四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
THE GATE SPORTING CLUB 出張シノギングの様子
四年ぶり、福井の地へ。
福井の雄、旧 SUNDAY MOUNTAIN(通販サイトは同名残っている)が、店舗名を THE GATEへ改め、その新店舗として展開しているTHE GATE SPORTING CLUB(GASC)にての出張シノギング。
集合場所はとある土蔵ギャラリーの駐車場。ポコポコと小さな山域が点在しているこのエリアは、越前焼の里として知られ、何でも山中にはその焼き窯の跡が遺跡のように残っているとか。
この辺り害獣被害が酷く人が入らぬ山々に蔓延っているとの事で、何と今回自治体公認で、その山域を使わせていただき、害獣対策を見込んでのシノギング開催となっている。この繋がり方がTHE GATEさん延いては福井らしい繋がり方だなと感心。
簡単なご挨拶と凌・シノギングについてご説明した後、早速恒例のコンパスの見方チェック。北東を向いて下さ~い。
ふむふむ。では北北西を向いて下さ~い。
おやおや??怪しい方々だけで、あっちこっちではない東西の抜き打ちチェック。
基本は水平に!磁気類には近づけず!あとは指す方角を向くだけ!笑
毎度説明しているが、急峻な山域が多い日本の山では、最大でも16方位理解していれば全然問題ないわけで、簡易的なコンパスでも十分活用できる。
ツラツラとお話もした後、私の荷物を減らすべく凌三種の神器の二つ、クナイ・ツユハラヒ(在庫切れで申し訳ない...)をお貸し出しし、いざ出陣。
祠へちょこんとお辞儀をし、車道を暫し進み、出発前に目星をつけた謎の小さな林道を目指す。
林道は半円を描くように少し山よりへ上る。その先に何か作業小屋が残っている地形図の情報だが、眼前に広がるは特撮出来るぜの風景。建物の形跡はなく、大分前に取り壊されているのだろうか。石灰跡というよりは粘土質で、窯用の土を掘っているのでは?と皆で推測。
目指す尾根はこの崖の奥にあるが、この奥の尾根の始点から詰めるか、ただ何やら崖の上に道が続いている?ふら~とタドルが、土堀用のフェイクロードで崖を越えるような道は繋がっておらず。しょぼんと下りる皆の衆。
では崖の手前から行けるのでは?と少し戻ると案の定、藪の隙間に薄っすらフミアトあり。さていよいよ入凌の前に、地形図について説明補足していなかったので、ご説明。山頂がこれで、尾根がこんなやつで、谷がこんなやつ。。以上!最小限の情報だが、その三つを意識出来るようにし、繰り返しこなすことで、自ずと感覚で識別できるようになる。
いよいよ凌開始。最初こそ藪藪しかったが、入ると道が延びているのが分かる。
崖の裏手に回ると、しっかり尾根に合流する。ここまでくれば一安心。得てして凌の最初と最後は難儀する所が多いのだ。
分かりやすかった二つの小ピークの手前にて小休止。すかさず小道具をぶち込む森勝氏。極小の顕微鏡で葉や樹皮の裏を観察する。想像以上の顕微鏡具合に皆、感嘆。
ここで先頭を交代し、女性陣に任せる。シノギングイベントでは基本我々が先導する事はない。製品のお試しも含め、実際に試し感じていただく以上の経験値はないと考えているから。分からない事があれば勿論補足するが、まずは自身で考え、感じとっていただけるようになれば幸い。
暫し藪っぽい所や尾根上の倒木が続く、整備された登山道ではこんなことは基本無いと思うので、自ずと気も引き締まるはず。地形を意識してもらいながら登る。
尾根と尾根との合流点にて、前後の確認をしつつ、大して進んでいないのだが、少し拓けた箇所だったのでロープワーク講習を盛り込む。凌流の簡潔な考えで臨むロープワーク。全ては片結びが出来れば完結するのだ。
すかさず、皆で練習する。簡潔な結びでも、反復して試さないと忘れてしまうぞ~
そして抜き打ちテストにて、GのY氏が名乗りを上げる。良く出来ました◎
今回は比較的狭い山域だったので、焦らずゆっくり登り、随所にウンチクやらを多く盛り込んだ。ただ山頂を目指すだけでは恐らく2時間くらいで下りてこられるが、山頂やスピードに囚われず、自分の気持ちで登るのが凌。こんなに狭いエリアでも、一日十分に遊ぶ事が出来る。
また良からぬ遊びアイテムを発見したので立ち止まる。通称「ファットウッド」一見、腐った枝木に見えるが、中には油が詰まっており、ずっしりと重い。これが良く燃えるので焚き付け等に良いのだ。アメノヒで多少濡れていても中心部は保護されているような状態なので、十分使える。
切り粉でもこの通り、良く燃えてくれる。
気を取り直して進む。ミチクサをしていたらお昼も近くなってきたので、休憩場所を視野に入れつつ進む。薄っすらフミアトはあるが鬱陶しい藪をかき分けながら、ひた進む。
地形図でも読み取れていた林道に飛び出る。やはり現在は全く使われておらず下草の藪だらけだ。
そろそろハンモックポイントを探し当てたいところだが、この先の山頂にいけそうな場所があるとの情報。林道から少し外れる形で尾根に乗り、山頂に着くと盛大なオブジェが鎮座していた。かつては地元の方々で賑わっていたのだろうか。この山頂は流石に木々が無く拓け過ぎていたが、その周辺にポツポツとハンモック張れそうな場所があったので、晴れてこちらで大休憩とする。
さてその前に...極限まで腹を空かせてもらうために、間髪入れずタープ張り講座。ハンモックとも抜群の相性を持つEXPED Solo Tarpにて、”使いこなす”というタープ術を伝授。
あっという間に、狭いながらも数人入れる屋根の完成。この空間が落ち着くんだわ~。
そしてようやくのお昼休憩。皆さん散り散りにモックポイントを探しウロウロと。ハンモック初めてで自信ない方へはレクチャーするも、皆さん基本センスが良く、張り方や張り場所の選定が抜群で、全く問題ない。福井という土地柄だろうか?
