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《読書》中川淳一郎『今ウェブは退化中ですが、何か?』講談社BIZ(その2)

2010-04-27 21:29:37 | 読書
●〔127〕中川淳一郎『今ウェブは退化中ですが、何か?-クリック無間地獄に落ちた人々-』講談社BIZ 2009(2009.12.27読了)〈2009133〉

(承前)

○絶対に実名と立場を明かさない人たち
 知り合いの雑誌編集者から誘われて行った別のオフ会には、ブログ界ではよく知られた人たちが多く来ていた。彼らはブログを書くことでアフィリエイトの収入を得たり、企業からのモニター謝礼で生活を成り立たせているといった、すごいレベルの人々である。名刺には自分のブログのタイトルを印刷し、「どうも~、○○です」とハンドルネームを名乗る。そこに書き込まれているのは、メールアドレスとURLとハンドルネームだけである。
 彼らは、自分のプライベートに関する話はしない。その一方で、いかにブログを作っているかという話は嬉々として教えてくれる。話している最中も、iPhoneを出しては自分のブログをチェックしたり、コメントに返答したりしている。(中略)
 中には、最初は無愛想だったのに、私がネット上の話題を紹介するニュースサイトの編集をやっていることが分かると、突然、「私、こんなブログやってます」と名刺を出してくる人もいた。PVが増えれば自分の稼ぎが増えるため、彼らはリンクを張る可能性のあるサイトの関係者を大切にするのだ。名刺を交換するからには、私も名刺を差し出すことになるが、相手が限定的な情報を出しているだけにもかかわらず、こちらは実名、住所、電話番号、メールアドレスまですべて知らせることになり、何だか不安だった。
 そして、彼らはなぜか分からないが、やたらとガツガツとメシを食う。この手のオフ会はチェーンの居酒屋でよく行われ、だいたい6人くらいで一席を囲む。出てくるコースの料理ははっきり言ってロクでもないものが多く、しなびた刺身が入っていたりする。その会で私たちのテーブルに出てきた刺身盛り合わせには、甘エビが人数に合わせて6匹入っていたのだが、甘エビが好きなのか、一人で5匹食べてしまった人がいた。その後、エビの天ぷらが12匹出てきたが、この人は7匹食べた。別に恨んでいるわけではないのだが、まあ常識的ではない。
 iPhoneを見続けてまったく会話に参入しない人もいるし、何を聞いても「まあ、それは答えないでいいでしょう…」と言う人もいる。じゃあ何のために来てるんだよ! と思うこともしばしばだ。とにかく、何かと自分本位の人が多いのだ。(pp.236~237)

○個人情報
現に、私はこれまでフリーランスでネットニュースの編集者をやってきた間、休んだ日数は以下の通りである。
2006年‥0日(サイトがオープンした8月以降)
2007年‥3日(婚約者の遺体を見つけた8月15日と年末休みの12月30、31日)
2008年‥9日(正月休みの1月1日~3日、サイト運営会社の人が研修旅行に行った6月6日~8日、旅行のため代役を立てた7月26日、年末休みの12月30、31日)
2009年‥6日(正月休みの1月1日~4日、旅行のため代役を立てた3月20日、11月28日)(pp.209~210)

 1995年、オーストラリアに住んでいた恋人に、大学のPCルームで必死でメールを書き、直後に「すごい偶然ね! 私も今ネットに繋がっているのよ!」と返事が戻ってきた時の 感動は思い出になっている。そこからチャットをした。だが、これは「彼女」が向こう側にい たから感動したわけで、どこの誰だか分からない人とコミュニケーションを取ったとしたら、そこまでの思い出にはなっていないだろう。(中略)
恋人と一緒に蚊に刺されながら捕獲したザリガニとドジョウ。同棲を始めた日、引っ越しが終 わって皆が帰った後、「これからよろしくね!」と抱き合ったこと。「で、どうするの?」と彼 女に聞かれて「結婚しよう」と答え、またまた抱き合った寒い冬の朝-。(pp.251~252)
 なぜか個人情報を。「婚約者の遺体」とはいったい何があったのでしょう?

※画像は中川淳一郎

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