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🌞・紫陽花記

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★10 どうした? 

2025-03-16 05:16:59 | ★★☆「と、ある日のこと」2025年度


 
何処をどういじったのか分からないが突然スマホの画面が真っ黒に消えた。叩いても、電源を入れ直しても画面は現れない。

 どうしよう・・・息子の顔が浮かんだが今日は火曜日、出社している。頼み事はなるべくしないように心掛けているが、パソコンやスマホは勿論、電気関係の事は息子を頼るしか無い。
 予定表やら電話番号や、ラインなどが見ることが出来ないと困るし、自分のブログを見ることも出来ないのだ。

 忙しい息子の休日の土日まで我慢することにした。とりあえずの数日をスマホ無しで出掛けることになる。緊急事態に遭遇したならどうするか? 近年、公衆電話への関心は全く無い。最寄り駅の改札口付近を思い巡らしてみた。改札口の傍の売店近くに、確か公衆電話が設置してあったような気がした。出掛ける先の駅付近にはどうだろうか? やはり改札口近くにあったような気がする。となれば、小銭を持って行くことにしよう。現在の公衆電話は十円硬貨からだろうか? その辺りも調べておく必要がある。などなど、不安な数日を過ごした。

 金曜日の朝、息子と嫁さんが出かけるという。二人とも有給休暇を取得したようだ。そして、出掛けて行ってしまった。

 土曜日の朝食後。息子に、スマホの事の次第を説明して見てもらうことになった。充電器と画面真っ黒のスマホ。電源を入れ、あれこれ確かめていた息子。私に質問をしてくるのだが、私はよく分からない。ものの5分程で、スマホに画面が戻った。
「早く頼めばいいのに。遠慮しなくていいからね」と息子。何だか知らないが、息子にまで遠慮する自分の心の内が可愛く思えてきた。
いや、親しき中にも・・・・・だものね。




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★9 電動のこぎり

2025-03-09 06:50:33 | ★★☆「と、ある日のこと」2025年度


 
ずうっと以前から欲しかった電動のこぎり。

大型店舗の工具売り場には、何種類もの電動のこぎりが並んでいる。応対をしてくれる男性店員の説明を聞き、手に取って見た。ズシリと重い。約、二万円ほど。
「本体は約1㎏、バッテリーは800gですね。片手で持って、高いところを伐るとなると、ちょっと重くないですか?」と、店員。

 庭の手入れするのは私だけ。大好きな庭仕事なので文句は無いのだけれど。背伸びして2㎏近い電動のこぎりを操るのは、考えてみるだけでも疲れる。持ってみて、高めの枝を伐る動作を想像してみたが、自分の体力では無理かもしれない。
 電動のこぎりを買わずに、土壌改良剤などを購入して戻ってきたが、夏場に伐り捨てていたバラの太いシートが気になり、道具入れからのこぎりを出して、ごみ袋に入る長さに切ることにした。

 のこぎりを挽きながら、やはり電動のこぎりなら楽で速いと思ってしまう。それでも、元来の庭好き、植物好きなので、せっせと6本のバラのシュートを伐りゴミ袋に入れた。最後に残った直径7センチほどのバラの幹は、硬くてなかなか伐れない。やはり、電動のこぎりが欲しい。低い場所での作業なら危ないことも無さそうだ。今度必ず買おうと決心。

 約一時間の作業だった。限界の印が出てきた。不整脈だ。一昨年の夏場に起きた不整脈症状と同じ度合いの不整脈。命あっての庭仕事。手袋、靴下を脱ぎ、上着などを脱ぎベッドへ。ドキドキが速い。「死に直結する不整脈ではない」と、以前に主治医が言っていたが、それにしても、生きた心地がしない。

 やはり、絶対電動のこぎりを買おう。不整脈もそうだが、右肩が痛くなってきた。貼り薬も貼るしかなさそうだ。



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★8 婚活

2025-03-02 07:33:13 | ★★☆「と、ある日のこと」2025年度

 

「息子の結婚が決まったの」と、友人鈴ちゃんからの電話。何でも、婚活アプリでの縁だそうだ。数年、結婚相談所に登録したり、婚活アプリに登録したりして頑張っていたそうだ。
「サラリーマンのお嬢さんで、結婚式は、双方の家族だけ集まっての食事会と写真撮影する予定なの」鈴ちゃんは、長男の結婚が決まってほッとしたと言った。

 そう言えば、他の知り合いの娘さんも婚活アプリでの縁で結婚し、カワイイ女の子も授かっている。近年の婚活事情は、仲人役不足の世の中、結婚相談所や婚活アプリなどが縁結びを担っている。よくよく考えてみれば、婚活の書類には、身長体重などは勿論、顔写真や父母や兄弟姉妹の存在などや、今現在の仕事内容や給料の金額などなど、その人物の背景が最初の段階で知ることが出来るようだ。将来のことを考える資料にもなるし、多少の違いはあっても、大きな安心要素になるに違いない。