孤高のシノラー① 某サングラスメーカーの長にして福井シノラーのパイオニア
孤高のシノラー② 地図読みハンモック共に経験豊富なシノラー
孤高のシノラー③ 店長Y氏と焚火への練習中なシノラー
孤高のシノラー④ 貸し出しSolo Tarpを自身で張り、クラシックスタイルで佇むシノラー
孤高のシノラー⑤⑥ お互い交流も深めるシノラー達
孤高のシノラー⑦ 寡黙ながら初めてとは思えないハンモック凌ぎっぷり
孤高のシノラー⑧ ハンモックが横にあるのにクラシックに凌ぐ優しきシノラー
孤高のシノラー⑨ ハンモックの沼に足を突っ込んでしまい、自由な時間を凌ぐシノラー
孤高のシノラー⑩ ハンモックならではの斜め地形に張り、ラジヲをBGMに凌ぐシノラー
いや~皆さん、とても良い凌ぎぶり。初めての方々は早くもハンモックの虜のようだ。暫く自由な時間を過ごしてもらう。シノギングではこのハンモックでの休憩時間は不可欠で、一,二時間は平気で休憩を凌いでしまう。これもシノギングの醍醐味。
休憩も一段落した所で、皆さんやはりムズムズしているのか、自然と森勝氏の開いた露店に足を運ぶ。ナイフやフェザースティック講座、メタルマッチや小道具の使い方まで、あっという間に時間は過ぎていく。。
Gのスタッフの方々も夢中になっていただけたようで、当然予定していた時間を大きく過ぎての撤収となる。(しめしめ...)思わず時間を食ってしまっても、ルートを固定しないシノギングの場合、その後の調整が利きやすい。という事で、帰りの下りは簡潔に林道を辿ってのルートを選択。地図読みの復習も兼ねてジグザグの林道を最短で繋げるよう尾根を辿てみよう。さぁ出発!
林道手前までは良かったが、林道へつながる直前が少し切り立った厭らしい所で、薄っすらトラバースで下りれなくもないが、グズグズで安全とは言い切れない箇所。。
予定調和というべきか...正直使う事はないであろうと思っていた「お助け紐」と「スリング」の出番。仮にズルズルと落ちても擦り傷程度で済みそうな斜度と高さだったので、その有用性を試すにはもってこいの場所だった。でも慎重に足場を確保しながら下りていただく。この一本があるかないかで安心感は桁違いなのである。
無事皆下りる事が出来た。ここまで凌を盛り込むと、皆さんのアドレナリンもピークに達し、最早凌げる場所はないか~と探し始める始末。(しめしめ②...)
林道を辿れば楽できるのに、ここはショートカット出来るかな?と尾根を辿る道を選択。すると思いがけない別荘地に到着。このちょっといってみようかな?という好奇心から繋がるものもある。その心を忘れずに。
その実その楽園の先の下りは、階段のようなフミアト、道があったが、おそらく今はほとんど認知されていないはず。アクセスの良さもあり、最高の別荘ではないか。最終階段を下りた場所も下草で隠れて良い目隠し具合だ。
まだまだ凌ぎ足りないようだが、これで山中での凌は完了。ここから林道車道を進むが、実は山中より難しいのが平地の地図読み。ちゃんと駐車場までコンパスと地形図のみで凌いでいただく。
無事到着にて凌ぎ切れた。
その後、ギャラリー横の母屋にて(素敵な母屋だった...)
駐車場を貸していただいたギャラリーさんのご厚意で、宿泊も出来るという母屋にて、おにぎりとコーヒーをいただき、皆さんと地元の方とも談話。良い時間が流れる。
程よい塩気が身体に沁みる。。何よりこのヴィンテージ級のグラス達に私は首ったけ。
せいぜい一キロメートル圏内の小さなエリアでのシノギングであったが、凌いだ~と思わず口にしてしまうほど濃密な時間を過ごせた。参加者の皆さんもそれを大いに感じていただけた様で嬉しい限り。
これを機にどんどん地図読みコンパス・ハンモック使い、延いてはシノギング自体を実践していただけければ幸いだ。
最後に、林道崖を凌いだあとの凛々しい面持ちの決して笑ってはいけないヤツ。
参加者の皆さん、ありがとうございます。
またお忙しい中、イベントを企てていただき、同行もしていただいたGASCのY氏とH氏とH氏、ありがとうございます。
イベント参加は叶いませんでしたが、日々凌をお客様へご案内いただいているA氏、T氏、他GASCスタッフの皆さん、ありがとうございます。
また皆さんとご一緒に凌げるのを楽しみにしております。

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