鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

大清水の夜

2022年10月30日 | 鳥海山

 大清水の駐車場からすぐそこに見える避難小屋へ。

 頂いた写真が出てきました。大清水の夜。 Osizu Night です。10月の大清水避難小屋での山納。10年続きました。

 ビールは大清水山荘の前の湧水で冷やしておきます。ウヰスキーはウシュクベを持っていくことが多かったです。折り畳みテーブルは自家製。カセットコンロ二台、毎年一台はすき焼き、もう一台は鉄板焼きです。

 このウヰスキー、一番好きですが今は手に入れるのが難しいようです。数年前まではそんな高くもなかったのですが今は可成りの値段で取引されている様子。右手は陶器のボトルに入ったストーンフラゴン、美味くて高くはなかったいt版のお気に入り。次にこれは、と思ったのはBallantine's 15年。12年、17年はよく見かけますけど15年もあるんです。

 ハウステンボスがオープンしたとき、施設内の売店で購入しましたがその時は二千円ちょっとだったような気が。今はネット上で数千円で購入できるようです。二本買ってきたのですが、封を切った瞬間、あっ、これはもっと買ってくればよかった、と思ったウヰスキーでした。

 この小屋にその時期泊まる人はほとんどいませんでしたがここで会ったのは自転車で日本一周中の方、現在は弁護士事務所を開業している当時は山形地検のS検事さん御一家。前にも書きましたっけ、奥さん曰く「何か事件起こしたら言ってきてね、」、10年間で夜この小屋で出会ったのはこの二件だけです。夜は真っ暗闇、静かでいいところです。仲間もあの世へ、この世へ散り散りです。

 ああ、心がただ一すじに打ち込めるそんな時代は、
 ふたたび来ないものか?

 と、詩の一節を借りておきましょう。


雪炎 富士山最後の強力伝

2022年10月29日 | 鳥海山

 1993年ですから今より30年近い昔、静岡朝日テレビが開局十五周年記念番組として制作したドキュメンタリー番組が「雪炎!星と語る男たち 富士山頂551日」

 ここに登場するのが富士山最後の強力並木さん。テレビで見た記憶があるのは谷村新司の歌で映像が始まる「富士山頂の365日」、ビデオに保存してあったのですが捨ててしまいました。記憶違いで実際見たのは「雪炎!星と語る男たち 富士山頂551日」だったのかもしれません。確認するには横浜にある放送ライブラリーまで行かないと見ることはできません。

 強力といっても今の山登りする人はこの文字自体「ごうりき―発音そのままなら”ゴーリキ”」と読むことが出来るのでしょうか、ましてどんな仕事かなんてもしかしたら想像もつかないのでは、などと思ってしまいます。この本も面白いですよ。一息に読んでしまいます。もちろん山の恐ろしさも十分に教えてくれます。

 我々も昔は強力補佐予備軍助手見習い程度に荷物を運んでいました。カボチャ、玉ねぎ、大根などの重いもの専門。リュックの左右にはみ出した大根を見て下山してきた女の人たちが大笑い。まあその程度の荷物運びですが自分の荷物、カメラ二台、かなり重かったのは確かです。

 鳥海山の強力に関しては佐藤要さんが以前発行していた「山の雑記帳」という冊子で知ることが出来ます。又、鳥海山の強力に関しては筒井さんという方が日本民俗学という冊子に一文を寄せています。鳥海山の強力については次回。

 


あがりこ大王

2022年10月27日 | 鳥海山

 山歩きは気力、体力、財力、それに技術と知力が必要になります。知力は勉学や天気図、地図読解力というわけではなく総合の意味です。ややや、どれも自分は欠けているなあ、と思いながらも先日修理した登山靴の試し履きを兼ねて、登るわけではない中島台リクリエーションセンターへ。

 財力といえばガソリンはもう下がることはないでしょう、収入は増えることはないでしょう、ということはやはり山へはそうそう行けないという結論になるのかもしれません。自分の家のすぐ裏が鳥海山ならいいですけどどこへ行くにしても往復最低100km.ガソリンは1回10㍑は覚悟しないといけません。

 あがりこ大王、山毛欅の奇形木の最大級のものです。

 ん?確かに大王様。足元にも及びません。

 こちらはあがりこ女王、FFⅨのブラネ女王か。

 私絡まれて困ってるの。

 鳥海毬藻、と書かないところが逃げ道か。だって藻じゃないもの。誰が見たって毬藻には見えません。俗称「鳥海マリモ」なんて一部の人が呼んで誤った知識を広めようとしているだけです。手前の看板にはちゃんと苔と書いてあるのに。

