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ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。ツイッター:http://twitter.com/sr_azev

《読書》小谷野敦『東大駒場学派物語』新書館

2009-09-07 11:27:11 | 読書
●〔60〕小谷野敦『東大駒場学派物語』新書館 2009(2009.07.11読了)

○内容紹介
東大駒場は日本の大学の縮図。学者の人脈とその知られざる生態を浮き彫りにする。

 小谷野敦のブログ「猫を償うに猫をもってせよ」に載っていたものが元になっています。
 やはり、ゴシップと月旦は面白いです。

○人脈修行
もっとも、一般の人は知らないだろうが、比較に限らず、学界における人脈というのは、とうてい部外者に察知できるようなシロモノではない。学問的には対立しているはずの人同士が仲が良かったり、同じことを言っているはずの人同士が激しく敵対していたりするから、大学院での修業というのは、学問修業である以上に、その人脈に関する情報を得る過程でもあるのだ。
 私など大学院生のころ、人脈一覧表でもないかと何度も思ったことがある。(p.11)

○すごい話
 政治的にはともかく、御三家はこの頃、「現代思想」「文学理論」に対して拒絶の姿勢をとっていたのみならず、学生には、「日本」を研究対象とすることを強要する観があった。これが、芳賀・平川時代の暗部である。「比較文学」の看板をあげるからには、ドイツとフランスでも英国とロシヤでも構わないはずである。また抽象的議論は嫌われた。
 小林康夫はボードレール論を修論として出し、これは比較文学ではない、と言われたが、激昂した指導教官の阿部が、「日本人がボードレールをやれば比較文学なんです」と叫んだとか、平川は修士論文中間発表会で、気に入らない発表者がいると、そのレジュメを紙飛行機にして飛ばしたとか、誰かが「ディスクール」という言葉を使い、教官の一人が「蓮實的ですね」と軽口を言ったら、いきなり平川が「蓮實はいかん!」と叫んだとか、すごい話がたくさんあるのである。(pp.178~179)

○「日本広しといえども」(笑)
 榊のものは、当初、『源氏物語』とE・M・フォースターと蘇東坡における水のイメージを比較するという破天荒な計画だったが、修論中間発表会で、伊東が「これこそ比較文学の王道だ!」と叫び、しかし蘇東坡は無理で谷崎潤一郎に変えたが、これが漏れ聞くところでは論文審査でひどく評判が良かったという。けれど私は読んでみて、日本広しといえどもこの論文で修士号が貰えるのはここだけだろうと思った。(p.190)

○恨み言
 この本は、五、六年前に書き始めていたものだが、出せなかったのは、主要登場人物が生きているせいもあって、プルーストが関係者が死ぬのを待って『失われた時を求めて』を出したように、何人か死ぬのを待って出そうと思っていたが、みなたいへんお元気で、いっかな死ぬ様子もなく、これでは九十近くまで生きるのではないかと思え、それでは自分が先に逝ってしまうかもしれず、また東大とおさらばしたという事情もあって、出すことにした。筒井康隆の『文学部唯野教授』に、主人公の唯野仁が、小説など書いていることがばれたら、学部長とかの出世の道が断たれる、と編集者に言い、編集者が、いいではありませんかと言うと、唯野が、人は自分の所属している世界での上昇を望むものだと反論する箇所がある。それでも唯野は、母校の教授なのだからいい。私の場合、「駒場学派」では、著書の数は四方田、亀井に次いでおり、四方田にはない博士号まで持っているのだから、在野の学者で終るのは、客観的に見ても、さぞ無念だろうと思われるだろう。四方田夫彦は、著書が百冊になったと言っているが、翻訳や文庫版など全部からげて百冊なのだろう。私の数え方では五十四冊だが、それでも「駒場学派」ではダントツの一位、二位が亀井先生の三上ハ冊だが、本書は私の三十五冊日の本になる。ロラン・バルトは六十過ぎてコレージュ・ド・フランスの教授になったが、日本でこれほど不遇な学者はちょっと思い当たらないくらいである。牧野富太郎とか森銑三とか、学歴がないため不遇だった学者の話というのはよくあるが、学部から生え抜きの東大で、博士号までとって、私大の教授にさえなれないというのは、自分で断っているならともかく(ただし地方の立派な大学への就職を平川先生が斡旋してくれたことがあって、ただ飛行機に乗れない私がそんな遠方へ行くのは不可能だったから断った)、前代未聞かどうか知らないが、雇い止めと決まってからだんだん、私の気拝は大学から離れ始めている。などと言えばまた「あの葡萄は酸っぱい」式にとられるのだろう。(p.290~291)
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《読書》森功『ヤメ検-司法エリートが利欲に転ぶとき-』新潮社

2009-09-06 10:59:08 | 読書
●〔59〕森功『ヤメ検-司法エリートが利欲に転ぶとき-』新潮社 2008(2009.07.09読了)

○内容紹介
かつて巨悪を暴き「検察のエース」と呼ばれていた者たちが、退官後には一転して裏社会の代理人として古巣と対峙する―。彼らは「正義」を捨てたのか?驚愕のインサイドレポート

