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《読書》春風亭一柳『噺の咄の話のはなし』ヤゲンブラ選書(晩聲社)

2005-06-05 20:02:34 | 読書
●〔37〕春風亭一柳『噺の咄の話のはなし』ヤゲンブラ選書(晩聲社)1980(2005.05.29読了)
 春風亭一柳は1956年に三遊亭円生に入門。三遊亭好生の名で1973年、真打昇進。1978年の円生一門の落語協会離脱騒ぎの際、協会に留まったため破門され、名前を返上し、林家正蔵(彦六)門下に移り、春風亭一柳を名乗りました。しかし、1981年7月9日に自分が住んでいる団地で投身自殺しました。悲劇の落語家です。
 三遊亭円丈はその著書、『御乱心-落語協会分裂と、円生とその弟子たち-』主婦の友社(1986)の中で次のように述べています。

しかし、好生程円生の呪縛から逃れる為に七転八倒した者もいない。彼の芸風は円生にそっくりだったし、その上背格好もよく似ていて、立居振る舞い、高座でタンを切るトコロまで似ていた。彼は、こうして落語協会に戻ったが、その後も円生の呪縛から逃れるコトは、三年後に悲惨な最期を遂げる日まで出来なかったのだ。(p.97)

 この本の表紙には「笑わせの世界に生きる噺家が貧乏と芸道の厳しさに煩悶しつつ、溜息のように綴った念踊の歌!」という内容紹介が乗っていますが、その通りに全体を救いようが無い暗いトーンが貫いています。もっとも、これは一柳が後に自殺することを知っているために、先入観があるからでしょうか。
 一度、春風亭一柳の噺を聴いてみたかったです。

 この本の中で面白かったところを一つ。

(楽屋で)「落語家死因予想一覧」なんてのを壁に張り出したこともある。「言い当てちゃ、シャレにならねえ」から、若手ばかりを並べたが、志ん朝=中気、談志=他殺、という具合。しかし、これもなんだか言い当てそうだが。私のところには、「ふとした病い」と書いてあったから、見た目にもきっと弱々しかったのだろう。(p.49)

 「談志=他殺」というところで、思わず吹いてしまいました。

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