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《読書》角岡伸彦『はじめての部落問題』文春新書

2005-12-22 05:56:24 | 読書

●〔88〕角岡伸彦『はじめての問題』文春新書 2005
(2005.12.04読了)
 被差別出身の著者による問題の入門書です。まさに簡にして要をえた内容で、大変に面白い本でした。イデオロギー色、運動色が無いところがよいのでしょう。特に「第一章 ってなに?」、「第二章 民って誰?」は非常に興味深く読むことができました。著者には他にも『被差別の青春』(講談社文庫)2003があります。
 九三年に、私は最初の会社を退職した。失業保険をもらうため、職業安定所の説明会に行くと、同和対策事業の一環として、民は規定の金額より多く受給できることを知った。(中略)
 さっそく単刀直入に「民なんです」と係官に言ったら、通常は給付期間が三カ月のところを五カ月に延長してもらえることになった。私にすれば“棚からボタ餅”、知らないおじさんから大金をもらったような気分だった。貯金もほとんどなく、再就職先も決まっていなかったので、正直に言って私はこのときほど「に生まれてよかった」と思ったことはない。「民だけ得をして……」と読者は思うかもしれない。はっきり言って得である。民は差別されることもあるので鬱陶しいが、こんなときは得なのである。(pp.60-61)