子はかすがい

2009-05-27 00:11:42 | Weblog
「かすがい」とは、木材と木材とをしっかりとつなぐために、両端が直角に折れたコの字型の金具のことです。「子はかすがい」といいいますが、「納得!」といったところです。
 この「かすがい」が、実はうぐいす張りの廊下に使われているのです。かすがいが使われている理由は、釘を表面に見せないようにするためです。床板を上から釘で打ちつけるのではなく、根太(板を支えるために横に渡した木材)と床板を<目かすがい>と<釘>で裏から固定しているのですが、実はこれが音が鳴る仕組みなのです。つまり人が床板を踏むと、目かすがいが上下し、釘と擦れ合って鴬が鳴くような音がするのだそうです。
 昔の人の知恵には、いつも驚かされるばかりです。



床は硬い?柔らかい?

2009-05-26 00:04:23 | Weblog
 床は、厚さ2cmの松の無垢材にしました。木材に知識がある訳ではなく、床を歩いた時に柔らかい感じがするものと建築家にお願いした時に、選んで頂いたものです。モデル住宅に見学に行くと、床が硬くて、ちょっと歩いただけでも私は足が疲れてしまうのです。それは無垢材を使用していると言われるものでも同じでした。
 私は、床の柔らかさは、木材のたわみによるものだと思っていたので、床に面剛性の目的で合板が張られた時には、これでは無垢材を使用しても意味がないんでは?と思いました。
 以前の家は、合板の床だったのですが、垂木材の上にそのまま合材を敷いたもので、その垂木の幅が手抜きのために広くなっており、歩くと二条城のうぐいす張りのようにギューギューといった感触がありました。手抜きによる産物ですが、小さい頃から親しんでいたためか、なんとなくこの柔らかい感触が好きだったのです。

面剛性

2009-05-25 00:32:16 | Weblog
 1000円くらいの三段ボックスでもかなりの強度が有ります。自分で作るので良く分かりますが、薄い合板をネジで数ヶ所留めるだけの構造ですが、実は裏側にはめ込む薄いベニア板にその秘密が隠されています。これは誰もが経験的に知っていることですね。
 最近では、壁以外に床一面にも合板が張られます。当然のごとく靭性(ねばりづよさ)が増し、断熱・気密、遮音性、耐久性も高められます。


耐力壁

2009-05-24 11:17:10 | Weblog
 耐力壁とは、地震や台風などの横からの力(水平力)から建物を守るために、筋交いを入れたり構造用合板を張って、建物を補強するための壁とことです。建築基準法でも、その使用が定められています。
 柱と柱の間に斜めにかけられた木材が筋交いと呼ばれるもので、建物の耐久性には筋交いを入れる箇所やその方向性も極めて重要なのだそうです。数が多ければ多いほどよいという訳ではなく、その量のバランスが問題で、一箇所が強くても他の場所が弱いとねじれも生じ易くなってしまうそうです。

床暖房

2009-05-17 00:44:38 | Weblog
 床暖房にも憧れていました。メリット、デメリットを考えて、吹き抜けのある部屋と母の部屋には床暖房を入れたいと考えていました。といっても私はあまり吹き抜けの部屋は必要ないと思っていたのですが、建築家は吹き抜けがお好きなようです。
 どうも私達の要望の一階と二階の部屋の広さのバランスも関係しているようで、一階に比べて二階の面積が少ないため、建物のバランスから吹き抜けが必要になるようでした。
 おかしなもので吹き抜けは必要ないとはいいながら、吹き抜けを造るのであれば、吹き抜けの2階からは下が覗けるようにしたいと考えました。吹き抜けにした部分は床面積には入りませんが、その分の費用はしっかりかかると聞いていたので、どうせお金をかけるのであれば一階と二階がつながり、それぞれ別々のことをしながらも空気は共有しているような空間へしたいと、そうでなければ吹き抜けは必要ないと考えていました。
 でもでもでも・・・気が付いたら予算の見直しの段階で、床暖房が真っ先に切られていました。でも後から後悔したかといえば、それはありませんでした。温暖化のせいか断熱材の性能のせいか、私達が住んでいる九州ではそれほど床暖房の必要性がなかったのです。

玄関の扉は内開きが常識

2009-05-14 00:17:37 | Weblog
「アルコーブ」を調べていて分かったのですが、マンション等ではアルコーブ玄関が多いのだそうです。その理由は、玄関扉が外開きの場合、アルコーブになっていないとその前を通っている人にぶつかってしまう危険性があるからです。内開きにすれば解決しますが、内開きにすると脱いだ靴が邪魔になりますし、それだけ居住スペースを削らなくなってしまいます。そういえば靴のまま部屋に入るホテル等では内開きですね。
 と言うことはスペースが許せば、やはり玄関は内開きの方が適しているようです。内開きにすると、来訪者を「いらっしゃいませ」とお迎えすることもできますし、不審者が侵入してきたとしても内側から押さえつけてそれを防ぐことも容易です。雨降りの時などもやはり内開きの方がメリットがありそうですね。
 日本には昔から引戸と言う素晴らしい文化があります。扉を直線的に動かすことによりそれにより使えなくなるスペースを最小限に抑えれます。また、全開も容易ですし、少しだけ隙間を開けておくということも可能です。ただ、若干洋風ドアに比べれば防犯上の不安があるのが、最近あまり見られなくなった原因だと思われます。

