バリん子U・エ・Uブログ

趣味、幸せ探し! 毎日、小さな幸せを見つけては、ご機嫌にハイテンションに生きているMダックスです。

毎日の冒険1

2015-03-25 02:05:59 | お話 ペットロス
子犬はペットショップで売れ残っていた。
人間社会のルールも、犬の社会のルールも知らない子犬だった。
女は、お腹を空かせて飛び回る子犬に、座って待って、食事をもらうことを教えた。
けれど、期待すること満足することの喜びを、女に気付かせたのは子犬だった。
不規則な勤務時間、長時間の拘束。休日出勤。女は毎日、地下鉄の連絡通路を走って帰った。子犬は女が出勤すると眠って過ごすようになった。そして、帰ってきた女を、光の粉を撒き散らすような喜びの仕草で迎えた。
犬が病気になった時も、女が失恋した時も、一人と一匹で乗り越えた。
一緒にいられる時間は長くはなかったけれど、別々に過ごす時間にも、二人の心にはお互いがいた。
毎日の生活は二人で進む冒険の旅だった。