 まあまあ。経済事案は構図が複雑で、難しいです。
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《読書》名演雑学委員会『クラシック不滅の名演おもしろ雑学事典』ヤマハミュージックメディア

2009-09-05 09:51:17 | 読書
●〔58〕名演雑学委員会『知ってるようで知らない クラシック不滅の名演おもしろ雑学事典』ヤマハミュージックメディア 2009(2009.07.08読了)

○内容紹介
クラシック音楽の世界で、今も語り草になっている名コンサート、名ディスクがある。そのなかから、CDや映像に残された「不滅の名演」を厳選。「名演誕生の瞬間」を“聴いた!見た!”人にしか綴れない50の感動エピソード集。

 出谷啓の名前があるので読んでみました。
 出谷氏の文章は久しぶりでした。中身は相変わらずですが、一時期入れ込んだ者としては、懐かしく読むことができました。
 その他も結構面白く読むことができました。

○バッハ:モテット
 「Singet!(歌え)」「Singet!(歌え)」と歌い交わす壮麗なダブル・コーラス、変口長調の晴朗な響きの喜ばしさ、息の長い旋律と小気味良いリズムが幾重にも重なる美しさ・:…。大バッハによるモテット《主に向かって新しい歌を歌え》は、私の学生時代からの愛聴曲である。友人に「バッハのモテットが好き」などと言うと、「渋いものが好きだねえ」とよく返される。それはバッハの宗教曲のイメージであって、この曲を実際に聴いた感想ではあるまい。実演でも滅多に演奏されないので、致し方ないかも知れないが、聴き手を幸福にせずにはおかない、こんなに美しい作品があまり知られていないとは、いかにも勿体無い話である。
 私がこの曲を知ったのはLPレコードからであった。少年時代から『レコード芸術』誌を愛読していた私は、1982(昭和57)年6月号付録の「レコード芸術コメント付き推薦盤全記録にを、それこそ暗誦するように繰り返し読んだ。そこで目に留まったのが65(昭和40)年8月号推薦のカールフォルスター指揮ベルリン聖ヘドヴィヒ教会合唱団によるバッハのモテット集である。当時としても17年前のLPで、既に廃盤となり聴く術がない。それを手に入れたのが広島での学生時代、レコードショップ・ヨシダという中古レコード店。店主の吉田さんも「若いのに、よくそんな渋いレコード買うねえ」と感心とも呆れともつかぬ一言。私は長年の夢が叶ってウキウキ。(芳岡正樹「ライプツィヒ聖トーマス協会合唱団 バッハ《主に向かって新しい歌を歌え》」p.215)

 中古レコード店のヨシダへは私も学生時代によく行きました。懐かしいです。サンモール内にありましたが、今はもうありません。
 経歴等から考えると芳岡正樹=板倉重雄なのでしょう。
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《読書》天馬龍行(編著)『続・ジョーク世界一-毎日笑って半年笑える-』アカデミー出版

2009-09-04 09:30:17 | 読書
●〔57〕天馬龍行(編著)『続・ジョーク世界一-毎日笑って半年笑える-』アカデミー出版 2009(2009.07.06読了)

○内容紹介
日本一のジョーク通を自称する天馬龍行氏が30年かけて集めたジョーク230編。

 まあまあか。
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《読書》大倉崇裕『オチケン、ピンチ!!』ミステリーYA!(理論社)

2009-09-03 10:58:46 | 読書
●〔56〕大倉崇裕『オチケン、ピンチ!!』ミステリーYA!(理論社) 2009(2009.07.05読了)

○内容紹介
大学入学早々に、廃部寸前の落研(落語研究会)に、無理やり入部させられた越智健一。そこで待ち受けていたのは、浮世離れした落語の天才・岸と、万事爽やかや武術の達人・中村という風変わりな先輩ふたり。部員が3人をきったら自動的に廃部、という規則をなんとか死守しているオチケンだが、勢力拡大を狙う他のサークルが、その部室を虎視眈々と狙っている。そんな中、岸がトラブルに巻き込まれ、退学の危機に陥ってしまう。しかし、もっと大きな陰謀のにおいをかぎつけ(てしまっ)た越智は、仕方なく調査をするうちに、不可解な事件が多数、キャンパス内で起きていることに気づく…。勝手気ままな先輩たちに振りまわされ、授業には出席しそこね、必須科目の単位を落とす危機に瀕し、学生部からは目をつけられる。さらなるピンチに襲われる、越智健一の運命やいかに!?大人気『オチケン!』につづく青春落語ミステリー、第2弾。

 面白くないとは言いませんが、あまりにも絵空事に過ぎるような気が。
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《購書》 2009.07.05 啓文社ポートプラザ店

2009-09-02 09:01:19 | 購書
啓文社ポートプラザ店

◎『Mr.PC』2009年8月号(Vol.2) 晋遊舎 ¥690
 特別付録としてMr.PCオリジナル『microSD/SDカードリーダー』がついているので買いました。

●2009063,ろんだいえん-21世紀落語論-,三遊亭円丈,,彩流社,,2009,¥1,890
 落語物。
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《読書》吉越浩一郎『仕事が速くなるプロの整理術』日経BP社

