鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

為政者によって環境はどんどん破壊されていく

2023年03月30日 | 兎糞録

2022/7/18 産経新聞

風力発電の大規模開発をめぐり、東北6県のうち3知事が相次ぎ懸念を表明している。宮城、山形両県にまたがる蔵王連峰での開発計画に宮城県の村井嘉浩知事が「反対」と明言。山形県の吉村美栄子知事も「選んでほしくない」と述べた。青森県の三村申吾知事は「無秩序」な森林開発に懸念を表明。背景には、国策による再生可能エネルギー開発の大規模化の中、風の適地が多いとされる東北地方に事業が集中している現状がある。

山形県の吉村知事は6月24日の定例会見で「蔵王は山形を代表する観光地。選んでほしくない」と同調した。

 

そのわずか一か月後、同じく産経新聞

関西電力(大阪市)が蔵王連峰(宮城、山形両県)に計画した風力発電所の建設事業が、景観や環境への悪影響を懸念する地元の反発の高まりで、7月末に白紙撤回された。再生可能エネルギーの拡充が国策として進められる中、再エネ事業者と住民間の同様のトラブルは今後も全国各地で生じる可能性がある。関電の蔵王撤退は、地元の信頼を得る形での合意形成が事業成否のカギを握るということを改めて浮き彫りにした。

 ※それにしても関西電力が東北を餌食にするなんておかしいですよね。

なのにこちらは、


河北新報3/30
 山形県遊佐町沖で計画されている洋上風力発電を巡り、国や県、地元漁業団体など利害関係者が29日、同町で法定協議会を開き、事業化に向けた最終意見をとりまとめた。年内にも国による「促進区域」に指定され、事業化が加速する。
 法定協は昨年1月に設置された。4回目となる会合では(1)洋上風力発電と共存共栄を図る町の将来像(2)海面・内水面漁業の振興策と影響調査(3)海岸線から1海里(約1・8キロ)以上の沖合約5キロまでの設置範囲-などが示された。
 時田博機町長は「低周波音などに一部不安の声もあるが、価値観を転換させ、持続可能な取り組みを進めることが大切だ」と事業化に理解を示した。
 サケふ化事業に取り組む内水面漁協の関係者も「異論はないが、影響調査は継続してほしい」などと了承した。
 遊佐沖は事業化に向けた3段階のうち、法定協で意見集約を図る中間の「有望区域」だった。新年度は最終の「促進区域」となる。
 山形県沿岸ではほかに酒田沖でも有望区域指定に向け検討が進められている。
 蔵王を餌食として差し出すのをあきらめてもらった代わりに庄内を生贄として差し出します、ということなのですね。
 こんな行政の長要らない、議員も要らない。
 
 やはり幕末に幕府側だったところは今なお差別され続けているようです。

カツ丼 in 山梨

2023年03月29日 | 兎糞録

 山梨は甲府に住んでいたことがあるのですが、ある日初めて入った食堂でカツ丼を注文。出てきたものに驚いたのは、カツを卵でとじていない。もしやとじ忘れたのでは?と思ったのですが、

 上の画像の出典は農林水産省Webサイトですがそこにはこんな説明もあります。


山梨で「かつ丼」を注文すると、ご飯の上に千切りのキャベツがのり、その上に揚げたてのとんかつがのった丼が出てくる。この上にソースをたっぷりとかけて食べるのだが、とんかつを箸で切って出てくる肉汁と、ソースがしみたご飯によって、ますます食欲が増す美味しさである。丼にのった「かつ丼」を目の前にするとボリュームを感じるが、さっぱりとシャキシャキした食感の千切りキャベツによって最後まで飽きずに食べられる。県外で一般的な卵でとじる「かつ丼」は、山梨県では「煮かつ丼」と呼ばれていて別の料理とされている。山梨県の「かつ丼」の発祥は明治時代の蕎麦店からといわれている。甲府市で360年以上続く老舗そば店の「奥村本店」の当時の主人が、東京へでかけた際にカツレツを食べ、感動してメニューに取り入れようとした。しかし、当時出前が主流だった蕎麦店では器がひとつで済む丼物が中心だったため、丼にのせる「かつ丼」が誕生したのではないかといわれている。


