《読書》小谷野敦「童貞放浪記」（『文學界』2007年10月号）

●〔番外〕小谷野敦「童貞放浪記」（『文學界』2007年10月号） （2007.10.13読了）
　小谷野敦の創作作品。市民図書館で借りて読みました。

　金井淳は、「女を買う」とかそれに準ずることを、三十近くになるまで一度もやったことがなかった。もちろん、素人女性との交渉もなかった。キスすらしたことがなかった。要するに、純然たる童貞だったのである。世間の人は信じないかもしれないが、T大のような一流大学には、女を買うのはおろか、結婚するまでセックスはしてはいけないと考えるような堅物がけっこういたのである。今はどうだか知らないが、淳が在学していた一九八〇年代前半には、明らかにそうだった。（p.160）

　ということで、小谷野敦がモデルの主人公・金井がストリップやファッション・ヘルスなどの風俗を放浪するお話です。素人の大学院生ともお付き合いします。果たして金井は童貞を喪失するのか？　それは読んでのお楽しみ（笑）。
　宿敵・渡辺秀樹（大阪大学）も「Ｈ大学の酒乱で有名な平木正紀」として出てきます。
　周知のように、小谷野敦は新婚で、21歳年下の可愛い奥さんがいます。奥さんはこの作品を読んでどんな感想を持ったのだろう、と下世話な興味が湧いてきます。