鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

Jazz for a Sunday Afternoon (Jazz, Album, Live, 1968)

2022年02月27日 | Jazz

 高校生の頃、このアルバム買って毎日のように聴いていました。そもそも今のようにそんなにアルバムを持っていないので同じアルバムを何度も聞くのは当然ですが。その時のアルバムはこのジャケット。

 Dizzy Gillespie,Pepper Adams,Chick Corea,Ray Nance,Elvin Jones,Mel Lewis,みんな惚れ申した。CDも買いました。ジャケットは下のもの。かなり探しました。

Jazz for a Sunday Afternoon (Jazz, Album, Live, 1968)


ある社長さん

2022年02月27日 | 兎糞録

 大変話好きな社長さんがいらっしゃいまして、ちょっとした用事で訪ねて行ってもまずこちらへと社長室へ通されます。話はいつも先方、こちらは聞き役。いつも一時間は要します。しかし退屈かといえばそうでない、なかなか面白いんです。そんな話の中で今も記憶に残っているのは、

「私は従業員がミスしたからと言って怒るようなことはしないんです。怒ったところで相手が委縮してしまってはこの先良くはありません。ミスを見つけた時は失敗に気づくのは大事なことだ、同じ過ちを起こさないためにはこの先どうしたらよいか一緒になって考えよう。」と、こんな言い方です。(この話を伝え聞いた当時のうちの会社のお偉いさん、「そんなのウソに決まってらー」、こりゃ駄目だ。)

 しかし、会社の雰囲気を見ると何か緊張の糸が張りつめています。にこやかに応対するのは社長さんのみ。かなり厳しい会社なんだなと思いました。ある日の帰りがけに観た風景、お局様らしきおばさんが若い事務員に向かって、

 「やったんさい、こないだ教えたからできるでしょ!」

 事務所の外に出て同行していた部下と顔を見合わせ、おたがい思わず「怖え~っ」、やったんさい、ってどこの言葉でしょう。


鳥海国定公園におけるスノーモービルの乗り入れについて(山形県議会議事録より)

2022年02月27日 | 鳥海山

 鳥海山のスノーモービルについて、みどり自然課、森林管理署、猛禽類保護センターなどが、「自主規制」を求める協議会を立ち上げる動きがあるようですが、自主規制ということで行政の責任逃れではないかとの声も上がっていますがちょっとだけ期待しましょうか。まともに考えたら規制すべきなんですけどね。車馬というのは規制を受けるものですから、スノーモービルは車馬には当たらないというのはもちろん詭弁。

令和三年山形県議会十二月定例会予算特別委員会会議録 より(議長の呼びかけは省略)

質問者:松 田 敏 男 委員

続きまして、鳥海国定公園におけるスノーモービルの乗り入れについてお伺いします。
 自然環境保全法は、自然公園法その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まって、自然環境を保全することが特に必要な区域等の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の国民にこれを継承できるようにし、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的としております。そして、同法五条においては、「地域開発施策等における配慮」として、「国は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たつては、自然環境の適正な保全について配慮しなければならない。」と定められております。
 また、自然環境保全法の関連法である自然公園法は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とし、国立・国定公園の保護規制や利用の程度が定められております。   近年、鳥海国定公園において、スキー場が冬季営業を終える四月、五月頃になると、東北内外のスノーボーダーからの予約を受けて、鳥海山の山形県側の南斜面や秋田県側の北斜面をスノーモービルで駆け上がり、客を山頂周辺まで案内し、滑降とモービル走行を繰り返すことへの賛否が自然保護の観点から話題を呼んでおります。
 そこで、鳥海国定公園におけるスノーモービルの乗り入れについて、まず、規制が最も厳しい特別保護地区との関連で、スノーモービル走行をどのように捉えているのか、環境エネルギー部長にお伺いいたします。