 そう、我々がカツ丼といっているものが山梨では煮カツ丼というのです。カツ丼と煮カツ丼は別の料理なのです。そんなカツ丼にも慣れたある日、何人かでカツ丼を注文したのですが届いたカツ丼の蓋を開けるとなんと、自分のだけカツが入っていない、ご飯の上にサラダだけ。一人前だけカツを忘れられたのです。

 全国でも卵でとじていないカツ丼は山梨だけらしいです。山梨の方が他県へ行ってカツ丼を注文して卵でとじたカツ丼が出てきたら「すみません、頼んだのはカツ丼なんですけど、煮カツ丼は頼んでません」ということになるのでしょうか。

 かつ丼といえばある日仙台合同庁舎へ行った時の事、昼にはまだ少し早い時間。先に昼飯を食べておくかと近くの食堂へ行ったのですがそこへ入ってきた客が店員の若い娘さんに向かっていきなり「かつ丼」、間髪入れず娘さん「すみません、ご飯まだだのしゃー」
 見事な方言でありました。

 カツ丼でもう一つ思い出すのが以前も書いたのですが開高健が絶賛したフランス料理「ル・ポトフ」、この話は「開高健とル・ポトフ」に書いておきましたが開店したときはまだデパートの中の食堂、デパ食にしか見えなかったと思います。そこへ入ってきた作業服姿の親父さん座るなり「かつ丼」
「すみません、当店ではお出ししていないんですが」

 

 そういえば食べ物の呼称でこの辺がよそと異なるのがこれ、

 この辺では「油あげ」、「あぶらあげ」とは言わず短く「あぶらげ」、煮ても焼いても大好物です。

 ではこちらは?

 「油揚げ」ではなく「薄揚げ」と呼びます。

厚揚げ → 油揚げ

油揚げ → 薄揚げ

 といったあんばいです。東京へ行ったときはまごつきました。そういえば地元のスーパーでの表記はどうなっていたでしょう?ちょうど冷蔵庫に鶴岡の豆腐屋製のものがあったので見たら、

 「厚揚げ」となっていました。今の人はそうは呼ばないのかもしれません。方言を使う人も激減、怪しげな標準語が飛び交います。うちの子は曾て職場で「戸をたててくれ」と言われて頭の中が「????」となったそうです。横になってもいないものをどうやって立てたらいいんだ?と。この辺では戸を閉めることを「戸をたてる」といったのです。

 

※ この辺の広告でよくあるのが時点の地図をあらわすのによその店に「○○さん」と表示するやつ。なんだか違和感が有ったのですがあれは人でないものに人称を用いるからなのですね。丁寧なようで馬鹿丸出しです。ついでにもう一つ「丁寧」、よくアナウンスで「親切丁寧にお教えいたします。」なんて言っていますが自らの動作を「親切」というのは変態おじさんが幼い子に悪さをしようとするときに使います。「親切」かどうかは他者が判断することなのでこの場合は「懇切丁寧」です。

 


虫穴の浮虚子(うむかむし)

2023年03月28日 | 鳥海山

 以前虫穴の浮虚子うむかむしについて気になっていましたので浮虚子と論文に書いた大学の先生の研究室に連絡し、当の先生に連絡を取っていただきました。

 専門の研究者でもないので回答も当てにしないでいた所、なんとちゃんと回答をいただきました。肩書が無いと問合せを無視する遊佐町などの行政機関とは大違いです。

 結論から言うと、浮虚子は浮塵子の誤記であると。その出典は「出羽國一宮鳥海山略縁起」五来重編『修験道史料集(Ⅰ)』名著出版、1983年、67頁にあることが判明しました。


「渓人の流水ハ飽海・由利二郡の蒼田を濡す。蝗虫・浮虚子うむかむしの災ある時ハ此神に祈願すれハ群鴉飛来りて蝗を食尽し、浮塵子ハ川々を逆上りて雪路に死事、灰を散が如し。雲を起し、雨を降し、五穀を実らせ給ふ事、皆此神の恩沢なり」


 こういう時インターネットは便利だなあと思うのでした。なんと先生、私の書いたものにも目を通していただいているとは。

 いつだったか、おばさんたちが戻れるならいつにもどりたい?という話になった時、「旦那と知り合う前」と答えた人は皆無で、学生時代もっと勉強すればよかった、という人がすべてでしたがまったく同感です。ああもっと勉強しておけばよかった。