得をするマンションの選び方 プロが教える77のポイント 碓井民朗著
Point36 住戸内の扉は内開きが原則
 ただし、日本のマンションの玄関扉は、外開きと法規で決められています。住戸内部で火災が起きて避難する際、避難する方向、つまり外に向かって扉が開くように義務付けられました。

ここも“アルコーブ”だ

2009-05-13 11:21:26 | Weblog
 家の間取りを考える時に玄関位置にかなり頭を悩ましたが、もう一つ建築家に要望したのはその形です。玄関と言うと「家の顔」、「お客様を招き入れるところ」というので、通常はちょっと立派に?するところですが、私の希望は家を眺めた時に、玄関がどこか分からないようなもの・・・性格が暗いとかではなく、ちょっと一工夫というか、他人と変ったもの、お洒落な感じにしたかったのです。
 えぇ、玄関はどこ?っていうの楽しくないですか?
 
 そして辿り着いたのが、写真の玄関です。「なぁ~んだ!」と思われるかもしれませんね。単に、壁面の一部を後退させて、玄関位置を正面から見えなくしただけなのですが・・・これが私のイメージにピッタリなのです。考えてみると、これが「アルコーブ」を利用したものだったのです。このメリットはというと
 
1.空間をへこます事で、デザイン的に空間的な演出ができる。
 玄関前の庇のイメージが嫌いだったんでしょうか?不思議と引っ込んでいる空間に魅力を感じるのは私だけでしょうか? 
2.空間をへこます事で、外部とつながりを持ちながらも、外部と一線を引ける。
 このへこんだ空間だけで、外でもあり内でもあるような空間が得られる。
3.玄関扉を、直接外部から見えなくすることができる。
 暑くなれば、扉を開けっ放しすることもできますし、扉を開けた時に外から家の内部を見られなくてもすみます。

アルコーブ

2009-05-12 00:37:26 | Weblog
人が落ち着いて本を読んだり、仕事が出来る空間というのは、だいたい周りが壁等で囲まれていて、他の人の視線から少し隠れるような場所です。これはほとんどの人がそうだと思うのですが・・・このような部分的に窪んだような空間のことを建設用語では、「アルコーブ」というそうです。
 「Alcove」の語源は、アラビア語で凹んだ場所を表す「al-qubba」で、「アルコーブ」は部屋の一画を囲った部分または壁面を後退させて造る付随的な部屋として、昔から人が落ち着いてこおる空間として意図的に作られてきたようです。きっと、どこかでそういう空間を見ていて、自分の家の中にもあんな場所があったらいいなぁってみんな憧れるんでしょうね。
 という訳で、建築家にダイニングの傍にパソコン机を要望していたら、写真のような空間をデザインしてくれました。窪んだ空間ですが、窓があり採光は十分、風も抜けることができます。

天井埋め込み式カーテンボックス

2009-05-11 00:35:11 | Weblog
 カーテンレールが外から見えない「天井埋め込み式カーテンボックス」に憧れていました。壁にレールを付けるとどうしてもその上に埃も溜まりますし、カーテンもモコモコした感じがします。新しく家を造る時には、絶対にこれを取り入れようと考えていました。誰が考えても「天井埋め込み式」がメリットが多いと思うのですが、実はこれって考えているより手間がかかるようです。

1.天井にカーテンの重量を支えるだけの補強が必要
 通常、壁面と違って天井には重量がかかるような設計はされていません。
2.カーテン丈が長くなり、その分の費用が増える。
 何でも既製の標準サイズを利用するのが一番コストを抑えられます。ちょっと変えるだけでも、思っている以上に費用がかかる場合があります。でもここは仕方のない出費です。出来上がりには雲泥の差がありますから
3.窓を全開放するためには、その左右にカーテンをしまう分のスペースが必要
 カーテンも使わない時にはしまっておかなければなりません。当然のことですがこのカーテンって結構、かさ張るのです。これを窓枠にかからないように収納しておくためには、その分カーテンボックスも長く造らなければいけません。
4.カーテンボックスの材質
 通常は関係ないのでしょうが、今回は天井の柾目のスギ材に合わせて、ボックスも同じ材質で仕上げて頂きました。実はこれはサプライズで、監督が仕上がりを考えて特注して下さっていたのです。


 

要望通りの本棚

2009-05-10 00:58:15 | Weblog
写真が建築家にデザインして頂いた本棚です。人によっては、「希望していた本棚と違うんじゃないの?」と感じられる人もいるかもしれません。でも私にとっては、ほとんど満点に近い出来なのです。
 見かけはまったく違うのに、AかBかで分けて行くと、同じグループに分類されるといった感じでしょうか?

この本棚のポイントは
1.天井と同じ赤身の柾目板を、本棚の壁面に張りました。
 それも杉板を縦ではなく横に並べました。建築家のアイデアですが、縦と横では印象がまったく違いますし、普通の人は横に張るという発想すらしないと思います。
2.杉の化粧柱を、左右に一本ずつ立てました。
 もちろん柱は単なる飾りなのですが、この柱によりタモ材の本棚が壁の中に溶け込んでしまいました。
3.本棚の天板は外し、そのまま天井の杉板が見えるようにしました。
 これは、本棚を造る過程で、建築家から提案があったのですが、これもタモ材の本棚の天板があるのとないのでは天と地ほど印象が違ってきます。