 整備された木道もですが、この丸太を使った橋、これまで整備された方々はすごいですね。

 ムンクの雄叫びのような山毛欅。大王、女王、燭台山毛欅だけでなく様々な山毛欅を見ていると飽きることがありません。今日は出発が遅かったので全部は回らず。それにしても注意書きの熊鈴を着用して、と書いてあっても今日あった方々、誰一人鈴を持っていませんでした。

 この先中島台林道は今も通行止め。祓川への近道、紅葉も最高の林道は通ることが出来ません。相当に大きな土砂崩れなのかもしれません。

 夕方の鳥海山、北面はもう冬です。七高山は見る場所によって全く姿を変えます。破方口からの北面尾根がこんなに急になっているのは七高山から見下ろす以上です。

 自分で修理した登山靴は大丈夫でした。岩場歩きが無かったせいかもしれませんが。

 

 


酒田風景繪葉書

2022年10月26日 | 鳥海山

 大家洋畫原色版 酒田風景繪葉書という畳紙に収められた絵葉書があります。

 酒田市立資料館 第194回企画展「絵はがきに写る近代の酒田」この繪葉書は以下のように解説されています。


 大正時代の初め、油彩の風景画を使った絵はがきが、酒田で作られている。「大家洋画原色版 酒田風景絵葉書」という4枚一組の絵はがきである。
 佐藤三郎著『酒田よもやま話』によれば、酒田の素封家であった伊藤家が、4人の洋画家を招いて風景画を描かせ、絵はがきを作って販売した。この時作られたのは、中川八郎作「日和山落暉(らっき)」、河合新蔵作「山王森午影」、石川寅治作「宮之浦帰舟」、吉田博作「中瀬渡頭」の4種類だった。
 その後、原画はばらばらに売られたが、日和山落暉の原画は酒田市に寄贈され、現在は酒田市美術館に収蔵されている。


 落暉なんて言葉、現代では聞くことも見ることもありませんがその頃は誰が聞いてもわかる言葉だったのでしょう。

 この畳紙に入っていたのは三枚、石川寅治作「宮之浦帰舟」が欠けています。河合新蔵作「山王森午影」は以前も紹介しましたが中身の三枚ご覧ください。

 その一となっているのが吉田博作「中瀬渡頭」

 最上川の中瀬の渡し船は乗ったことがありませんが、宮野浦の渡し船は高校の頃酒田市内から対岸の宮野浦に行くのに乗りました。以前は有料だったのですがその頃は無料になっていました。昭和47年、出羽大橋の架橋によって廃止になりました。宮野浦は酒田発祥の地ですが昔からの宮野浦の方は休みの日に橋を渡るのに「酒田さ行ぐ」と言っていました。畫は宮野浦から対岸を見たところ、背景に聳えるのは鳥海山です。

 ちなみに酒田の最上川の渡し船は二か所あって、一つが宮野浦の渡船場、そしてもう一つがもう少し上流にあった中瀬の渡船場です。中瀬の渡しは昭和11年両羽橋の完成によって姿を消しました。昭和11年までは最上川を渡るには渡し船しかなかったということになります。現在中瀬の地名は残っていませんが下瀬(シタセではなくシモセです)は今もあります。子供の頃近所にあって遊んでもらったのが下瀬鉄工場のおじちゃん、シモセテッコウバのおじちゃんと呼んでいました。

 その二が中川八郎作「日和山落暉」、今の人は落暉なんて言葉使いませんし聴いてもわからないでしょう。文字を見れば意味は解ります。これが漢字の素晴らしさです。

 その三、石川寅治作「宮之浦帰舟」が欠けています。無い、となると見たくなります。

 その四が河合新蔵作「山王森午影」、この遠景に聳えているのも鳥海山です。

 「日和山落暉の原画は酒田市に寄贈され、現在は酒田市美術館に収蔵されている。」と資料には書いてありますが酒田市美術館の収蔵資料を検索しても出てきません。酒田市美術館にはめったに行くことはないし行く用事もありませんので問い合わせもしていません。なにかのついでで行ったときに訊いてみましょう。知り合いの絵かきさんは美術館のコーヒーが不味い、最近開業した割烹小幡をリニューアルした所は酒田で一番不味いコーヒーを出すところだ、よく見たら同じ経営だった、もう二度と行かないと言っていました。

 はたしてこれらの原画は誰の所にあるのでしょう。原画を見ることが出来ないのは残念です。原画を見ればこの絵葉書からも少しは感じられる大正の息吹が強く感じられることでしょう。

