鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

カツ丼 in 山梨

2023年03月29日 | 兎糞録

 山梨は甲府に住んでいたことがあるのですが、ある日初めて入った食堂でカツ丼を注文。出てきたものに驚いたのは、カツを卵でとじていない。もしやとじ忘れたのでは?と思ったのですが、

 上の画像の出典は農林水産省Webサイトですがそこにはこんな説明もあります。


山梨で「かつ丼」を注文すると、ご飯の上に千切りのキャベツがのり、その上に揚げたてのとんかつがのった丼が出てくる。この上にソースをたっぷりとかけて食べるのだが、とんかつを箸で切って出てくる肉汁と、ソースがしみたご飯によって、ますます食欲が増す美味しさである。丼にのった「かつ丼」を目の前にするとボリュームを感じるが、さっぱりとシャキシャキした食感の千切りキャベツによって最後まで飽きずに食べられる。県外で一般的な卵でとじる「かつ丼」は、山梨県では「煮かつ丼」と呼ばれていて別の料理とされている。山梨県の「かつ丼」の発祥は明治時代の蕎麦店からといわれている。甲府市で360年以上続く老舗そば店の「奥村本店」の当時の主人が、東京へでかけた際にカツレツを食べ、感動してメニューに取り入れようとした。しかし、当時出前が主流だった蕎麦店では器がひとつで済む丼物が中心だったため、丼にのせる「かつ丼」が誕生したのではないかといわれている。


 そう、我々がカツ丼といっているものが山梨では煮カツ丼というのです。カツ丼と煮カツ丼は別の料理なのです。そんなカツ丼にも慣れたある日、何人かでカツ丼を注文したのですが届いたカツ丼の蓋を開けるとなんと、自分のだけカツが入っていない、ご飯の上にサラダだけ。一人前だけカツを忘れられたのです。

 全国でも卵でとじていないカツ丼は山梨だけらしいです。山梨の方が他県へ行ってカツ丼を注文して卵でとじたカツ丼が出てきたら「すみません、頼んだのはカツ丼なんですけど、煮カツ丼は頼んでません」ということになるのでしょうか。

 かつ丼といえばある日仙台合同庁舎へ行った時の事、昼にはまだ少し早い時間。先に昼飯を食べておくかと近くの食堂へ行ったのですがそこへ入ってきた客が店員の若い娘さんに向かっていきなり「かつ丼」、間髪入れず娘さん「すみません、ご飯まだだのしゃー」
 見事な方言でありました。

 カツ丼でもう一つ思い出すのが以前も書いたのですが開高健が絶賛したフランス料理「ル・ポトフ」、この話は「開高健とル・ポトフ」に書いておきましたが開店したときはまだデパートの中の食堂、デパ食にしか見えなかったと思います。そこへ入ってきた作業服姿の親父さん座るなり「かつ丼」
「すみません、当店ではお出ししていないんですが」

 

 そういえば食べ物の呼称でこの辺がよそと異なるのがこれ、

 この辺では「油あげ」、「あぶらあげ」とは言わず短く「あぶらげ」、煮ても焼いても大好物です。

 ではこちらは?

 「油揚げ」ではなく「薄揚げ」と呼びます。

厚揚げ → 油揚げ

油揚げ → 薄揚げ

 といったあんばいです。東京へ行ったときはまごつきました。そういえば地元のスーパーでの表記はどうなっていたでしょう?ちょうど冷蔵庫に鶴岡の豆腐屋製のものがあったので見たら、

 「厚揚げ」となっていました。今の人はそうは呼ばないのかもしれません。方言を使う人も激減、怪しげな標準語が飛び交います。うちの子は曾て職場で「戸をたててくれ」と言われて頭の中が「????」となったそうです。横になってもいないものをどうやって立てたらいいんだ?と。この辺では戸を閉めることを「戸をたてる」といったのです。

 

※ この辺の広告でよくあるのが時点の地図をあらわすのによその店に「○○さん」と表示するやつ。なんだか違和感が有ったのですがあれは人でないものに人称を用いるからなのですね。丁寧なようで馬鹿丸出しです。ついでにもう一つ「丁寧」、よくアナウンスで「親切丁寧にお教えいたします。」なんて言っていますが自らの動作を「親切」というのは変態おじさんが幼い子に悪さをしようとするときに使います。「親切」かどうかは他者が判断することなのでこの場合は「懇切丁寧」です。

 


コメントを投稿