2009-09-01 08:41:18 | 読書
●〔55〕吉越浩一郎『仕事が速くなるプロの整理術』日経BP社 2008(2009.07.05読了)

○内容紹介
「残業ゼロ」の秘密は「書類の整理」にあった!A4の紙とクリアファイルで情報を一元管理!トリンプ・インターナショナル・ジャパン前社長で、「残業ゼロ」「19期連続増収増益」を成し遂げた吉越浩一郎氏。仕事のムダをなくし、劇的なスピードアップを実現することによって、会社の業績を飛躍的に伸ばした吉越流仕事術の中核には、シンプルで実用的な「書類の整理術」がある。その整理術の特徴は「ひと目でわかるようにする」ことにある。メールをプリントし、「やるべきこと」「気づいたこと」を書き込み、クリアファイルに入れて、「締め切り日」の順に収納する。必要な道具は、A4サイズの紙など、すぐに手に入る文房具だけである。ビジネスパーソンにとって、整理とは、「必要なときに、必要な情報が、すぐに取り出せるようにする」ことである。吉越氏はその理想的な仕組みを作り上げ、経営革新に必要なすべての情報を整理していた。紙を使う目的と方法を明確にすれば、仕事はぐんぐん速くなる――。『仕事が速くなるプロの整理術』には、その方法が詳細に明かされている。

 有益な、示唆に富む内容が多くありました。

○Gメール
Gメールはデジタル情報整理の最強ツール
 Gメールを既に使っている方には釈迦に説法でしょうが、デジタル情報を整理する上で、これほど便利なツールはないと思います。デジタル情報を一元的に保管する「置き場」として、高い機能を備えているからです。
 Gメールは、グーグルが提供しているウェブメールのサービスです。グーグルのサイトから登録するだけで、誰でもすぐに使えるようになります。そして、ウェブに接続できるパソコンがあれば、どこからでもアクセスして、メールを送受信できます。携帯電話からアクセスすることも可能です。
 ウェブメールのサービスは昔からありましたが、Gメールが画期的だったのは、利用者一人ひとりが使えるメールボックスの容量を格段に大きくしたことです。現在は7ギガバイトまで無料で使えます。
 ですから、画像などのファイルをやり取りすることが多い人でも、そう簡単に容量オーバーになることはありません。
 しかも、Gメールは検索性に優れています。グーグルを使ってウェブサイトを探すのと同じように、キーワードを入力して検索すれば、見つけ出したいメールがすぐに表示されます。そのスピードは速く、待たされてイライラすることはありません。
 こうした機能を生かし、メールを送受信するだけでなく、情報を保存する「置き場」としてGメールを使っている人も増えています。私もその点に注目しました。
 資料やデータなどのファイルをGメールで自分あてにどんどん送信しておけば、オフィスにいても、外出先にいても、自宅にいても、必要な情報をすぐに取り出せる体制を整えられます。もちろん、人から受け取ったメールも、同じように検索して使えばいいのです。
 「あの資料を見たい」「あの文書を修正したい」と思ったときに、ノートパソコンや携帯電話さえあれば、いつでもどこでも即座に対処できます。
 私はこのGメールを「紙によるデッドライン管理」と結びつけました。その手順は二つあります。いずれも簡単なことです。
 まずは、メールソフトをGメールに一本化しました。
 今の事務所では、仕事の情報はほとんどすべてメールでやり取りしています。そこで事務所のアドレスに届くメールをGメールアドレスに転送するようにして、メールのやり取りをGメールで行うようにしています。こうすれば、自宅や外出先でも、すべてGメールで仕事の連絡を取れます。
 私は毎年夏、妻の実家がある南フランスでバカンスを取るのですが、急ぎの仕事があれば、Gメールを使って片付けています。
 次に、紙で整理保存している情報を必要に応じてGメールに乗せます。
 自分のメモを書き込んだ方眼紙などもスキャナーでPDFにして、Gメールに乗せていくのです。
 従来は、メールを紙にプリントするという「メール→紙」という一方通行でしたが、Gメールを使うようになってからは「紙→メール」という逆の流れが加わり、紙とメールが双方向で結びつきました。
 紙の書類をデジタル化するスキャナーには低価格で使いやすいものが登場していますし、大きなオフィスにある複合機にはスキャナー機能がついているでしょう。それらを使えば紙をPDFなどにして整理していくことが容易になります。
 私の事務所では富士通の「スキャンスナップ」という小型のスキャナーを利用しています。これはA4サイズの紙をスキャンするのに手軽で便利です。事務所のスタッフがいろいろ検討して、これに決めました。
 机の片隅に置けるほどコンパクトで、かばんに入れて持ち歩くこともできます。価格は3万円足らずでした。(pp.155~158)
 Gメールの利点が簡便にまとめてありました。

○Trust is good.
 "Trust is good. Check is better."-。トリンプのIT部門で働いている英国人にこう言われたことがあります。「信頼するのはいいことだ。チェックするのはもっといいことだ」という意味です。
 私はこの言葉がとても気に入りました。部下のやる気を引き出す基本を端的に表現しているからです。(p.218)
 なるほど。
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