 この頃は絵葉書が結構多く出されたようです。

 こちらも大正初め、吉田博作「酒田港」、「中瀬渡頭」と同時期に書いたのかもしれません。

 大正四年の絵葉書で最上川の渡船場です。


Blu-ray Discは欠陥の多い商品であること

2022年10月26日 | 兎糞録

 VHSビデオからDVD, そしてBlu-ray Discへ、そのBlu-ray Discも4Kありと。映像の進化は未だ続いているようです。

 VHSビデオはhi-fiが普及し始めでもデッキが10万位、hi-fiじゃないとstereo音声が聴けません。レンタルビデオだって1,000円もしたんではないでしょうか。借りてきたビデオのケースを見ると売価が何万円なんて書いてある。一説によれば世の助平なお父さんたちがHなビデオを見るためにこぞって家族には子供に映画を見せるためにといって自宅に備え付けたのが大普及の要因だとか。そういえば知り合いが表ではないビデオを隠しておいたところ家に帰ったら子供たちが勝手に探し出し再生中。「わー、裸んぼ、裸んぼ!」といいながら見ていたとか。

 その後は超短命のVHD、それと争って勝利したLaserDisc。再生機器は安くても10万円。でもすぐ壊れるんです。修理に二三万円。ソフトも安くはない。ジャズの映像見たさに買いました。もちろん表ではない映像はありません。これはレンタルもなかったかと思います。

 そして今なお続くDVD、これは大画面で見ると字幕の場合、40インチ以上の画面では字幕の文字が汚く見えて見るに堪えません。(野暮な尺貫法のおかげでインチは公には使えませんが未だに身近な所ではバター、マーガリンの重量、450g入りか225g入り。すなわち1ポンド、半ポンド入りと規格は根強く残っています。)

 そこでBlu-ray の登場です。気を付けなければいけないのはBlu-ray の高画質で発売といいながら、中身はDVDと変わらず、記録媒体だけがBlu-ray Discというもの。椎名林檎ちゃんの「第一回林檎班大会の模様」なんてまさにその典型でした。希少性で今は高値がついているようですけれど。古い映画はBlu-rayで購入しない、DVDでも購入しない。Amazon Prime VideoやNet Flixの配信で見た方がDVDよりきれいですし、Discで見た時のように汚れによる映像の乱れ、固着などないのでストレスはありません。しいて言えばものとして手元に残らないか飽きたからといって売りに出せないくらいでしょうか。Amazonも中には課金の映画もあるのですが一度huluを見たら、見たい映画はすべて課金のものばかり。即退会しました。ジャズ好きの方、Net Flixでマイルスのクールの誕生とI CALLED HIM MORGAN 私が殺したリー・モーガン、映像も日本語字幕も十分に楽しめるのやってますよ。

 このBlu-ray Disc、保護被膜が薄いせいでやたら映像に支障が出るのです。これでは映像をまったく楽しめません。新品なら間違いないでしょうけれど、レンタルはもちろん、中古では全編何事もなく見ることが出来るのは9割くらいでしょうか。中古を売る側にしても二時間からの映像を売る前のチェックなんてしないでしょうから。


古いレンタルのBlu-ray Discは多々こういうことがあります。自宅保管でも取り扱いに不備があれば即こうなります。修復は不能。

 さらにはBlu-ray Disc、著作権保護のために様々な制限がかけられちょっと古いBlu-ray プレーヤーでは再生できない状態です。以前購入した「真夏の夜のジャズ」はPC 上のPowew DVDでは再生不能で中華製のLeawo Blu-ray プレーヤーでなんとか再生できました。Blu-ray Discプレーヤーは何台か買い換えましたがすぐ壊れる。前はサラウンド・アンプにつないで5.1chやら7.1chなんてやっていたのですけどそれもやめました。それに最近のBlu-ray Discプレーヤーはアナログ出力(赤白端子)も音声光出力もなくHDMI端子のみ。オーディオアンプに接続するには別途音声の変換アダプターを購入しないといけない。二重の出費です。

 一番いいのは新品のうちに吸い出してしまうこと。だけどこれ違法なんですよね。個人使用に限って許可されれば最高なんですけど。絶対無理でしょう。CDは法律が間に合わず誰もがPCやらデジタルオーディオプレーヤーに取り入れ放題。

 Blu-ray Discのプロテクトは人がつくったプロテクトですから世の中解除する人もいるんですねえ。更に吸い出したままでは元と同じ40ギガあれば同じ容量。これをmp4に変換すれば画質はほとんど変わらず数ギガに。技術的には超簡単なのですがここは法を尊重しましょう。やり方は知っていますがはい、私はやっていません。まあ配信で楽しむか、どうしても見たいものは購入するしかないですね。今のところ。それにしても記録媒体の改善を待つしかないのでしょうかね。Jurassic World Dominionももう一度見に行こうと思っていたらあっという間に上映終了。こういう映画好きなんです。Amazon Prime Video見たら11/23配信開始。即予約しました。Discより安いし劣化はしないし。音はPCをオーディオアンプに接続しているので問題なし。