○杉澤環境エネルギー部長

 お答え申し上げます。山形県と秋田県にまたがる鳥海山は鳥海国定公園に指定されており、その中で、山形県側の山頂付近一帯は特別保護地区に指定されておりまして、スノーモービル等の乗り入れが禁止されております。それ以外の、第一種、第二種、第三種とありますけれども特別地域、そして、普通地域には特に規制がないため、スノーモービル等の乗り入れは可能な地域となっております。 
 このほかに、自然公園法における保護規制としましては、今申し上げた規制が最も厳しい特別保護地区とは別に、特別地域の中にスノーモービル等の乗り入れを禁止する車馬等乗入れ規制区域というものを指定することによって規制することも可能な仕組みにはなっておりますが、ただし、この区域指定を設定する場合には、スノーモービルの走行が野生動植物にどのような影響を及ぼすのか、これについて科学的な根拠を示す必要があります。また、その土地の所有者ですとか管理者にもその乗り入れ規制の受忍義務というものが生じますので、これら関係者の積極的な賛
同が必要になるということがあります。現時点において、これらの関係者からこうした意向までは示されていないという状況です。
 それから、秋田県側で設定されている自主規制エリアですが、これは、スノーモービルの愛好者団体ですとか地元の山岳会、そして自然愛好家、こういった地元の関係者が協議の上で自主的にエリアを設定してルールを遵守するというものであります。現時点において、山形県側ではこうした動きには至っていないという状況にあります。しかしながら、地元関係者からは、スノーモービルの走行によって低木等が損傷している可能性ですとか、あるいは騒音がイヌワシの生息への環境に影響をもたらしているのではないかといった懸念の声も聞かれております。自然公園の保護と健全なスノーモービル利用の促進というこの両立を図るために、どのような対策や仕組みが可能であるのか、今後、地元関係者等と意見交換を行うなどして研究してまいりたいと考えております。


○松田委員
 いろいろ月山辺りの状況なども調査をさせていただきました。月山周辺では、鳥海山よりもかなり規制が厳しく、住民の理解が得られている、住民自らが規制すると、こういうような状況になっていると。こういう状況から見ますと、あまりにも鳥海山としては生ぬるいんではないか、こんなふうに私は考えるわけであります。鳥海山一帯は、今、部長がおっしゃったような国の天然記念物であるイヌワシの行動圏となっており、特に、冬から春は産卵やふ化の重要な時期である。スノーモービルの乗り入れを規制する実効性のある法令はないものの、それぞれこれらのことを考えれば、県としても何かの規制があってもいいのではないかと、こんなふうに私は考えるわけでありますけれども、部長、この点についていかがでしょうか。

○杉澤環境エネルギー部長
 ただいま申し上げましたとおり、法規制上、直ちに有効な手だてというのはなかなか見いだせてはおりませんけれども、まずは地元関係者の方々、ここにはその土地の所有者、管理者である公的機関も含まれますけれども、そういったところとも話合いを持って、今後の方策について何ができるかということで研究してまいりたいと思っております。

○松田委員
 いろいろ賛否が分かれるところでありますけれども、法律というのは抜け道があって、なかなかついていけない点もあることは私も承知しているところでありますけれども、こんな記事がありましたので紹介させていただきます。
  登山者とモービル愛好家の縄張争いと取られてしまったら鳥海山というかけがえのない自然に対しては失礼なことではないでしょうか。一説によると、月山、朝日など他の山岳で規制が厳しくなってきているので、規制が薄い鳥海山に全国からスノーモービル愛好家が多く集まってくるのではないか。こんなことを言われる方もあります。そして、鳥海山の地域がイヌワシの行動範囲であり、その餌となる小動物に与える影響はもとより、動植物の生態系保全の立場から何らかの規制が必要ではないでしょうか。月山、朝日ではスノーモービル協会に自主規制を呼びかけた結
果、それなりの効果があったと聞いております。スノーモービルの入山地点に自粛の看板を設置するだけで、少しは改善された。
 こういうようなこともありますので、ぜひ県としてもこれらの対応を、看板の設置ぐらいはできるのではないかと思いますので、ぜひ実施をしていただきたいと、こんなふうに思います。部長、その点いかがでしょうか。