 街中で追いかけられて、知り合ったわれら夫婦。見た目や少しの情報だけで付き合い始め、その人物の背景など、会話の中からの情報だけで、好きか嫌いかだけが先行し、勤め先の情報も無く、早々と結婚した。

 その人物の本当の姿は、一緒に生活してみて漸く知るようなもの。一つぐらいの嫌な部分があったとしても、やすやすと離婚をすることもできない。升に山盛り入れた豆のように、あれこれと揺さぶられて落ち着き、それでも離婚するほどの失敗を感じなければ、延々と、老後まで一緒に暮らすことになる。

 近年、離婚率が多くなっているようにも感じる。決していい加減な考えで結婚したのではないだろうが、良いことばかりは無い共同生活。皆が皆、幸せを感じられる毎日であってほしい。




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★7 オペラのツルちゃん

2025-02-22 07:41:20 | ★★☆「と、ある日のこと」2025年度



 オペラ俳優のツルちゃんと久しぶりに踊ることが出来た。相変わらず身軽で力持ち。ルンバのリズムも小気味よく、拙い私の精一杯のダンスも、難なくリードして、終いには、軽くリフトして、52キロ越えの私を、ひよいと持ち上げている。舞台ではどんな役柄を演じているのだろう? 

地方公演が多いと言っていたが、数百人の観客から、二千人の観客の舞台もあると言う。      
痴呆症予防に役立てようと拙い文章や俳句モドキを書いている私は、まだオペラの舞台を見たことが無い。縁があれば一度観てみたいと思う。

「入場料っていくらぐらいなの?」と、聞いてみた。「う~ん、5,6千円位から、ホールによっては一万円くらいかなぁ」と言う。近場でチャンスがあったら観に行きたいと思う。
 それに、演じられている作品は、やはり、西洋モノが多いのだろうか? それも知りたい。以前、イベント会社の関係者から私のショートスト―リーにコメントを頂いたことがある。ちょっと心に残ることであった。

 ツルちゃんは、金髪になっている。舞台が終わって間もないこともあり、散髪に行く間がなかったとか。外見からすると作品は西洋の物語に違いない。などと、暫し物書き趣味人の私は、想像の中に居た。

 ダンサーの中には、舞台俳優や芸人などがたくさんいる。また、弁護士や会計士、歯科医師やカメラマン、国家公務員や企業戦士などなど。みな、将来に向けて稼いでいるようだ。これも想像の域ではあるが。

純粋にダンサーだけで頑張っている中には、競技選手や教室のダンス教師など。若者たちが汗を飛ばしながら、将来の夢に向かっている姿は、私たちお客様の老後の慰みと楽しみと生きがいをくれている。




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★6 たっつぁん

2025-02-16 07:41:30 | ★★☆「と、ある日のこと」2025年度



「あのう、僕の名前を知っているということは、一度は会ったことがあるということですよね? どなたさんでしたっけ? もしかして鈴木さんですか?」と言う。以前、「たっつぁん」と呼んでいた竜次郎さんの探るような眼は、過ぎた年月の長さを思わせた。傍にいたダン友のみっちゃんが、「ほら、喫茶店のママよ」と言ってから、マイマイ橋通りの我が喫茶店のことを話すと、「えっ?ああ、そうか」と、記憶を手繰るように私を見つめた。

 たっつぁんは、私が社交ダンスに関わるキッカケをくれた人物だ。商工会議所に勤務していて、私の喫茶店の経理を受け持った人だ。私が自分で税務署提出書類などが出来るようになってから、会わなくなっていた。

「では、一曲」と、たっつぁんが立ち上がった。ずいぶんと痩せたようだ。ホールドも優しく力ない。グンと力強い踊り方が、優しい遠慮がちなリードに変わっていた。

「ごめんね、一曲で」
 たっつぁんがホールドを解いた。ここでも、年月の経過を感じる。誰でもそうだろうけれど、年齢とともに体力が減退して、あんなに女性から追いかけられていた身でも、自分の体調の具合から、自分から退くことになったようだ。

 私は何となく納得がいかない気分だった。いつまでも同じではないという現実。私自身に置き換えても、それは言えることだ。息子に嫁が来て、次々と孫が出来、その孫たちがすくすくと育ち、私の背丈より高くなった。家庭の中の権力は、いつの間にか息子夫婦に代わっている。我ら夫婦は小さく、そう、背丈も縮んで、小さくなっている。

「またね、たっつぁん」と、手を振って挨拶すると、「うん、また」と、たっつぁんの優しい声が返ってきた。



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