バリん子U・エ・Uブログ

趣味、幸せ探し! 毎日、小さな幸せを見つけては、ご機嫌にハイテンションに生きているMダックスです。

神様の約束 完成版

2015-03-24 20:47:28 | お話 ペットロス
その日、犬たちは神様の元に呼ばれた。
神様ははしゃぐ犬たちに、
命あるものはいつかは死ぬことと、
犬たちが死を考える時期に来ていることを
お教えになった。
そして、神様は犬たちに、
「お前たちはとてもいい犬だったので、ご褒美に死ぬタイミングを自分で選ばせてやろうう。」
と告げられた。


最初に口を開いたのは、まだ子犬と言ってもいいような若い犬だった。
「ぼくはまだ、大好きな家族のためにほんの少しのことしかしてあげられていません。
ぼくの家族はぼくとたくさんの時間を過ごして、たくさんのことを一緒にしていこうと思ってくれていたはずです。
だから、ぼくは、ぼくの死が家族の未来に役立つような、そんな死に方がしたいです。
ぼくはどんなに悲しくてもかまいません。家族の心に、役に立つ大切なものを残していけるときに、ぼくを死なせてください。」
「約束しよう。」
神様は若い犬の言葉を聞いて頷かれた。そして、凛々しい若犬の頭を優しくお撫でになった。


次に口を開いたのは、自信に満ちた美しい成犬だった。
「わたしはわたしの家族が大好きです。わたしの家族も、わたしのことが大好きです。
きっとわたしの家族は一分でも一秒でもわたしと長くいたいと願うはずです。
わたしはどんなに苦しくてもかまいません。家族のためにできるだけ長く家族のそばにいさせてください。」
「約束しよう。」
神様は犬の言葉を聞いて頷かれた。そして、辛い覚悟を決めた強く美しい犬を優しく抱きしめられた。


最後に口を開いたのは、白髪は交じっているものの、大切にされていることが一目でわかる素晴らしい毛並みの老犬だった。
「ぼくは家族と長い年月を楽しく幸福に過ごしてきました。
家族にとって、ぼくはかけがえのない存在です。だから、ぼくを亡くした後の家族が心配です。
ぼくのことはどうでもかまいません。家族の悲しみが一番和らぐ死をぼくにお与えください。」
「約束しよう。」
神様は老犬の言葉を聞いて頷かれた。そして、優しく賢い老犬の顔に涙に濡れた頬をお寄せになった。


神様がどんな犬をお呼びになっても、犬たちの願いは
"大切な家族が幸せでいられますように。"
いつもただそれだけだった。