○杉澤環境エネルギー部長
 看板の設置というお話がございました。その管理責任を持つ管理者がどうなっているかというところもありますので、その点も含めていろいろ研究してまいりたいと思っております。


○松田委員 環境エネルギー部長、ありがとうございました。 

 

 この回答を読んで、逃げだ~、とは誰しもが思うでしょう。普通の会社であれば、こういう回答をしたら怒鳴られ口先だけでやる気がないなと見下されます。いろいろ研究、ということであればだれがいつまで、どのような方法でどのような研究をするか、まずは書面で何日まで提出、と質問者もそこまで求めます。PDCAのとっかかりでしょうか。したり顔で「政治というものは」「諸事情が」と擁護するものも出てくるのは先刻ご承知。コロナもウクライナもあるでしょうがこれもあるのです。

 鳥海山は信仰の山でいたる所拝所ですのでこの際スノーモービルで走り回るものには刑法の礼拝所不敬罪(刑法188条1項、罰則は、6月以下の懲役・禁錮または10万円以下の罰金)を適用しましょう。😁


昔の人は偉かった、のか? 間近で見る社長さん

2022年02月25日 | 兎糞録

 社長さん、などというとどこかの呼び込みのようなのですが、大企業の場合は社長などというものは雲の上、雲上人となっているのかもしれません、けれど地方の中小企業では至る所社長さんが転がっています。部長、課長にいたっては掃いて捨てるほど、部長といってもよその会社にいけば係長レベルなんてのもいっぱい見てきました。昔勤務していたところの社長さん、その時すでにお爺さんでしたが、

 巷にファックスが導入され始めたころ、ある日、総務の当時何の係長だったか、社長にファックス導入してください。それを聞いた社長、ファックスを導入していくら売り上げが上がるのか説明しろ。
 会議では、頑張ります、努力しますは許されません。頑張りたいと思います、などと今様の何かの選手のようなことを言ったら罵倒されます。やるかやらないかを聞いてるんだ、どっちだ。経費となると欲しいものは買うな、必要なものは買えが口癖。
 
 ある日社長を乗せて運転中の管理職の方、温厚な方なのですが、運転中も悪口雑言、罵倒され続けこのまま車ごと日本海につっっこんじゃろか、と思ったそうです。
 そんなおじいさんでしたが仕事時間が過ぎるとコロッと変わります。よく社員を飲みに連れて行きます。女性社員はお昼に食事に連れて行きます。酒の上で仕事の話が出ると、今は酒を楽しむ時間だ、仕事の話はやめなさい。一次会で退席するのですが二次会へ行くように残ったものへ託していきます。(後から接待稟議簿を見るとちゃっかり取引先と飲んだことに。)晩年たまに運転手も務めたのですが後ろの席でふんぞり返ることはしません。必ず助手席に座ります。隣りから講話しかけます。「いいか、君、俺の言うことをよく聞けよ。」(もちろん方言です。標準語は訛った標準語です。)その次、何を言うのかと思えば、「言うことをきかないと、…飲みにつれてかねぞ。」
 仕事中は口うるさく、怒鳴り散らす爺さんでした。二言目には、伊達や酔狂で商売をやってんじゃない、商法に何と書いてある、会社とは営利を目的にするものだ、が口癖。でも何かあった時は最後に俺が責任をとる、という人でした。商売に必要なら俺をどこへでも引きずり出せ、といつも言っていました。
 
 その社長の後継者が真逆、社内にスパイを放ち、其のスパイに志願するものも出てくるのですから人というものは。人事に血液型をご採用。間接部門は優秀である、間接部門がなければ会社は成り立たない、というお考えの方。
 
