ステキです^^

  

モルトウイスキーの原料は大麦
それも二条大麦
二条大麦といっても「お米」同様、品種改良され続け
様々な品種、そして産地がある
それによっても性格が異なる自然の産物
「ウィスキーは生き物ですから・・・」という言葉が印象的でした

現在はオプティック種や確か…ブレイマー種だとおっしゃってたような^^;
そして、地元愛の強い肥土さんは
埼玉県産の大麦も使用しているとのこと
ピートだって行く行くは埼玉県産ピートを・・・なんでしょうね^^

農作物ですから当然 小さい石なども混ざっている
手作業で仕分けしながら、麦芽の粉砕するためにローラーミルへ
粉砕された麦芽は、
ハスク、グリッツ、フラワーと2:7:1の割合の大きさに粉砕される
これが次の工程の麦汁を採取するために必要な作業になる

 

麦汁を採取する方法は「インフュージョン法」(浸す)
ざっくり言うとお湯に浸して、絞り、麦汁を取る作業
粉砕された麦芽グリストと約65度の温水で1番麦汁が採取され、
2番麦汁、3番麦汁を採取していく
そして残った絞りカスは、近くの牧場の家畜用飼料に回される
これが重宝されるということでした
ウィスキーは無駄な物は出さない

 

イースト菌を加えてモロミを抽出します
秩父の発酵槽(ウォッシュバック)です
大手の発酵槽だと高さ5mほど、直径も大きいのですが
とてもコンパクトな大きさです
5基ありました
しかも、材質がミズナラ

メンテナンスが簡単なステンレス製でも
伝統的な松、ダグラスファーでもなく
ミズナラのウォッシュバック
大きさがコンパクトなだけに、ミズナラで可能になったそうです
(ここで乳酸菌のお話もしてくださいました・・・ラクトバジルスだったなぁ^^;)

某蒸留所は木製のウォッシュバックからステンレス製に替えたら
飲み手の反応がいまいちになり
最近また木製のウォッシュバックに戻したらしいです

秩父のミズナラが今後どういうウィスキーを生み出してくれるか分かりませんが
いろんな要素の一つが重なり合い、自然風土による長い年月の影響を受け
ようやく誕生していくので、この工程だけでも
とても将来を期待してしまいます

中をちょっと拝見させてもらいました
スウィッチャーがちょうどグルグル回ってまして
臭いは以外にもフルーティーな香りでした

  

蒸留器 ポットスチル
初留器1 再留器1
もっとも小さいサイズの蒸留器
ラインアームについてのお話をしてくださいました
蒸留液の出来の違いなど・・・

 

スピリットセイフ
単に蒸留するといっても蒸留し始めと蒸留の終わりでは
アルコール度数や蒸留液の性質が異なる
そのタイミングは「人の感覚」
というのは、もともと麦芽から仕込んだといっても
麦芽自体が全く同じ物ではない
微妙なタイミングは職人さんの経験による感覚で操作される
一番良いとされるタイミングの間隔「ミドルカット」し
良質な蒸留液を採取していく
(実際はもっと複雑なんですが、簡単に書きました^^;)

 

所内に設けられた熟成庫
静かに眠ってます
様々な大きさ、材質の樽で
バレル、ホグスヘッド、バット・・・
そして、ミズナラ、ホワイトオーク、スパニッシュオーク

さらにバレル樽の両端を切り小さい樽を考案された
「チビ樽」とても可愛いネーミングです
秩父ならではの樽で、比較的早い時期に熟成のピークが来るでしょう
この樽のリリースも楽しみです

  

そして、ゲストルームに戻りテイスティング^^
樽詰め時のアルコールは63.5%
この透明な液体はまさにそれ
カドがあり飲みにくいかと思われるでしょうが
これがうまい

