四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
12月21日「夕暮れシノギングと難所の凌ぎ方」の様子
毎年お馴染みの12月「夕暮れシノギング」。今回は「難所の凌ぎ方」も加えたお陰か、応募はいつも以上に早く定員に達していた。この辺り、シノラーの皆さんの関心の高さが見受けられる。
いつもよりかなり遅めの12時集合。駅前バス停の賑わいは成りを潜め、ゆったりとバスにも乗車出来た。天気はどんよりした曇り空。予報では日の入りの16時半前後は晴れマークとなっているが、果たして奇跡的な夕暮れは臨めるのか??
最寄りのバス停を降りると、ヌクヌクのバス内から一気にキンとした寒さが広がる。皆「う~」とか「さむっ」という言葉を漏らしながら尾根入り口を目指す。
作業場横から入るはずが、入口は固いフェンスに閉ざされていた...まぁ良くあることだ。気を取り直して少し遠回りとなるが、沢沿いに回り込むようにして進む。
先日の台風の影響で、ここの沢も甚大な被害を受けたようだ。水量は治まり、いつもの静かな沢となっていたが、所々崩落や、流されてきたであろうゴロゴロの岩が散見される。その横に掛けられた丸太の橋を恐る恐る渡る一同。
冷や汗をかきながら辿りついた入凌口。そして何も言わずとも凌ぐ準備を始めるシノラーの方々。何とも頼もしい限り。
準備が整い、簡単なルート説明をし、森勝氏の小話に舌鼓したところで笑、いざ出陣!
率先して藪を分け入る所がまた逞しい。
ツヅラヲリの急登が暫く続く。思わずぜぇはぁ言いながら登るが、肩慣らしにはちょうど良い登りだ。
今回は夕暮れと難所の凌ぎ方にフォーカスしている故、凌ぐには少し物足りないルートではある。地図読みは控えめに、歩きながら道具談義に花を添える野郎シノラー達。
そんな話に耳をそばだてていたのか、程よい休憩ポイントに差し掛かると、早速森勝氏より男のナイフ談義が始まる。
そう、男はナイフが好きなのさ。
いつも以上に熱の入ったナイフ談義に、私個人的にも欲しくなってしまったナイフがチラホラ。凌的に見ても、神器といっても過言ではないナイフ。そんなナイフ選びに困ったら、シノギングに参加で森勝氏に師事!
ひとしきり皆さんに悩んでいただいた所で、再出発。
フミアトはしっかりしているが、狭い尾根を一列に闊歩する様もまた乙である。
大きな倒木もなんのその。(しっかり切り払われていたけど笑)
暫く平坦な尾根と登りを繰り返し進む。中々難所を凌ぎ方が実践が出来そうなポイントがない...仕方がないので、拓けて少しだけ斜度のある所で、お待ちかねの「難所の凌ぎ方」実践講座!モゾモゾと準備を始める皆さん。
暫く停滞するので、防寒着を着込んでもらう。勿論ご希望の方にはヨヒヤミとアグラスカートをお貸出し。
シノギングでは時として、思わぬ急な斜面に出くわす時もある。そんな折、懸垂下降とまではいかないまでも、ロープを使うだけで、随分と安心して下れるものだ。前提としてロープを「使わない」で下れるルートを探しだす乃至は、そのようなルートを取る事が理想である。しかしどうしてもこの急な斜面を下りなければいけない時、我々の推奨する「お助け紐」を使って比較的安全に下降する事が出来る。その際に、どのような道具が必要か、それらをどのように駆使すれば良いのか、実践を交えてお試しいただく。
ロープだけで下りるのか?ハーネスを組んでカラビナを使いながら下りるのか?ハーネスはどうやって組むのか?もっと簡潔にスワミベルトを駆使して下りるのか?
様々なパターンをお試しいただく。聞き入る野郎シノラー達は真剣そのもの。
延長でそんな時使えるロープワークもレクチャー。写真や動画では分かりずらい事も、直接対話をしながら、実践する事でより理解が深まるもの。分からなければ何度でも質問すればよい。皆さん何回も反復で練習していた。(私も含め...)
「お助け紐」は使わないに越したことはない。しかし、いざ使う時に使い方を知らないようでは本末転倒。まずは使い方を「知り」、それを実践する事で「経験値」へ、そして経験値を重ねる事で「経験則」へ繋げられれば良いのではないか。そのためには実践で使わなくとも、定期的に練習する事も大切である。ロープワーク全般に言える事だが、使っていないと割とすぐに忘れてしまう。定期的に復習するよう、私も心がけよう。
さて、程よく時間を潰し、大分身体も冷え切った所で笑、夕暮れに向けて再出発。う~さむっ
程なくすると登山道と合流。なんだが霧かかってできているような...もうすぐ山頂、さて展望や如何に...
きれいさっぱり靄の中。奇跡は起こらず笑。本来ならばこのアングルで東京の夜景が一望できたが、雨じゃないだけ幸いか。
もちろんプチダイヤモンド富士もこの状態。まぁ良い。野郎のみで囲って休憩としようか!
展望の代わりに、お話と食事に花を添え、寒さを凌ぐシノラー達。凌行燈が優しく辺りを照らす。
一通り食事も済んだところで、年の瀬感を出すため甘酒を投入。これがまたほっこりと温まる。
時間を忘れて話しこんでいると、辺りも次第にヨヒヤミへ。行燈がひときわ映える。
さてさて日も落ち切った所でささっと撤収、お待ちかね闇のシノギングといこうか。
進むは谷沿いの下りルート。鬱蒼とした針葉樹も相まって道は完全に闇の中。ヘッドライトの明かりを頼りにひた進む。
ふと振り返ると、一列に光が連なる御一行。さながら怪しい集団、未知との遭遇。
時折、後から3000ルーメンの光で照らしてくるM氏。ま、まぶい。
凌行燈は末端の紐を引っかけて提灯のように提げる事も出来るので、中の光源が明るければ、それなりに足元を照らす事が出来る。気分は江戸時代。
台風の影響で少しガレた箇所もあり、急がずゆっくり下る。歩幅は小さく、一歩一歩確実に足を置くべし。この暗闇の中での下山も体験しておくとまた肝が据わるもの。避けるに越したことはないが...
ライトを消すと完全に暗闇。そして後ろから迫る未知との遭遇 笑
程なくして林道に合流。薄っすら奥には東京の夜景が垣間見れた。(写真失念してしまった...)少しでも見られて良かった。
林道から車道へ繋ぎバス停までゆっくり歩く。何せこの時間になるとバスも1時間に1本。タイミングが合わず次の便になるのは明白だった。この時間でも走っているだけありがたい。
バス停でお手洗いや諸々済ますと、意外に早めにバスが到着。ありがたや。暗闇と寒さの中待たずに済んだ。皆さんも安堵の表情。
ふとバスの外に目をやると、明るい車内から外へと伸びる暗闇の先に、ポツンと灯る街灯一つ。何とも侘しい気持ちにさせる。それが私の中で、年の瀬に拍車を掛けたのは言うまでもない。
しみじみ、今年最後の笑ってはいけないヤツ。
皆さん、いい顔してる笑
本年のシノギングイベントはこれにて終了となります。本年もたくさんの方々にシノギングイベントへご参加いただき、誠にありがとうございます。これからも皆さまにとって「凌」や「シノギング」のきっかけとなれるイベントとして、より一層精進していく次第です。また、このイベントが皆さまの中で「きっかけ」となれば幸いです。
来年も皆さまのご参加を、心よりお待ちしております!