【転載・改変自由】脱炭素宣言撤回リリースの雛形 (国際環境経済研究所長 山本隆三)
カーボンニュートラル宣言の取り下げに関するお知らせ
当社は202〇年〇〇月に「2050年カーボンニュートラル宣言]」ならびに「2030年度に2013年度比47%削減目標]を公表しましたが、これら長期目標を取り下げることを決定しましたのでお知らせいたします。
カーボンニュートラル宣言策定に際しては、省エネ投資の強化による総エネルギー使用量の削減、第6次エネルギー基本計画の達成を前提とした購入電力のCO2,排出係数改善、自家消費太陽光発電の導入、購入電力の再エネメニューへの切り替えや炭素クレジット購入等を折り込んでいました。
しかしながら、日本政府のエネルギー基本計画は第5.次まで過去に一度も達成したことがなく、第6次についても当初から野心的な目標と言われており、将来の経営計画の根換とするのは不適切でした。仮に国全体として2030年46%削減が達成されたとしても、京都議定書第一約束期間の6%削減達成と同じく森林吸収やクレジット購入による相殺分-が含まれる場合、購入電力の排出係数改善を織り込むことはできません。
また、カーボンニュートラル宣言以降に設置を進めてきた太陽光パネルについて自主調査を行った結果、製造段階における強制労働の疑いを払しょくすることができないという結論に生ったため、すべての太陽光発電の稼働を停止しました。当社では人権侵害に加担してまで必要とする売上は1円たりとしもありません。
電力契約の実質再エネメニューや炭素クレジット購入についても精査したところ、見かけ上のCO2排出量をゼロと表現することはできさても実態として地球環境へ排出されるCO2がなくなるわけではないことを確認いたしました。
一方、世界に目を移すと2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議において、国連専門家チームより企業のCO2実質ゼロ宣言の多くが「グリーンウォッシュ」であるとの指摘がなされました。欧州連合(EU)は2023年9月に不当商行為指令と消費者権利指令を改正し、2026和年以降は企業がカーポンオフセットを伴わずに達成できることを証明しない限り「カーポンニュートラル」主張が禁止されることになりました。
こうした状況を鑑み、当社では2050年カーポンニュートラル宣言、ならびに2030年47%削減目標をいったん取り下げます。今後は2030年や2050年などの期限を区切らずに、省エネ活動や人権に配慮した再エネ導入などの施策を積み上げ、正味のCO2排出削減に寄与する現実的な目標を改めて設定し直します。