もちろんニューポットですから、熟成されてないので
美味しいといってもイメージが沸かないでしょうが
将来性をとても感じるフルーティーなニューポットでした

そして色の着いている2種類
フルーティー、ウッディーなタイプと51ppmのピーティーなタイプ
スモーキー派な方には51ppmがオススメ

いずれにせよ
まだ熟成期間が短い中でこれだけの味わい
5年先、10年先にはどんなスケールのデカいモルトに成長していくのか
とても楽しみになりました

今回は突然の見学に、肥土さん自ら、時間を割き、
御説明してくださいまして、本当にありがとうございました
肥土さんとの会話の中で、
地元で作り上げるモルトウィスキーという熱意がとても伝わりました
また列車に揺られて、秩父蒸留所へ伺いたいと思います
その際は「ウィスキーの世界」を少しだけ教えてください


白州蒸留所を見学

2010年04月13日 09時45分51秒 | 蒸留所巡り



熊本ー羽田
羽田ー浜松町ー新宿
新宿ー中央本線 小淵沢
小淵沢ー白州蒸留所

5時間の移動時間に睡眠は、熊本ー羽田の1時間ちょい
途中 中央本線で昔 住んでいたJR中野を通り過ぎる時
東京にいた頃を懐かしく思い出しながら列車に揺られていた
バーテンダーを始めた頃・・・東京はバブル期

職場の六本木は特に皆 浮かれてました
まさか20年経ったいま「蒸留所見学」で
この街を通り過ぎるようになろうとは思っていなかったし
正直 こんなにウィスキーに惹かれるとも思っていなかった
いまだに当時一緒に働いたスタッフの顔を忘れてない

そんな事を考えていたら、ようやく白州蒸留所に辿り着いた

  

ひっそりと森の中にたたずむ蒸留所
耳をすませば、野鳥のさえずりが聞こえてくる

一般見学での申し込みのため、普通に受付して
「普通」の方たちと見学する

山崎蒸留所創設50周年、1973年にサントリーの第2蒸留所として建てられた
山梨県の北杜市 南アルプス駒ケ岳の裾野
敷地面積は日本最大級だが、貯蔵庫が多いためか(22棟)
途中バス移動のせいか
広さはそう大きく感じなかった

仕込み水は花崗岩層から流れ出た天然水(軟水 硬度:30)

  

糖化槽
粉砕した麦芽にお湯を入れ麦汁を取り、
発酵槽でその麦汁にイースト菌を加え発酵させる
要するにここで糖化させて、イースト菌を加えることにより
アルコール約7%のモロミに変える
糖化槽(マッシュタン)はステンレス
発酵槽(ウォッシュバック)は北米産のダグラスファー

  

ポットスチル
ウィスキー通常2回蒸留が多い
蒸留所によっては、3回蒸留、2回半とか
モートラックのように複雑な蒸留をするところもある
形状も大きさも頭から首にかけてのラインアームの角度も様々
また加熱方法も直火焚きか間接加熱(スチーム)かにも

この白州蒸留所は
様々な形状のスチルを使い(ストレート型やランタン型)、
それから蒸留することによって
数10種類の個性の違うモルト原酒を作り分けている
これでブレンデッドへの供給、
モルトの幅広いタイプを保持をすることを目指している
初留器6 再留器6

  

そしてバスで移動し白州蒸留所の一番の「見せ場」
樽製造を見せてくれる
樽製造といってもバラバラの木材から熱で曲げながら
組み立てる工程ではなく、組み立て上げられた樽の内側を
チャー(焦がす)、リチャー(再活性)する工程を見せてくれる

リチャーすることによって木材成分を引き出し
香味生成や着色に影響を与える
ウィスキーでバニラ風味を感じるものがあれば
この影響とも言える

 

熟成庫 ウエアハウス
ここは撮影禁止だったので、
ネットより白州蒸留所のウエアハウスの画像を拝借した

「ダンネージ」といわれるスコッチ伝統的な3段積みの熟成ではなく
ここ白州は「ラック式」高層ラックで有名なキリン御殿場(20段ほどあった)と同様
鉄製の棚に樽が騒然と並べらていた

外気は暖かったが、この熟成庫は肌寒いほど・・・
中はウィスキーの香りを強く感じる
お酒に弱い人ならこの香りだけで酔いそうなほど
樽が呼吸している
ウィスキーが深い眠りについている

森が育む蒸留所
サントリー白州蒸留所
華やかな山崎と違い、キレのあるピーティーな味わいが特徴