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《読書》宮田昇『戦後「翻訳」風雲録-翻訳者が神々だった時代-』本の雑誌社

2005-12-23 05:52:43 | 読書

●〔89〕宮田昇『戦後「翻訳」風雲録-翻訳者が神々だった時代-』本の雑誌社 2000
(2005.12.05読了)
 今はそれほどではありませんが、昔は翻訳物のミステリやSFを結構読んでいました。この本に出てくる翻訳者の方々にはお世話になりました。著者と交流があった名物翻訳者たちの武勇伝(?)が語られていますが、印象に残ったのは福島正実の壮絶な生き方です。
 また、宮田昇は内田庶というペンネームで翻訳もしているそうです。かつて、偕成社のSF名作シリーズの『火星の合成人間』(バローズ)、『地球さいごの都市』(ハミルトン)を読んだことがあります。
 最近の本離れ現象を、子どもたちに読書習慣をつけさせなかった出版界の責任とする人がいるようだが、昭和四十年代、昭和五十年代ほど、その運動が活発に行われたことはない。(中略)
 この読書運動の中で、もっとも急進的に論陣をはったある大学教授が、福沢諭吉の「門閥制度は親の仇でござる」式に、過激に目の仇にしたのは、リライト、ダイジェストであった。全訳以外認めないこの評論家の過激さは、翻訳希望の女性にリライト、ダイジェストをやるぐらいなら、体を売れといってやったと、とくとくと書くほどのもので、その勢いもあって新聞各紙の児童図書紹介者のメンバーは、それに共鳴する人間で占められてしまった。(p.103)