ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

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《読書》戸川昌士『やられた!猟盤日記』東京キララ社

2007-06-30 06:52:51 | 読書

●〔55〕戸川昌士『やられた!猟盤日記』東京キララ社 2005
(2007.06.27読了)〈2007099〉

○内容紹介
ブックオフにやられた、ヤフオクにやられた…。ネット販売が拡大した古本、中古レコード業界で、依然として蚤の市や古道具屋でお宝を探し、対面販売を続ける「ちんき堂」の日記、崖っぷちの第4弾。

 厠上の書。
 第4弾ということで、中身も猟盤日記から古本屋主人ボヤキ日記に変わってきています。ボヤいている割には古本屋はまだつづいているようです(これはどの古本屋本にも共通する特徴か)。
 キンテリ(湯村輝彦)や根本敬らとの華麗な交遊が随所に出てきますが、戸川昌士も立派な文化人という感じがします。

○市会(古本屋の市)にて
 町の本屋のオバハンが携帯電話で大声出していた。
「××ちゃん、パソコンの電気ついてる? あっそう、じゃあ、ヤフーオークション出してちょうだい。うん、うん。出た? じゃあ、『ぬきタッチ』(仮名)を検索して、いくらになってるか見てくれる。ううん、ちがう。栓を抜くの『ぬく』。ぬ、き……。うん、うん、それと『タッチ』ね。『ぬきタッチ』……。えっ、あった!あっそう。ヘー!結構な値段やね。分かりました。ありがとう」
 自分ところの店員にエロ同人誌の相場を調べさせているのだ。同業者がいっぱいいる面前でねえ。外へ出てコソッと電話して欲しいものである。
 そうそう、こんなのはまだカワイイほうで、旧ひぱりの怪談マンガ1括りを前にして、携帯電話片手に、「じゃあ読み上げていきますね」と、タイトルを1冊1冊報告している野郎がいた。いい悪いは別として、オイラ、これでは業者の市会に客を連れてきているのと変わらないよナと思った。この男、「はったり企画」(仮名)というネット販売専門の本屋で、ヤフオクで知り合った客と携帯電話でいつもこんな調子で取引しているらしい。誰か嫌味のひとつでもいえばいいのにと思うのだが、誰も聞いて聞かぬふりをしている。いつか、オイラが嫌味の一発かますかもしれない。(pp.246~247)

※ちんき堂ニュース