 その後の転職先でも口うるさい長がいましたが、共通する所は、最後の責任は俺がとる、という人には一人だけ巡り合いました。この人のときは社内もピーンと張りつめていました。会社は上に立つもの次第、間抜けな豚が率いれば狼も駄馬にも劣るようになるし、狼が率いれば羊も猟犬以上の働きをします。知り合いの女の子は前の務め先でパートをしていてそこの店長から売り上げが悪いのは全てパートのせいだといわれたそうですが、無能の極みの人の下で働いてしまったのですね。もっといい職場に巡り合えますように。
 

鳥海登山案内記はしがき

2022年02月25日 | 鳥海山

 太田宣賢「鳥海山登山案内記」の冒頭を読んでみましょう。

 Wordと違って文字のぶら下がりが出来ないので表示が少しおかしくなっています。


はしがき

一 此册子は鳥海山に登らんと欲する人々及未だ鳥海山を知らざる人々の便宜にせんが爲め編輯したるものなり

一 記載事項中蕨岡ロの宮略誌に據れる處尠からず又庄內案內記に據れる處もあり

一 大物忌神社神職諸君の厚意に依り同社唯一の寶物なる 櫻町天皇より正一位を授け奉られたる口宣案幷位記及其位記中にある御璽の尊影とを卷首に揭ぐることをを得たるは編者の大に光榮とする所なり

一 鳥海山と云へば必ず蕨岡を聯想し蕨岡と云へば亦必ず鳥海山を聯想す
  されば本書は鳥海山を記すと同時に蕨岡を記するは當然の事なりとす
  隨て歌詩等に至りても兩者を記し併せて間接の歌詩をも記せり

一 本書は忽々の編輯にかゝるを以て唯鳥焉魯魚の誤りのみにあらず事實の書誤れる所なきにしもあらず开は第二版の折に訂正を加ふることゝすべし

 

大正元年十二月                     編者しるす


 ここに又新しく資料があることが明らかとなりました。すなわち

1. 蕨岡ロの宮略誌

2. 庄內案內記

 時間を見て探してみましょう。

 「鳥海山と云へば必ず蕨岡を聯想し蕨岡と云へば亦必ず鳥海山を聯想すされば本書は鳥海山を記すと同時に蕨岡を記するは當然の事なりとす」

 大正の初年、いかに蕨岡の自負と勢いがいまだ強かったかがわかります。

 「鳥焉魯魚」とは(うえん-ろぎょ)と読み、文字の書き誤り。文字の造形が似ていて書き誤ること。「烏」と「焉」、「魯」と「魚」がそれぞれ字形が似ていて、誤りやすいことからいいます。(三省堂 新明解四字熟語辞典)

 この当時は普通にこういう言葉を使っていて、また読む方も理解していたということでしょう。政府の漢字政策がいかに民度を下げるために行われたかがこういうちょっとした事例によってもわかります。常用漢字などという制限は今すぐ撤廃すべきなのです。文字には制限される以前はそう書かれてきた歴史も意味もあるのです。子供が覚えられない、読めないからというのは理由になりません。(明治以来の日本語廃止論が其の根底となっているのです。)漢字制限で文字を代用したためにおかしな文字がたくさん生まれたことは多くの人が知る處です。さあ、読めないからと言って、ここまでの文章をすべて平仮名で書いたら意味をくみ取れる人はほぼ皆無に近いのではないでしょうか。

 たとえば「はしがき」の三項目目、漢字撤廃すると

 おおものいみじんじゃしんしょくしょくんのこういによりどうしゃゆいいつのほうもつなる さくらまちてんのうよりしょういちいをさずけたてまつられたるくぜんあん………どうですか、もう面倒くさくなってきたでしょう、入力する方も面倒です。ひらがなですべて書かれて意味わかる方いますか。いかに漢字が意味を伝えるのに有効かわかると思います。読まなくとも目で追うだけで意味が頭に入ってくる、それが漢字のいいところです。(だからと言って漢字検定などは受ける必要はありません。)